種が先か花が先か
誰か呼んでる
私を呼んでいる
葉の音
羽の音
風の踊り場のような森
光をためる小川
柔らかな太陽
優しい月のような太陽
津波のように
歌が囲む
私はカゴメの虜
眠り姫がうしろの正面だあれ
そう言いかけた時
目を閉じた
夢から覚めた時
草の隙間から見える月が
魂のように
心の宇宙船のように
木漏れ日に消えていった
記憶の片隅に残る妖精の言葉ひとつ
種が先か花が先かって?
この世界に最初に現れたのは
どちらでもないよ
香りだよ
魂の香りは花のようだよと
妖精は教えてくれた