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第54話 執事とマリアさん

あたしが転んで立ち上がろうとするときに、誰かが「大丈夫か?」と声をかけてくれた。


その人が手を差し出してくれて、あたしは立ち上がろうとするけど、でも足をくじいちゃったみたいで・・うまく立てない。


「怪我をしているのか?」

「あ・・・はい。」


そうしたら、その人はなんと・・・あたしをお姫様だっこした。

「ちょ・・・ちょっと!!!」

「怪我をしているんだから、騒ぐな。」

「知らない人に、こんなことしてもらうわけにいかないです!!」

「私はアスタロトと言うものだ。お前は?」

「り・・・凛ですけど。」

「凛、これでお互い知らなくない。だから、平気だ。」




その人はかなり強引だ。

でも、あたしを医務室に連れて行ってくれた。


あたしより年上みたいだけど、わがまま。

髪の毛は黒くて長いけど、目が赤い。

でも、どこか高貴な感じがする。

きっと、どこかのお坊ちゃまみたいな感じなんだろうなぁ・・・。


とあたしは思った。


医務室のお医者さんは、「まぁ・・・包帯巻いておけば大丈夫だろう。」ということで、治療してくれた。


アスタロトさんは心配そうに見つめると、「何もなくてよかったな。」と笑う。

「ありがとう。」ってあたしが言うと、ふん・・。と立ち去るアスタロトさん。


待って!とあたしが呼び止めると、


「凛はどこから来た? 地上からか?」

「あ・・はい。」

「ひょっとして・・・・黒夜のお嬢様か?」

「・・!! 黒夜さんを知ってるの??」

「あぁ。」


そういって、笑うアスタロトさん。

「・・なにがおかしいの?」

「いや、黒夜もこんなお嬢様についてるんだから、大変そうだと思ってな。」

「どういう意味??」


そういうと、あたしの手をとってアスタロトさんはこう言った。

「・・・お前、黒夜のことが好きだな。」

「・・・な!!!」

「俺は人の心が少しだけ、読めるんだ。」

「・・・・・・!!!」


「でも、黒夜と何かあった。」

「そ、そんなこと関係ないでしょ!!」


あたしはそっぽを向く。


でも、アスタロトさんはあたしに言う。

「不安なら、黒夜に会いに行こう。」


そう言って、あたしの手をとって無理に引っ張って連れて行く。

そして、パーティー会場のドアをバン!!


と開けて、中に入っていく。


みんながびっくりしてる。

そして、黒夜さんとマリアさんの元へと、近づいていく。


「黒夜。」

マリアさんと黒夜さんがお辞儀をする。

「アスタロト公爵お久しぶりです。」

公爵??

アスタロトさんって何なの??


すると・・・ベルゼブブくんとみぃが近づいてきた。

「王子、お久しぶりだな。」

「アスタロト公爵! お久しぶりです。」

「おひさしぶりですにゃあ!」



あたしはみぃを呼んで、聞くことに。

「アスタロトさんって何者なの??」

「アスタロト公爵は魔王家に次いで、2番目に権力を持つ方で、小さいときからベルゼブブ様のお兄様のようにされていたでもありますにゃあ。」


へぇ〜・・・とあたしは納得すると、


「凛さんと言われたかな? すこし黒夜と話したい事があるので、貸してもらっていいか?」とアスタロトさんが優しく言った。

「あ、はい。」とあたしはちょっと不思議だったけど、言った。


黒夜さんとアスタロトさんは庭のほうに行った。


あたしとマリアさんと大月さんっていう不思議な取り合わせ。

周りの人たちも、あたしたちを見てる。


なんでかっていうと、ベルゼブブくんという王子様っていう・・・強力に目を引く子がいるからねぇ・・・。


あたしが少し困っていると、マリアさんが話しかけてきた。

「先程は・・・怒らせてしまってごめんなさいね。」

申し訳なさそうな顔をして、マリアさんが謝る。

「いえ・・あたしのほうこそ楽しいはずの時間を、ごめんなさい・・・。」



あたしはシュンとする。

だって、誰がどう見たってあたしのほうが悪いもの。

それに、あたしじゃ・・・マリアさんに勝てないもの。

ちょっと涙が出そうになる。


すると・・大月さんが、「どうぞ。」とハンカチを渡してくれた。


「黒夜さんもいけない人ね。自分のことを好きな子を泣かしてしまうなんて・・。」


とマリアさんがあたしを見て言う。

「え・・??」とあたしはびっくりした感じで、言う。

だって、マリアさんも黒夜さんのことが好きなんでしょう?


そうじゃないの・・??


「あたしは、黒夜さんのことが好きだったけど・・・ふられちゃったの。」

「え?」

「だから・・・ふられちゃったの。」


マリアさんはしゅんとした感じで言う。

「黒夜さんに、昔、告白したことがあるの。あれは、まだ14歳くらいの時、今の凛さんぐらいの年のときにね。黒夜さんに告白したの。」

「何て告白したんですか??」


とあたしはびっくりしながら聞いた。

マリアさんは話を続ける。

「黒夜さんのことが好き。だから、あたしの一生の執事になってくださいって。

でも、黒夜さんはやさしくこう言ったわ。」

「なんて言ったんです?」

「お嬢様嬉しいですが、ごめんなさい。って。」



黒夜さんがそう言ったのが信じられない。

だってきれいなマリアさんを振っただなんて。


「あれが私の初恋だったと思うの。でも・・・今はいい思い出よ。黒夜さんに会えた事は。」

「ま・・・マリアさん。」

「なに??」

「マリアさんは黒夜さんのこと、もう好きじゃないんですか??」

しばらく黙ったけど、マリアさんはこう言った。


「ええ。でも、友達としてはOKね。それに、黒夜さん好きな人がいるみたいだから。」



すると・・鐘の音が鳴った。

「あら、10時の鐘の音ね。そろそろ帰らなくては・・」

「は、お嬢様。」


と大月さんとマリアさんがそういうと、マリアさんは帰っていった。



あ・・待って!!

黒夜さんの好きな人って誰!!



そうあたしが思っていると、黒夜さんがアスタロトさんと帰ってきた。

「お嬢様、先程はすみませんでした。」と黒夜さんは頭を下げる。

あたしは・・「いいの。あたしこそ、ごめんなさい。」と謝った。



「あ・・・お嬢様、きれいな星が出ていましたので、庭に見に行きません?」

「いいよ。」と笑って、あたしと黒夜さんは星を見に庭に行く。


アスタロトさんは、「俺も帰るか。」と後ろ向きに手を振った。


あたしが、「ありがとう!」と言っても、あたしのほうを向かない。

全く!!


「行きましょう? お嬢様。」と言って、黒夜さんはあたしの手を握って、庭に連れて行ってくれた。


ま・・・いいか。

あたしと黒夜さんは星を見てる。


「お嬢様?」

「なに?」

「冷えますので、良かったら。」と黒夜さんはあたしに自分が着てる背広をかけてくれた。

「ありがとう♪」と笑うあたし。

「ねぇ、黒夜さん?」

「はい。」

「どうして、マリアさんを振っちゃったの??」


黒夜さんは、少し困った顔をしてこう答えた。

「それは・・私より、いい人がいると思ったからです。私のような吸血鬼のハーフより、もっといい人が。」

「マリアさんのことは好きじゃなかったの?」

「好きですが、それはあくまで・・・いうなれば神への信仰心のようなものだと思います。決して・・男女の間の愛という気持ちではないはずです。」


「ふ〜ん・・・。」とあたしは納得したような、納得しないような感じで返事をした。


「お嬢様、良かったら踊っていただけますか?」

「え??」

「先程のお詫びに。」



あたしは少し困ったけど・・・「いいよ。」って返事をした。

でも、立とうとしたときに足が・・・痛くて、「きゃ!!」と黒夜さんのほうに倒れちゃって・・・・・。




「お・・・お嬢様?」

「く、黒夜さん!!」



だ・・・・・だ・・・・・だ・・・・

抱きついてますね・・・・・!!!



「黒夜さん?」

「凛ちゃ〜ん!」



とベルゼブブくんとみぃが来た。

二人はあたしたちを見て・・・呆然として・・・。


「な・・・!!」

「ベルゼブブ様、子供はみちゃいけないですにゃあ!!」

「そういうんじゃないったら!!」

「じゃあ、どういうのなんですにゃあ!!!」

「困りましたねぇ〜・・・。」


四者四様に困ってます・・・。

え・・・ちょっと、作者今回これで終わりなの!?


ちょっと・・・!!


どうするのよ・・・!!!!!!



ちょっとーーーーー!!!




その頃、マリアさんと大月さん。


「お嬢様、黒夜さんに今日告白するはずだったのでは?」

「え・・??」

「好きだということを。今でも。」

「ええ・・・言ったわ。でも、黒夜さんはこう言ったわ。」

「何といわれたのですか?」




「自分には、愛している方がいますので。って。」


「ほぉ〜・・。」

「大月、また振られちゃったわ。あたし。」

「悲しかったら、お話を聞きますが・・??」

「そうしてくれる? でも、黒夜さん・・・幸せになれるし、何より、あたしも大丈夫。」

「それはようございました。」



そういうと、二人は家に入っていった。

マリアは、黒夜が誰が好きなのか分かった。

でも、誰かはまだ秘密です。


では、この辺で。

さよなら、さよなら、さよなら!




















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