第35話 ベルゼブブへの思い。
病院に着いた。
治療室ににすぐに、ベルゼブブくんが連れて行かれて、病室に今いる。
黒夜さんは治療を受けて、隣のベッドで眠っている。
救急車の中では、ベルゼブブくんを心配するルシファーさんが黙っていたけど、今は心配そうにベルゼブブ君を見てる。。
「大切なお話って何ですか? ルシファーさん。」とママが聞くと、ルシファーさん、「あぁ、話す事がたくさんで・・・何から話せばいいのか・・・。」と考えている。
「凛さん、そして・・・・お母さん、ベルゼブブと私のせいで、ご迷惑をおかけして申し訳ない・・・。」
「いえ、私達は無事ですけど・・・まず、あの舌の長いフロッグマンとか言う奴は何なんですか??」とママが聞く。
「あれは・・・・・私の息子、そして私の立場を狙う者で、調べさせたところ、私の世界と、対立している組織からの刺客でした。お母さん、凛さん、これから話す話は、嘘でもまやかしでもない本当の話です。信じられないかもしれないが・・・信じてくださいますか?」とルシファーさんが、言う。
「ええ。」とママが言う。
「あたしも大丈夫です。」と答える。
「まず、私ももわが息子ベルゼブブもこの世界の人間ではない。私は純粋な魔族でありますが、この世界を滅ぼそうとか、そういう為に来たのではないのです。ここまでよろしいか?」
「はい。」
「何とか。」
ルシファーさんは少し咳払いをすると、話を続ける。
「私達の世界は、そう・・・判りやすく言えば、魔界と呼ばれる所。私はそこで王として、世界を統制している。」
「王様なんですか??」とママは聞く。
「ええ。」とルシファーさんは、言う。
「ベルゼブブは王子として、今この世界に修行に出しましたが、誘拐して脅そうと言う輩がおるので、私は反対しました、しかし、ベルゼブブは魔界を抜け出して、こちらの世界に来てしまったのです。」
「それで・・・・ベルゼブブくんは狙われちゃったんですか??」とあたしが聞くと・・・ルシファーさんはベルゼブブくんを見ながら、「凛さんの言うとおり、ベルゼブブは狙われ、そして皆さんを危険にあわせてしまった。私はこの世界からベルゼブブを連れて帰ろうかと思っている。その方が、皆さんにとっては安全だから・・・。」
とベルゼブブくんの手を握りながらルシファーさんは、悲しそうな顔をしてる。
「待ってください。」と黒夜さんは起きて、体を起こしてそういう。
「黒夜さん!! 大丈夫なの!?」とあたしは聞く。
「ええ・・大丈夫です、お嬢様。奥様。そして・・・・王様、私はベルゼブブ様を預かってきたものとして、言わせていただきますが・・・ベルゼブブ様をこのままこの世界においていただくわけにはいきませんか??」
「な、何を言っている、黒夜!! 現にお前は怪我をしているし、凛さんやお母さんも迷惑をかけているのだぞ!」
「無理なお願いをしているのは、分かっております。しかしながら、ベルゼブブさまの修行を邪魔するのは、忘れていましたが、魔族ならお守りして当然。ならば・・・狙っているのは・・・・。」
「天国のものだろう。」
「天国??」とあたしは聞く。
「天国は、天使がいると思われているが、しかし、凶悪さは私達以上だ・・・。優しいものほど、残酷になる。」とルシファーさんは言う。
「なら、その天国の者を探し出し、罰すれば・・・!」
「そのために、ベルゼブブをおとりにすると言うのか・・・。」
「はい。」
黒夜さんはベルゼブブくんを見て言う。
「王子様は初めて外の世界に出ました。魔界だけでは王子様の器は小さくなりますし、王様になるためには、この危険を乗り越えなくてはなりません。」
「黒夜・・・いいたいことは分かるが・・・。」
「魔界の面子をつぶされたままでは、私も王様もすたります。」
「黒夜・・。」
「パパ・・・。」とベルゼブブくんが眠りながら言った。
「ベルゼブブ・・・。」
「パパ・・・僕、黒夜さんと凛ちゃんと、ママさんと一緒にいたい・・・。」
「仕方ない。」とルシファーさんがつぶやくと、「魔界で出来る限りのバックアップはしよう。凛さん、お母さん。ベルゼブブのこと、よろしくお願いします。」
そう言って、あたしとママに頭を下げた。
「お任せください。ベルゼブブくんはきっと喜びますわ。」とママは笑って言う。
「あたしもそう思う。」と笑った。
「お嬢様、奥様。そして、ベルゼブブ様。王様、私が命に変えてお守りします。」
黒夜さんはそういうと、頭を下げた。
「さて・・・私はそろそろ行かなければ。」とルシファーさんは言う。
「え、ベルゼブブくんが目を覚ましてからでも!!」とママは言うと、「私は王として世界を統制しなければなりません。個人的なことのために、世界を狂わすことはできません。」
ベルゼブブくんの手を取って、「ベルゼブブ・・・・・強くなれ。」
そう言って、立ち去った。
その背中は王様というよりも、お父さんとしての寂しさと強さが出ている気がした。