第32話 ベルゼブブと4人で買い物に行こう! その2
ギュイィィィィン!!
出発して10分くらい、すごいスピードで案の定進んでいます。
「奥様、すこし飛ばしすぎじゃないですか??」と黒夜さんが聞くと、「大丈夫よ。アメリカだともっと出してたから。」と言うママ。
なんか、論旨がずれてる気がするのは・・・あたしの気のせい??
ベルゼブブくんはさっきから、窓の外を見てる。
景色が珍しいのかな??
「どうしたの?? ベルゼブブくん??」
「あ・・綺麗な景色が続いてるから。見てようと思って。」
「綺麗??」
「うん、ずっとお城の中でお勉強してたりしたから・・・こんな風なこと、あんまりできなかったから・・。」
と、ベルゼブブくんは言うと、すこしションボリした。
「大丈夫ですよ。これからは色々なものを見て、色々なことをできるようになればいいんですから。」と黒夜さんが言うと、ベルゼブブくんは、「うん!」と言った。
その時!
キィィィィィ!!と鋭い音を上げて曲がるあたし達の車。
「うわ!!」とあたしのほうに倒れてくるベルゼブブくん。
「きゃ!」
ママは冷静にハンドルを切る。
「ふぅ・・・今のは我ながら、うまく曲がれたわ。」というママ。
「ママ・・・・もうすこし運転を優しく・・・。」
「あ・・・ごめんなさい!!!」
まぁ・・・そんなこんなでデパートに着きました。
近くの駐車場に車を止めて、車から出ようとしたその時、ママが「凛、危ない!!」と言われて、あたしはえ!!とびっくりした。
黒夜さんがダッシュであたしに駆け寄る。
そして、あたしを抱きしめながら倒れると・・・バシーン!!!と言う轟音をあげながら・・・・鉄パイプが落ちてきた。
鉄パイプは砕けて道路に転がっている。
あたしにはなんとか当たらなかったものの・・・あたしはびっくりした。
「凛ちゃん!! 黒夜さん! 大丈夫!?」と駆け寄るベルゼブブくん。
「うん・・・黒夜さんは??」
「私は大丈夫です。」
「怪我はない!? 大丈夫!?」とママが駆け寄る。
ママにはこういった時に予知するみたいな能力があるらしい。
でも、それは不便だってママは言ってた。
何が起こるのかわからないうえに、悪いことばかり起こるからって。
「どうやら・・・上のビルの工事現場の資材ですかね。危ないところでした。」
「でも、何にもなくてよかったねぇ〜・・・。」というベルゼブブくん。
「まぁ・・・でも、黒夜さんありがとう・・・。」
「いえ、それではここにいると面倒なので・・・早めに買い物に行きましょう」と黒夜さんが言って、あたし達は買い物に直行することにした。
黒夜さんが見つめる上のビルの工事現場には、何かいるように見えたけど・・・あんまり気にしないほうがいいのかな・・。
今、ベルゼブブくんと黒夜さんが一緒に服を見ている。
「どっちがいいかしらねぇ〜?? 凛。」
「う〜ん・・・ベルゼブブくんなら右のほうがいいよ!!」
「じゃあ、こっちにする!」とベルゼブブくんは笑う。
なんか、弟の服選んでる気分だなぁ・・・。
黒夜さんは窓の外を元気なく見てる・・・
「黒夜さん?? どうしたの??」
「あ・・・いえ、何でもありません。」
「嘘、さっきから変だよ??」
「いえ・・・・少し気になることがありまして。」
「気になること??」
「はい、私の気のせいだといいのですが・・・。」
と黒夜さんが咳き込むと、「王子様を狙ったものだったのかもしれません。さっきのは。」といった。
「どういうこと??」
「はい、ベルゼブブ様は先ほど申したとおり、魔王様のご子息様ですので・・・それ故、狙われることも多いですから・・・ですから魔王様は修行に反対されていたと思うのですが・・・」
「じゃあ・・・狙われてるって事??」
「はい・・・。ですのでお嬢様を巻き込む恐れがあるかもしれませんので、私は・・・不安なのです。」
黒夜さんが少し動揺してた。
あんなに感情を出した黒夜さんは初めて見た。
「黒夜さん・・・・・??」
「はい。」
「あたしは・・・・黒夜さんを信じてるよ? もしあたしに何かがあったとしても・・・・・きっと助けてくれるし、ベルゼブブくんでも同じだと思う。」
あたしがそういうと、黒夜さんはすこし考えた後・・・「私はもし・・・助けられなかったら・・と不安なのです・・・お嬢様や奥様、それに王子様にもしものことがあったら・・・。」
「黒夜さん・・・あんまりつらいほうに考えないで? そうするとその通りになっちゃうかもしれないから・・・。あたしはどんな状況になっても、黒夜さんを信じてる。」
あたしがそういうと、黒夜さんは「・・・はい。」と笑ってくれた。
「二人ともー! お会計終わったからご飯食べに行こうー!!」とベルゼブブくんが笑って言う。
ママと手を繋ぎながらだと、まるで本当の親子に見えちゃう。
「はい。」
「うんー!」
黒夜さんとあたしは不安な気持ちをかき消すみたいに二人で走って、ママとベルゼブブくんの下へ向かった。