第17話 転校生、登場!
「無事に着きましたね。」と黒夜さんが言うと、あたしは「うん。」とうなづく。
そのとおり、何事もなく無事に学校に到着。
「では、私はいったん、家に帰ります。何かあったら、携帯電話にご連絡ください。帰りのときにもお迎えに一応、来ますので。ご不便かと思いますが、心配なので・・。」
「うん。分かってる。心配がとけるまではあたしもそうしててほしいから。」
まぁ、あんなことはめったに起こらないだろうけどさ、やっぱり・・・起こるといやだなぁ・・。とあたしは思いながら、花音と教室に入った。
学校に着くと、普段と何も変わらない。
こんな変わらない毎日だけど、あたしは誘拐されたの。
でも、それはうまく情報を隠してるからなんとかなってるわけで・・・・安心してる。
「はい、皆さん席についてください!」
ん・・・あれは?
「教頭先生です。」と花音がボソッと言う。
「あ、ありがと。」
「吉崎先生が今日はお休みだそうで、担任は私が今日は代理で勤めます。あ、あと、お知らせです! 皆さんの新しい仲間が今日から入ります。入ってください。」
ガラガラガラ・・・。
「今日から転校してきた、高橋 狼君です。みなさん仲良くしてあげてください。」
「はーい♪」という女子全員の喜んだ感じの声。
それもそのはず・・・・・すごい顔立ちがいい男の子で・・・髪の毛が銀髪かな?
眼の色は黒だけど、肌がすこし白い。
すこし、普通の色とは違う感じ。
「えっと・・・席は、天原さんのお隣が空いているようなので、そこに座ってください。
困ったことがあったら、なんでもみんなに聞いてください。みなさん、それではよろしくお願いします。」
すると、高橋君は「はい。」と静かにうなづいた。
なんか、うちのクラスにはあまりいなかった男子みたい。クールって言葉がまさに似合う。
「それじゃあ、皆さん、何かあったらすぐに私に連絡してください。よろしく。」
そういって、教頭先生は出て行った。
高橋君が花音の席の隣に座ると、花音に「よろしく。天原さん。」と言った。
「あ・・・・はい。こちらこそ。」
花音は男の子と目を合わせたりするのが、まだ少し苦手かな?
でも、高橋君は気にすることなく、笑った。
で・・・今、休み時間になったわけですが・・・女子の高橋君に対する質問タイムが始まっちゃいました。
「高橋君はどこから来たの??」
「ん・・・・イギリス。」
「イギリス!? どうして日本に来たの??」
「親の仕事の都合上で来たんだ。」
「へぇ〜・・・じゃあ、英語とかすごい話せるの??」
「まぁ・・・それなりには。」
高橋君は一人一人の質問に、丁寧に答えていく。
キーンコーンカーンコーン。
チャイムが鳴った。
高橋君の周りにいた子も、自分の席へと戻っていく。
1時間目は、数学かぁ・・・・。
30分経過・・・。
花音が高橋君を見てる。
それもそのはず・・・・。
「すぴ〜・・・・・・・・・・」
時折、寝息が聞こえてくる。
女子はくすくす笑ってるけど、高橋君は起きる気配がない。
先生の目が高橋君に向いている。
やばい!!
「すぴ〜・・・・・・・・・」
見るに見かねた花音が・・「高橋君、寝てちゃダメですよ! 起きてください!!」と高橋君に小声で言う。
高橋君は、「ねむいから・・・・・・やだ・・。」と静かに言う。
意外にも子供っぽい。
「そんなこと言ってちゃダメですよ! 高橋君、起きてください!」と花音が小声で言うと、「俺を呼ぶときは、狼でいい。」と言って、起きた。
「んと・・・じゃあ、次の問題を高橋君に解いてもらおうかな。」と先生が少し笑った感じで言う。
今まで寝てた子には出来ないような問題だと思うんだけど・・・・高橋君は黒板まで行って、スラスラと問題を解いていく。
「出来ました。」
「うん。正解だね。でも、今度から寝ないように。」
「あ、はい。すみません・・・時差になれないもので。」
そう言って、高橋君は自分の席へと戻っていく。
みんなが色んな事をぼそぼそ言うのが聞こえたけど・・高橋君は花音に「ありがとな。」と少しだけ言って笑った。