第16話 いつもの生活
「戸締りはしたし、忘れ物もないですね。」
「うん、それじゃあ、凛、黒夜さん、あたしは行ってくるわね。二人とも気をつけて!!」
そう言ってママは車で仕事場へと行く。
今日はテレビの撮影だそうだ。ママも忙しくなるだろう。
「では、お嬢様参りましょうか。」と黒夜さんいう。
あたしは、「うん。」と言って、一緒に駅まで行く。
駅までいっしょに来る黒夜さん。
でも、どこか様子がおかしい。
「黒夜さん、どうしたの?」
「いえ、すこし不思議な気配を感じたもので。」
「へ??」
あたしは首をかしげる。
不思議な気配ってどんな感じなの??
「いや、簡単に言いますと・・・・人間じゃないものが紛れ込んでるみたいですね。この世界には。」
「と言われても、よく分かんないんだけど・・・」
とあたし達が話していると、「凛ちゃーん!!」と元気のいい声がする。
手を振ってくるのは、花音だ。
「凛ちゃんおはようです。あ・・・・あと・・・黒夜さんも・・・・。」
そういって、花音は照れる。でも、黒夜さんの顔はきちんと見れるようになってる。
「はい。おはようございます。花音さん。」
「お・・・・おは・・・ようございます。でも、どうして黒夜さんは今日、ここに??」
「お嬢様の付き添いです。何しろ、あのような事件があったばかりなので、心配で護衛もかねてしております。」
「そうですか・・。でも、凛ちゃんに何にもなくてよかったです!」
「それは、不幸中の幸いということで・・・。」
あたしは少し黙って話を聞いていた。
この二人は、あたしのことを心配してくれてるんだなぁ・・・って言う感じがして・・・すこし嬉しい感じになった。
「黒夜さん。」
「はい。なんでしょうか?」
「護衛よろしくね。」
「かしこまりました。」
黒夜さんは笑ってうなづく。
でも、少しだけ目線がずれた。
あたしへの目線じゃなくて、花音への目線でもなくて、自分の後方に。
それで、何かを気にするように見ている。
「黒夜さん??」
「・・・・・行きましょう。」
こうして、あたし達は3人で学校に行くこととなりました。
中学生2人と執事・・。
ある種、不思議な光景だと思います。
行く途中に、「凛ちゃん、本当に無事でよかったです♪」と花音が言う。
「うん、あたしも無事でよかったよ」とうなづく。
「でも、黒夜さんが助けてくれたんだよ。誘拐犯をバシッって!!パンチしたり。」
「黒夜さん、すごいお強いんですね!」
「一応、空手2段と、ブラジリアン柔術を黒帯を貰っております。まだまだですが・・・。」
「へぇ〜・・・・・・」
「すごいです!!!!」
「いえ、お嬢様を安全に、守るにはまだまだです。」
いえ、吸血鬼だから・・・文句ないと思う・・・。
あたしはその言葉を出そうかと思ったけど、辞めておいた。