第11話 執事の休息。しかし、凛が・・・。
ドンドンドン!
「おい、開けてくれ!」
台風の声がする。どうやら、慌てている感じだ。
大山さんがすぐに、玄関に向かう。
ガチャ。
あたしは・・・黒夜さんの姿を見てびっくりした。
「黒夜さん・・・・どうしたの!?」
びっくりしながら、ママが聞く。
「どうやら、犯人とやりあったらしい。」
「かすり傷です。大したことはありません。」黒夜さんはたんたんという。
大山さんは、「とりあえず、手当てをしないと。」と救急箱を取り出した。
あたしは、黒夜さんがぼろぼろになって帰ってきて・・・どういう言葉をかけてあげたらいいのか分からなかった。
黒夜さんは・・・その場にバタっと倒れてしまった。
「おい!」と台風が声をかける。
「黒夜さん!」
「あわわ・・黒夜さん!」
「ちょっと!」
「大丈夫!?」
「zzzzzz・・・・・・・・・すぴ〜・・・・・。」
「寝てる・・・・・・・・??」とママが言う。
「と、とりあえず、お部屋に運ばないと!!」 花音が言う。
「あ、じゃあ、こっち!」 あたしは気づいて、部屋を案内する。
「よいしょっと! て・・・・・あぁ・・・・!!」
台風が持ち上げたんだけど・・・黒夜さんのほうが大きくて・・・踏ん張りがきかないみたい・・。
「ちびだとこういうとき、不便ね。」
「ちびっていうな!!」
なんとか、黒夜さんを部屋に入れた。
黒夜さんの部屋は真っ白。
あたし達がこのマンションに住んでから変わらない色だけど、黒夜さんがいると、少し違って見える。
それにしても黒夜さんは・・ボロボロだ。
「じゃあ・・・とりあえず、俺と恭子は奥さんにこれからの作戦を話すから、悪いけど、凛ちゃんと花音ちゃん、黒夜を見ててくれ。」
「はい。」とあたし達は言うと、ママたちは部屋を後にする。
黒夜さんは眠ってる。
そういえば、黒夜さんの寝顔見るの初めてだ。
でも・・・今は心配で心配でたまらないよ・・・。
「黒夜さん、だ・・・大丈夫なんですかね・・・??」と花音が聞いてくる。
「たぶん・・・大丈夫。」とあたしは言うけど、涙が出てきた。
だって、あたしを守るためにこんなにぼろぼろになってる。
あたしをどうしてそんなに守ってくれるの??
あなたはどうして、あたしのためにぼろぼろになるの??
そう思うと、涙が止まらなくなった。
「凛ちゃん・・・。」 あたしの手を握ってくれる花音、そして、こう言った。
「凛ちゃんのこと守るために・・・ボロボロになってる黒夜さん見ると・・・あたし凛ちゃんにやきもちやいちゃいます・・・こんなときに変ですけど・・。」
「え??」とあたしは聞く。
「だって・・・黒夜さん・・・あたし好きですし・・。」と花音は照れながら言う。
その時、「う〜・・・・・」と黒夜さんがうなり始めた。
「どうしたの!? 黒夜さん、どこか痛いの!?」
「あたし、台風さんたち、呼んできます!」
「う・・う・・・・・・。」
「黒夜さんたら!!」
「お・・・・」
「お??」
「だめです・・・。」
「しっかりして!!!!」
「お腹がすいているんです・・・。」
え?? あたしはわからなくて聞いた。
「何??」
「お腹がすきすぎて・・・・昼ごはんが食べていない・・・・ですから・・・・。」
みんなが黒夜さんの部屋に集まってきた。
「どうした!?」と台風がきいてくる。
あたしは、答えてあげた。
「・・・・・・お腹がすいたんだって・・・。」
みんなキョトンとしてる。
でも、次の瞬間、ママが笑ったのを皮切りに、全員大爆笑。
黒夜さん・・・・・状況を考えて言ってよ(笑)
ということで、黒夜さんがおなかがすいた・・・ということで、何か作ってあげよう!ということで、あたしはチャーハンを作ることにした。
怪我があるのに、黒夜さんに作らせちゃ悪いもん。
「凛ちゃん、あたし手伝います!!」
「うん、じゃあ・・・お皿をおねがいするね。」
「はい。」
なんか、家庭科の時間みたい。
すると・・・何か視線を感じたあたし。
じ〜・・・・・っと。誰かが見てる。
ぐ〜・・・。だら〜・・・。
よだれを少し垂らして、台風が見てる。
いや、怖いよ! 台風!!
ということで、あたしは2人分作ることになりました。
あたしの、作ったチャーハン。
一人はバクバク食べております。
「うん。うまい、すげ〜・・・うまい(笑)」と言って食べるのは、台風。
黒夜さんはというと・・・・・「上手くつかめないです。」と苦戦してます。
花音が近づく。
「く・・・・く・・・黒夜さん!!」
「はい、なんですか?」
笑顔で返す、黒夜さん。
花音がまた照れちゃう。 がんばれ!!
「あ・・あ・・あの・・。」
「はい。」
「私が・・・た・・・た・・・・た、食べさせてあげるです!!」
花音はすごく顔を赤くして・・・照れてる。
黒夜さんはそんな花音の顔を見ながら、少し考えてから笑って、「お願いします。」といった。
「あ、あ〜んです・・・♪」
黒夜さんは大きく口を開ける。
食べる・・。
「どう?」とあたしは聞く。
「おいしいですよ♪」と黒夜さんは笑って言う。
笑顔を見ると、花音がてれた。
あたしも何故か・・恥ずかしくなった。
あの笑顔は反則でしょ!
黒夜さん!
まぁ・・・そんな感じだったけれど、あたし達は片づけ中。
花音が、片付けを手伝ってくれるからありがたいや。
「花音、ごめんね。遊びに来てくれたのに・・・」
「いいんです♪ だって・・・・黒夜さんに・・・・・」
と、言っててれる花音。
あたしはすこしそんな花音見て、かわいいなぁ・・・とほのぼの思いながら、「そっかぁ!
良かった!」と言って、「洗濯物を取り込んでくるね!」と言って、洗濯物を取り込みに行く。
ベランダに行く。
大山さんが部屋の中から、「大丈夫? 手伝おうか?」と言って声をかける。
あたしは、「大丈夫です。」と言って、洗濯も籠の中に入れていく。
さて、部屋に戻るか。
そう思ったその時!
「凛!」
「凛ちゃん!」
ママと大山さんの声が響く。
後ろから誰かに抱きつかれた!
な、なに!?
と、おもったら、何か染み付いたガーゼを口に当てられる。
ん・・・。