6日目 仲間との腕鳴らし 下
昨日より曇りが出ているためか、かなり涼しかった。あとは町に帰るだけだった。テントを片付け来た道を歩きだす途中で話をしながら、
「今回は、まあまあの収穫やったな肩慣らしも無事終了したしモンスターの変化も確かめられたしな」
「そうね肩慣らしだけの点だったら成功だと思うわよ」
ダークは跳ね上がりながら喜んでいた、あのモンスターの変化はこれからも起こるだろうから注意をして戦わないといけないなと思った。
「まだ時間はありますよね、家族の分も獲物も取って帰りたいのでオックスが沸いたら少し狩りをしても、いいですか?」
「そうね私も旦那置いてきたから食べさせてあげたいわ」
「俺も母と弟にもっていてあげたいですね」
「そうやな時間はあるし出てきたら狩ろうっか」
家族想いの黒髪の青年が提案をすると俺達は頷きあった、結構な時間、歩いていたつもりだったのだがモンスターが1匹も出てこないし周りを見渡しても動いている生物がいなかった。
「モンスター現れないやん、冬眠にでも入ったんかな」
「今夏よそれはありえないわね」
今夏なんだからそれはありえないでしょう、青目の美女は溜息をつきながら答えていた。その時ものすごい数のオックスの断末魔が平原に響き渡る小学生の子はびっくりのあまり腰を抜かした様に座り込む、俺・アラン・ティファは急いで、見に行くとそこは綺麗だった景色から一変してモンスターの死体の山になっていた。
親子連れだろうか一番大きい人が剣を2本、両手に構えながらモンスターだった物を見下ろしている、ダークと同じ背の子供が拍手をして賞賛をしていた、
「レオン様お見事です」
「可愛そうな事をしてしまいました。まさか私の怒気によりこんなにもモンスターが寄ってきてしまうとは、神よお許し下さい」
大きい男が倒したんだろうか、涙を流しながら神に慈悲を求めていた。
「あのすみません。これ全部貴方がやったんですか?」
俺はモンスターの死体をかき分けて、レオンの横に行くと恐る恐る聞いた、
「そうですレオン様による剣技によるものです、ものすごいでしょう」
ダークと同じ様な子供がお父さん?を両手を挙げながら自慢気に話をしていた。
「エイブ君嘘はいけませんよ殆どは貴方の斧術の攻撃で倒したんでしょう、私は最後の1体を倒しただけ」
レオンと呼ばれてた人は首を横に振りながら訂正をした、この数をこんな子供が一人で本当だろうか、技の秘密を知られるのが怖いのか、謙遜しているだけなのかもしれない。親子にしては、今時自分の息子に君付けする親は珍しいと思った。
「へえお前チビのくせにやるな」
「む、同じチビのやつにそんなこと言われたくない」
ダークが喧嘩を吹っかけると叩き合いの喧嘩になった。見てて可愛いと思った、いつも喋ってくるティファはブルブルと震えてレオンを恐怖の表情で見ている、傍らアランはすごいなあと言っていた、金髪の美女の震え方はいつもと違っていてどうしたんだろうかと思った。
「エイブ君行きますよ道草を食ってるわけにはいきません、神が私達を呼んでいるんです」
「はーいレオン様でもこの倒した敵の素材はどうしましょう残していったらそれこそ神様のバチが当たりませんか」
死んだ死体を見下ろし涎を垂らしながらエイブが食べたそうな顔をする、はぁとレオンは溜息をつきダークに近づいていき驚く事を提案をする、
「仕方ないですね、すみません冒険者の皆さん私達はこれから大事な用があって急いでいるのですが、剥ぎ取っている時間は今はないんです。もしよかったらですね調理品とこの死んだ肉を交換してもらえませんか?」
「おー、いいんですかじゃ有難くもらいたいのは山々なんですが昨日余ったオックスの干し肉が4つしか今手持ちがないんですよ」
赤髪の小学生は首を横に振ると鞄を逆さまにして干し肉を取り出した。レオンは干し肉を拾うとこれでいいのでお願いしますと頭を下げる。
「いえそれでいいです今度会ったときにおいしいご飯をエイブ君に食べさせてあげる条件付でお譲りしたいと思います」
「マ、マジですか」
干し肉4つを受け取ったエイブはわーいと喜んでいた、小学生の子とレオンは握手をしているみたいだった。本当に急いでいるみたいでエイブ・レオンは別れの挨拶をしてその場を後にした。
「いやー、いい取引やったなそういやティファあまり喋らなかったやん、どうしたんや?」
「大丈夫よ、ただあのレオンって呼ばれた男が気になっただけあの男は人を殺しているわね、それにかなりの使い手よ」
ティファはレオンの事が気になったみたいだ、女の感なんだろうかそんな事を呟く、
「気のせいやろ?その前に人殺してたらドクロマーク付いてるはずやしな更年期障害とちゃうんか?」
少し笑いながら赤髪の子はティファを馬鹿にし始める。数分後手加減抜きの拳骨がまた平原に鳴り響く、
「とりあえず剥ぎ取りましょう、すごい量ですよ」
「そやな4人でやっとこうか」
アランは興奮したように言った横でダークは大きなたんこぶを作っていた。急いで作業に掛かった、オックスの胸肉24オックスの腿肉25オックスの角11個が取れた。
全部は取れなかった、5~6体を剥ぎ取るとあんなにあった死体が全て塵になった4人で解体したので4人は血だらけだった。これでは町に戻っても目立ってしょうがないのでテントのドラム缶風呂だけ取り出し血だけ洗い流す、少し休むと大量の素材を手に入れ町に帰ったが、終始ティファは怖い顔をしていた。
「素材は食べ物とお金を4等分にしとこか」
「ダークさん加工お願いしてもいいですか?」
ゲットした4960ギルを4等分にして一人1240ギルをみんなに渡した直後に俺は料理スキルが高いダークに頭を下げお願いをした。
「一人240ギルで加工したるで」
「汚いわねしょうがないわね」
さっきの暗い表情は消えていたがため息をつきながらティファさんは240ギルを渡すと、俺・アランも同じ様にダークに手渡した。
「ゆっきーはいいよ調味料とか取ってきてくれたし」
そっと俺に240ギルを返すダークは急いで調理に取り掛かるとすぐにオックスの塩コショウ焼き12個・干し肉32個・林檎ジュース12個・簡単林檎サラダ12個を手際よく作り上げた。
「出来た塩コショウ焼きはアラ坊5ティファが2ゆっきーが4でいいな」
「気を遣わせてすいません」
アランは5人家族なのでダークが気を使いながら家族分の料理をアランに手渡す。
「あとは4等分でいいやろ」
アラン・ティファ・俺はハーイと返事をしてダークが作ってくれた物を鞄に詰め込んで行った。
「残った素材はどうしましょうね」
「私は鞄重くなるからゆきちゃんが持ってて」
「そやな、ゆっきーは真面目やし安全やろ」
手に入った素材はダーク・ティファが管理するのが嫌なのか俺に頼んできた、アランもユキさんなら安心だと言っているので頼りにされていて気分がよかったので喜んで了承した。3人と別れて家に帰り収穫を家族に見せたらものすごく喜んでいた。美味しい料理を食べその日はゆっくり家族と過ごした。