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現実世界+オンラインゲームの世界=????  作者: 雪猫
第二章 現実世界の異変
27/31

25日目 東北異聞 福島 二本松市伝説 下

 目を覚めると金髪の美女も起きていたみたいでフスマから外の景色を見ていた。

 「ティファさんおはようございます、早いですね」


 「ユキちゃんおはよう霧はどうやら晴れたみたいよ」


 晴れたにしては今だに暗いのが気になる俺も立ち上がり外に出てみると、昨日と同じで空は赤く薄暗いままだった。

 「あれそんなに眠ってないのかな」


 「眠ってたわよ、でも空は変わらなかったわね」


 もしかして寝過ごして夜になってしまったのかと思ったら景色が変わってなかったみたいだ。クエストに寄るものだろうか考えると赤髪の小学生が起きてくる。

 「うーん、もう朝かってまだ夜やんけ」


 まだ眠いのか目をゴシゴシしていたダークが布団に入ると眠り出すがすぐにティファがビンタをして起こすと涙目になっていた。

 「冗談やんか、起きるとは思ったんやで」


 「本当かしら?今度同じ事したら鎌で斬りつけるからね」


 ティファが懐から鎌を取り出すとダークは泣きながら謝った。騒ぎを聞きつけてホワイトとアランも起きて来る。挨拶を交わし朝御飯を食べてから外に出るとやはり暗い、さっきまでは建物の中でわからなかったがどうやら校舎のグラウンドに建っているみたいだった。黒髪の美女が近づいてきて別れの挨拶を言う。

 「お客さんもうお帰りですか?また着てほしいですわ」


 「東光尼さん、また来ます」


 ダークは名残惜しそうに東光尼の手を握るとみんなに号令をかけて出発しようとしていた。すぐに校庭のグラウンドを出ると街灯がない薄暗い道に出る赤い空も相まってものすごい怖い。子供の時は何度も通ったはずなのに一歩一歩がなぜか重いような気がした。

 「こんなに静かだと何か怖いですな」


 「そうやな、でも一人じゃないからあまり怖くないよな」


 ホワイトはガウガク震えだすと赤髪の小学生は杖を強く握りいつ何が来てもいいように空中で素振りをする。たしか黒塚までは坂道を越えていかないといけないはずで、そこの近くの酒屋工場が異様に不気味なのだ。

 5人は道なりに進んでいくと十字路に出ると右側の坂道を上っていく頂上に着くあたりに何かが出そうな酒屋工場があった。

 「怖いやん、ここって何作っている工場なん?」


 「日本酒ですね、二本松市は日本酒の町なんですよ」


 「へぇ、今度飲んでみたいわね」


 ダークが暗めの大きな工場を指差しながら俺に訪ねてくると説明をした。ティファはお酒が好きなのか手をコップの形にして飲んだふりをしながら工場がやっていない事を惜しんでいた。

 そこから下り坂の道には近くの小学生が作った土器がところどころに置いてあり一種のお化けロードであった。

 「ユキさん何で置物がところどころにあるんですか?」


 「可愛らしい作りですが何か怖いですぞ」


 「近くの――――」


 やはり聞いてきたので俺は説明をしようとした時に前から太鼓の音がしてきた。目の前には提灯を持った何かがこちらに近づいてきていた。

 俺達は急いで近くの誰もいない住宅街に隠れるとその物体は静かに近づいてきた。昨日と同じ鬼みたいな生物が左手に提灯を持って6体が見回りをしていた。


 気になった事があった、そういえば住宅に住んでる人はどうしたんだろうか、クエストが始まって以来見掛けていない気がする。始まりの町に避難しているんだろうか、考えていると近くにいた赤髪の小学生が住宅街のドアをガチャガチャしはじめる。扉はすぐ開き赤髪の小学生は入る事にした。

 「何か鍵閉まってなかったみたいや、入れるで」


 「こら、さすがに勝手に人様の家に入るのは不味いでしょうが」


 ダークは手招きするとホワイト・アランは後に続く、ティファはそれを見て呆れていたが仕方なく入っていた。

 「大丈夫や、あの鬼共がいなくなったら進めばいいんやし」


 「お邪魔しますぞ」


 「何か泥棒みたいですよね」


 ホワイトは靴を脱ぎ小声で話すと後ろにいた黒髪の青年が溜息を付きながら喋る。部屋に入ると、どうやら2階建てみたいで玄関の近くには階段があった、俺は小声で誰かいないか確認する事にした。

 「すみません、誰かいませんか?」


 声は黒い通路に響くが一向に返事がなかったティファも様子がおかしいのを感じ取ったのか周りを確認している。

 「誰もいないのはおかしくはないですか、生活の跡はあるので何かあったとしか」


 「みんな声を落としてこちらに来て頂戴」


 どうやら茶の間に行った金髪の美女が何やら見つけたみたいだ。すぐに茶の間に向かうと部屋中が血まみれになっていた。昔ネットで見た赤い部屋に似ていた。ダークはあまりの光景に口を大きく開けて。

 「うわー、これどうし――――」


 大きな声だったのでティファが思いっきり握り拳を作りダークの腹を殴ると崩れていった。

 「だからまだ外に鬼いるのよ」


 怒っているみたいだった。ダークは腹を抱えながらプルプルと震えて涙目になっていた。

 「だって普通に見たらホラーやんけ、さっき宿屋で食べてきたものがドロップアウトしそうや」


 あまりに可愛そうなので俺は小さい背中をさすって上げる事にした。ティファは血痕を確認しているみたいだった。

 「どうやらまだ新しいわね、さっき襲われたとしたら近くの神社で蘇っているんじゃないかしら?」


 「そうですね、その可能性はありますよね」


 ティファは現状を見て説明をすると黒髪の青年がうんうんと頷いていた。でも気になる事がある何で家に戻ってこないんだろうか二本松市の大きな神社だとすると駅前のしか思い浮かばない2階の窓から確認してみると、どうやら嫌な予感は的中してみたいで駅前は黒い煙に包まれていた。

 「あっちから煙が出てますぞ?何かあったんでしょうか」


 「大きな神社があの周辺にあるんですよ、もしかすると大きな戦闘になっているのかもしれませんね」


 気になるがどうやら見回りしていた鬼達は去ったようで黒塚に急いで向かう事にした。向かう途中どうやら他のPTも攻略しているみたいで忍び足をしながら進んでいた。ふと橋の上で何組のPTが立ち往生をしていた。


 ダークは前にいた女冒険者に尋ねてみる。

 「なーなー綺麗なお姉さん何かあったんかな?」


 「鬼族がバリケードになってて進めないらしいわ」


 俺は前に出て確認してみると提灯をたくさん持った生物が血走った目をしながら俺達を睨み付けていた。仕方がないので後ろに下がる事にした。

 「ユキさん他にあっちに渡る橋はないんですかな?」


 「たしか戻った下に行く道にもう1個ありますね」


 来た道を戻ると冒険者に何組か合い状況を説明しながら違う橋に向かった。その頃には人数も5人から13人の3PTになっていた。

 もう一つの橋はどうやら何もいないようでものすごい静かさを放っていた。3PTはお互いの安全を祈り合うとそれぞれ突撃をし始めた。


 いないと言っても1~2匹はいたみたいで急いで戦闘をすると慎重に戦いながら倒す。奥に進むと夜は怖い工場地帯の道に出る絶対一人では行きたくない道で背筋が寒くなる。

 あちら側から騒ぎ声が聞こえるどうやらあちらも戦闘が開始されたみたいだった。すぐに工場地帯を抜けると黒塚が見える橋の下が見えてきた。


 橋を見ると血だらけになっていた橋はあったが誰一人もいなかった。もしかするともう黒塚に着いたのかもしれないと思い俺達も急いで向かうのだが黒塚には2人しか居なく抱き合っていた。

 1人はさき程出会った若い男冒険者でビクンビクンと動いているだけだった。すると男冒険者は糸が切れたように倒れこむと体が半透明になっていた。


 もう一人の何かが俺達に気づいたようで大きな雄たけびを上げると突進してきた。すぐに臨戦態勢だったホワイトが受け止めるが一撃が重いらしくあの筋肉質な体が後ろに下がっていた。

 「重い攻撃ですぞ」


 「ユキちゃん早く守護の呪文を掛けてあの人蘇生呪文掛けて」


 金髪の美女に指摘された内容をすぐに実行をする。蘇生呪文も詠唱が始まるとすぐに紫色の氷が黒い肌の鬼みたいな生物に当たると苦しんでいた。蘇生呪文を唱え終わると半透明になった男冒険者を蘇らせた。

 「ありがとうございます、両手剣で参戦させて頂きますね、あと注意点があってHPが半分になると即死攻撃があるみたいです」


 「即死攻撃あるんか?それって物理的なものなんかな?」


 男冒険者がさっき戦った失敗談を話すとダークは考えるように尋ねてみる。

 「あいつの持っている包丁が黒く輝く時があるんですが触れた瞬間にHPが一瞬で吹き飛んでいました」


 そろそろHPが半分まで削られると包丁が黒く染まりだし輝きだすそれでホワイトを攻撃をすると盾で受け止めるのだが一瞬にしてHPが0になった。

 みんなに緊張が走ると同時にアランがオールフュアローで敵視を自分向けるとハードンプロテクト使う。すぐに盾にヒットするが1回はダメージ無効になるため弾かれる事になると黒い包丁はいつもの色に戻っていた。


 すぐに俺は蘇生呪文をホワイトに向けると男冒険者はさっきのお返しとばかりに連続で攻撃を加えていた。ダーク・ティファの攻撃も食らうと、どうやらHPが尽きたみたいで目を見開きながら後ろに倒れていった。ホワイトを蘇生すると泣きながらダークに抱きついていた。

 「怖かったですぞ」


 「こらホワイト離せや」


 「これって剥ぎ取るんでしょうか?」


 アランが残った死体を見て尋ねてくるとティファが頷く。

 「そうね、ダークお願いしていいかしら?」


 「何でいつも俺ばっかなんや、ちょっといきなり噛み付かれたら、ちゃんとフォローしたってな」


 今にも起きそうな鬼を恐怖の表情で見ると料理包丁を取り出し切り取っていく。

 手に入った物は鬼の黒皮と黒鬼の角だった。すぐに男冒険者はお礼を言うとワープをして仲間達の元に戻っていった。

 「どうするんや?黒包丁ないやんけ」


 「ここはどうやら外れみたいね」


 「ユキさん近くに何かあったりしないんですか?」


 何もない事にがっかりする面々の中黒髪の青年が俺に聞いてくる。

 「鬼婆が包丁を突き刺した岩が置いてある神社が近くにあったはずですね」


 「行ってみましょうぞ」


 白い巨体は再び立ち上がり俺の腕を掴むと急いで歩き出す。みんなも後に続く様に着いていく神社に着くと誰もいないみたいで不気味だった。鬼婆が刺した石の上を見ると黒い禍々しい包丁が突き刺さっていた。

 「お、もしやあれか」


 すぐにダークが上り包丁を抜くと俺に持ってくるどうやらこれが黒包丁みたいだ。黒包丁は形を変えて黒い小さな鍵になると俺の手のひらに落ちてきた。

 「え?なんや何が置きたんや」


 「何か鍵になってしまいましたね」


 あまりの出来事にダークは驚いていたクエスト内容を見るとクリアの文字が書いてある次なる試練が書いてあった。

 「皆さんどうやらクリアしたみたいです、次の内容が浮き出てきました」


 「おーマジか何て書いてあるん?」


 ダークは待てないのか俺のクエストのメニュー画面を覗き込んでくる。赤髪の小学生以外はわからないので口で説明する事にした。

 「次は福島県にある湖にいる大蛇の抜け殻を取って来いって書いてありますね」


 「福島県って湖って何があるんや?」


 俺がクエストの説明をするとダークが湖の事を聞いてくる。

 「うーんと猪苗代湖ですかね」


 「猪苗代湖には蛇伝説みたいな物があるんですかな?」


 思いつく湖は1つしかなかったそれを口に出すとホワイトは何かあるのか尋ねてくると俺は首を振りながら答える。

 「いやー何回も行ってますが聞いた事はないですね」


 「誰か詳しい事知ってる人っていないんか?」


 俺は頭を抱えながら考え込むと一人だけ心当たりを思い付くそう母方の実家に住んでいる祖父の事を思い出した。

 「祖父ちゃんなら知っていると思うんですがここからかなり遠いですね」


 「どれくらい遠いんですか?」


 車で20分くらいだから10キロくらいだろうか。

 「ここから2時間くらいですね」


 「遠いなあ、どうしようっか」


 5人は頭を抱えて考えているとティファがいい事を思い付く。

 「そういえば購入者特典のあの子使えないかしら?」


 ティファのアイディアに感嘆な声が出るが、でも所持品リセットされたんじゃなかったんだっけ恐る恐る乗り物リストを確認するとたしかに登録がされてあった。

 「でもこれってどうやって使うん?」


 「アイテム登録した時にキャラクターの指にヒコウペンギンの紋章が刻まれたでしょう」


 指摘された後に掌を開くとたしかに右手の親指にペンギンのマークが付いていた。

 「たしかね、その紋章目掛けて息を吹きかけると音が鳴るらしいから10秒間鳴らし続けてみて」


 半信半疑で息を吹きかけてみるとグァァと言う音が聞こえる。鳴き声なんだろうか、思いっきり吹きかけると大きな泣き声が暗い神社に響き渡る。

 「グァァァァ、アァー、アァー」


 「おいおいこれ何の鳴き声なんよ、何か怪獣映画を思い出すよな」


 そこまで鳴き声は怪獣の様な声でびっくりしたが上から大きな生物が降ってきた。二足方向で立っている水色の肌を持った生物はこちらを愛らしい表情で見つめてくる。

 「可愛いじゃないですか、私1回も使った事なかったですけど何かいいですね」


 「うむ、でも俺のペンギンだけ、やけに小さくないか?」


 どうやらみんなの背の大きさに合わせているらしく一番大きかったのはホワイトだった。すぐにダークがペンギンの背に乗ると小さい手をバタつかせ空に舞うと赤髪の小学生は気持ちがいいのか感嘆な声を出していた。

 「これすごいわ、でもこれ高所恐怖症の人は嫌だろうなあ」


 俺も柔らかそうな背中にしがみ付くと手をバタつかせ空の上に飛び出す。手綱がありどうやらこれで方向を指定できるみたいだった。

 すぐに俺は祖父の実家がある本宮に向かうと丁度駅の真下が見えた。そこには鬼の大軍勢と冒険者が戦っているみたいだった。


 8分は飛んだだろうか赤い空がいつも通りの暗い空に変わっていた。やっと祖父の家に到着するとヒコウペンギンは一回鳴くと空高く飛び去っていった。

 「何か名残惜しいわね」


 「そやな、パトラッシュまたな」


 ダークはどうやらもう名前を決めてたみたいで犬の名前を付けられた小さなペンギンは鳴くと空の彼方に飛び去っていった。

 「いやー広いお家ですな」


 「何か、うちの実家に似ている気がします」


 祖父の家はなぜかわからないが家が2個繋がったお家だった。片方は事務所になっているが母が小さい頃育った家を見ると何か感慨深い気持ちになる。それはさて置き玄関の扉を叩き呼びかけてみると犬耳の祖父が出てきてくれる。

 「はいはい、どなたでしょうか?」


 「祖父ちゃん俺だよ、わからないかな?」


 祖父ちゃんは俺の顔を見ると首を振りながら答える。

 「婆さんこっちに来てみ」


 祖父に呼ばれた祖母が顔を出すと俺を見ると少し驚いていたがすぐに抱きしめ言ってきた。

 「ユーくんじゃない久しぶりね」


 「ユーくんだったのか女の子になってたから気づかなかったよ、さあ入ってゆっくり休みなさい」


 祖母はなぜかわからないが勘が鋭いところがあり、すぐ俺だとわかってくれたみたいだった。

 「お友達さんもいるのね、皆さんどうぞ、何もないですが上がってください」


 祖母が優しく言うと4人は靴を脱ぎ祖父の家に入り込むホワイトは東京暮らしが長いせいか大きな家に驚いているみたいだった。

 「大きなお家ですな、お邪魔しますですぞ」


 礼儀正しく4人は挨拶をしながら座布団に座ると祖母が人数分のお茶を持ってきてくれたみたいだった。

 「祖父ちゃんと婆ちゃんは大丈夫だった?大きな地震でこんな事あったから心配はしてたんだよね、連絡手段が無かったから少し諦めてたんだけど」


 「こちらは大丈夫でしたよね?お爺さん」


 「そうだね、ユー君何か御用だったのかな?」


 祖母は何も怪我が無い事を体を一回り回転して見せていると祖父が重い口を開く。

 「実はそうなんです。ゆっきーのお爺さん福島県で蛇伝説の湖の事知りませんか?」


 「ユー君小学生の子もいるんだね、すごい大人っぽい子で感心したよ」


 ダークを祖父が持ち上げて頭を撫でると赤髪の小学生は嬉しいのか照れているみたいだった。

 「お爺さん、その子小さいけど成人男性ですよ」


 「こらティファ何余計な事言ってるんや」


 「ダメですよ、お姉さんには礼儀を尽くしましょうね」


 ダークが大人顔負けの反論をすると祖母が怒りながら赤髪の小学生を叱っていた。そんな姿を見て金髪の美女は笑っている。話が進まないので俺が話をする事にした。

 「祖父ちゃん話は戻すけど福島県で蛇伝説の湖知らないかな?」


 「髪の長さが6メートルの美女がその湖には住んでいた。人を惑わせたり襲ったりしており狩人が鉄砲で対抗したが誰一人その美女に傷を負わせた物はおらんかったらしい」


 「時は鎌倉時代、ヨシツラという若者が村に訪れたらしい。お腹をすかせていた若者にたくさんの食べ物を渡すると喜んだ若者が何かをしたいと言い出すので大蛇退治をお願いする事にしたみたいだ。湖に行くと美女は大蛇に変わり若者を襲ったらしい、その時に使われた武器が蛇殺しの刀で若者が一太刀浴びせると大蛇は首が落ちたらしい」


 「その首を若者が供養の為に土に埋めると怨念深い蛇の頭は出てこようとしたみたいで蛇殺しの刀を頭に刺し封印をして、そこに神社を建てたみたいだ。神社の名前は蛇の名前が沼御前だった事もあり沼御前神社という名前になって今現在存在している」


 「場所は金山町沼沢湖だなここからだと南西の方角あたりにある」


 祖父ちゃんが急に話し出すと深刻な顔をしながら方角を示してくれていた。

 「ゆっきー金山町って行った事あるんか?」


 「福島にいますけど初めて聞きますね」


 南西だと南会津だろうか、会津方面があまり行った事がないのでそうなのだろうか。

 「ここからだと100キロくらいですよね?お爺さん」


 「100キロですか?」


 祖母が驚く数字を言うとホワイトが驚いているみたいだった。

 「でもあれやな俺達はヒコウペンギンおるから楽勝やろ」


 「ダークヒコウペンギンは1日30分しか飛べないのよ、だから飛んだ後は歩くかヒコウペンギンを地上で走らせるしかないわね」


 そういえば忘れていた事に俺も気づいた、そうだった1日に制限があったんだった。

 「今日は泊まっていきなさい、ご飯と漬物しかなくてごめんねぇ」


 祖母が台所からご飯と漬物を持ってきてくれると俺は驚いたように尋ねてみる。

 「これどうしたの?スキルないと作れないはずだし火とかどうしたの?」


 「叔父さんが家にいたから火を起こして貰ったの食器は無事だったから近くにあった川の水をろ過させてご飯を炊いたのよ」


 それにはギョっと驚くしかない何処の原始人かなと思った。

 「戦争当時はもっとひどかったのよ、これくらい朝飯前だよ」


 さすが戦争経験者は違うなあと感心をした。すぐにご飯と味噌汁を食べて漬物の頬張る。ご飯を食べると眠くなってきたので今日は祖父の家に泊まる事にした。


 時間を遡る事一つ目の橋の上では鬼と冒険者の大乱戦が始まっていた。冒険者が圧倒的に優勢だったが二人の仮面を被った何者かよって血の惨劇になる。

 阿鼻叫喚の中、女冒険者は仲間の死体を見て大混乱をしていた。HPが0になったはずなのに半透明にならずに血だけが出ている現象に助けを求めようと回りを見るがもう誰も居なく。二人の化け物がこちらを見ているだけだった。

 「ひぃ、誰か助――――」


 女冒険者は助けを呼ぼうと後ろを向いて走ろうとしたが胸にものすごい痛みが走り見ると獣の手が背中から突き刺さり心臓あたりを串刺しにしていた。

 「アッハハハ、逃がすはずはないでしょう」


 白い毛で覆われている男は刺さった手を抜き取ると女冒険者は崩れるように死体が残っていた。

 「いやぁ、でもセスティア嬢の簡易教会装置は面白いねえ」


 「リュカイン女は私に任せないって言ってるはずでしょう?」


 近くに転がっていた男冒険者の肉を頬張りながら茶髪の美女を褒めると血で塗れた赤い髪の美女は死んだ女冒険者の血を啜っていた。

 「エルザ嬢には言われたくないなあ、女性以外そんなに惨たらしく殺す人初めて見たよ」


 「私は血さえ、あればいいのよ、とりあえず死体だけお持ち帰りしましょうか」


 赤髪の美女は動く人形を召喚すると、その動く人形は手当たり次第に冒険者の死体を飲み込んでいく。

 「おいおい、鬼族の死体も持っててくれよ、こいつ等も美味いんだよ」


 リュカインと呼ばれた男は笑いながら鬼族の死体を食べる。

 「あんた本当に悪趣味よね食えれば何でもいいんでしょう?」


 「まあね、まあでもそしたら鬼姫嬢だって同じみたいなもんでしょう?」


 鬼族の死体を掻き集めてリュカインはものすごい速さで食べるともう一人の仲間の名前を呟く。

 「あの子は死体を料理する子だからね、あんたよりマシな部類よ、いつかあの子の血も啜りたいわ」


 鬼姫と呼ばれた女性をエルザは想像しているとうっとりしていた。

 「変人すぎるでしょう」


 「あんたもでしょうが」


 リュカインは笑いながら感想を言うとエルザは怒っていた。人形は死体をどうやら片付けたようですぐに召喚が解除されると何処かに消えていった。

 「さて行くわよ」


 「了解だよん」


 赤髪の美女は白い毛で覆われている男性の首根っこを持つと何処かに消えていった。

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