23日目 石碑
今日はなぜか朝起きると体の調子が悪いみたいだった。だるくイライラもする、連日の戦闘でストレスを感じているのかと思ったが、気にしない事にした。
なぜか外が騒がしい、起き上がり玄関を出ると近所の人が道路を唖然とした表情で見ていた。俺も近くに行って見る事にした。道路には大きな足跡があり巨人族サイズを大きく超えていた。
近所の人は悪戯された事に怒ってはいたのだが、俺は何か嫌な胸騒ぎがした。ふとTellで声が聞こえてくる。
「ユキちゃんいる?」
「ティファさんですか?何かあったんですか?」
今日は約束が無かったので声の主に少し驚き尋ねてみる事にした。
「村の外れで面白い物が見つかったらしいわ」
「面白い物ですか?」
面白い物とは何だろうかと考えながら聞いてみると、
「昔の石碑が見つかったらしいわ、よかったら一緒に見に行かないかしら?」
「予定はないですし、いいですよダークさんとアランさんは誘うんですか?」
今日は何も予定が無かったのでOKを出そうとすると、黒髪の青年と赤髪の小学生の事を思い出す。
「ダークはラッキーとお散歩するらしいわ、アランちゃんは今日は母と狩に行くらしいわよ」
「fmfmわかりました。入り口前集合でいいですか?」
赤髪の小学生は今日は愛犬のお世話らしい、アランさんは家族デーなのだろう。でもティファと二人で何処かに行くのは久しぶりすぎて誰かを横に入れたかったのだが、そんな時間は無いみたいで、すぐに始まりの町にワープをする。
金髪の美女が落ち着きながらも待っていると俺は急いで近くに行く。
「すみません遅くなりました」
「大丈夫よ、私も今着いたところよ」
頭を下げながら謝ると、少し笑われながら言われると何か恥ずかしい。すぐに石碑の話題に変える事にした。
「石碑って何処にあるんですか?」
「南にあるみたいよ、スケアクロウの巣より南にあるみたい」
スケアクロウ懐かしいなあと思っていると、すぐにティファが歩き出し俺もその後ろに付いて行く。歩いているだけじゃつまらないので少し話をしてみる事にした。
「今日朝起きたら道路に大きな足跡見つけたんですよ、ティファさんの住んでいるところもそんな現象ありましたか?」
「私のところはないわね、でも何か怖いわよね」
俺の話に同調してくれる様に頷いていた。すると前の方に見慣れた白い変態が歩いていた。どうやら彼も気づいたみたいで大きく手を振り挨拶してきた。
「ティファさん、ユキさんお久しぶりですぞ」
「ホワイトさんも見に来たんですか?」
ティファも挨拶をしようとしたがホワイトがすぐに抱擁してきたので俺は不思議に思い尋ねて見る事にした。
「そうですぞ、神秘的な物ですからな」
「ふぅ、息苦しかったわ」
窒息寸前のティファは大きく深呼吸していた。金髪の美女はお返しにお腹を殴っていたのだが白い変態は筋肉で覆われているので痛みを感じていないみたいだった。
3人で石碑に向かうとやはり人だかりが出来ていた。見た事がない文字がたくさん書いてある大きな石があった。俺とホワイトは感嘆の声をあげた。
「すごいですね」
「すごいですぞ」
「でも何て書いてあるのか読めないわね」
金髪の美女はせっかく来たのに読めない事にがっかりしているみたいだった。日本語でも英語じゃない文字だった。似ているといえばエジプトの文字に少し似てる様な気がする。
だがよくよく見ていると文字が自動変換機能により変化されていき最終的に日本語の文字になった。
「すごいわね、この機能」
ティファは傍らでそんな事を呟く、俺は読んでみる事にした。石碑にはこう書いてあった。
「ゲームをしていたら――――本当にすごい、この事を帰ったら伝えて――――技術力は我が国を――――る・1277・ソルトレイク」
抜けている部分があったがそんな内容な事が縦に大きく書いてあった。すぐにホワイトが、
「1277って年ですかな?」
「1277年だと日本は鎌倉時代よね?」
「この人は1277年にこの世界に来たって事ですか?」
3人は確認するように話し込むがティファは首を横に振りながら喋り出す。
「まだわからないわ、それにこのソルトレイクって外国の名前よね」
「そうですな、たしかアメリカにある州の名前で見掛けた様な気がしますぞ」
「じゃあアメリカはもうこの土地に来てたという事ですか?」
3人は考える様に頭を捻るが答えを出そうとしても情報不足から出せないでいた。
「はぁ、情報が少ないわね、とりあえずこの話は後回しにしましょう」
「わかりました、それでこれからどうしましょうね?」
「お二人聞きましたか?新しいクエストが受注可能になったらしいですぞ」
面白い話をホワイトが話し出すと、そっちの話に夢中になっていた。
「何が新しいクエストなんですか?」
「日本人限定で明日から受けれるクエストらしいですぞ」
「内容はどんな物なの?」
ティファも新しいクエストに目を輝かせながら聞いていた。
「まだわからないんですぞ、クエスト内容はまだ真っ白らしいですぞ」
ホワイトは首を横に振りながらわからないと言っていた。何処で受けれるか場所を聞いてみる事にした。
「それで何処で受けれるんですか?」
「西側のあの壊れた教会跡にいるらしいですな」
「面白そうね、行って見ましょう」
3人はすぐに石碑を後にして西側の教会跡に向かう、ここはダークが拉致された場所だ懐かしいなあと思っていると初老の男がこちらに気づいたみたいで近づいてきた。
「皆さん初めましてラトガーと申します、クエスト受注の方ですか?」
どうやらNPCみたいでクエストを取り仕切っている人みたいだった。俺は頷きながら尋ねる事にした。
「はい、クエストを受けたいんですがいいですか?」
「いいですよ、じゃあこの機械のスイッチを押してください」
初老の男は脇に移動すると目の前に大きな赤いスイッチの物が置いてあった。俺は気が進まなかったが押してみるとクエスト画面が開く事になり受注する事にした。
「登録完了です、明日からお願いしますね」
初老の男はそういうと頭を下げていた。すぐにティファがダークとアランに連絡を取っているみたいだった。ホワイトも友達に話し込んでいるみたいだった。
「あ、1つ注意事項がありましたクエストが完了するまで家に帰れないのでそのつもりでいてくださいね」
「わかりました」
注意事項は聞いていたが、どうせ無理だったらキャンセルすればいいからなと思っていると連絡が終わった二人が来る。明日の打ち合わせをして帰る事にした。
家に到着すると急に空が暗くなるので見ると大きな生物が飛んでいたが、もう一度見ると消えていた。幻聴を見るなんて今日は疲れているのかなと思い家族に話してから家でゆっくりする事にした。
東北地方の森林で茶髪の女性がある実験をしていた。人間の死体に鞄から取り出した液体を掛けていた。
「フフ、ここは僕のいい実験場になるな」
ナース服を着た女は、死体を見ているとカタカタと動き出したのを確認すると、狂気の笑顔になった。