20日目 サンピオーシャタウン 防衛戦 上
リサの部屋でゆっくり寝ていると、いきなりの地響きに目が覚める。どうやら隣で寝ていたティファも気づいたみたいだった。
「何かあったんでしょうか?」
「外からよね?私一足先に見てくるわ」
俺は心配そうにティファに尋ねると、金髪の美女は立ち上がり部屋を出て行った。ドン・リサはまだぐっすり眠っているみたいだった。俺もティファのところに向かうと、どうやら赤髪の小学生と白い妖精さんもいるみたいだった。
「ダークさんとホワイトさんも気づいたんですね?」
「うん、起きて部屋を出たらすぐにティファ外を見に行ったやんか、心配になってな」
「物音が凄かったですからな、心配ですぞ」
二人はどうやら心配しているらしくティファの帰りを入り口あたりで待つとすぐに金髪の美女が現れる。
「おい、ティファ何かあったんか?」
「港側からどうやら煙が上がっているらしいわ」
尋ねるとティファは深刻な顔をしていた。
「もう戦が始まったんですかな?」
ホワイトは冷や汗を掻きながら質問をする。金髪の美女は首を横に振り答える。
「まだわからないわ、みんなの事起こしておいてくれる?」
「そやな、ゆっきーリサさん・ドンお願い出来るかな?」
「わかりました」
ダークに頼まれた俺は急いでリサ・ドンの部屋に向かう。急いで体を揺さ振りながら起こすと、ドンはすぐに起きたのだが、リサが中々起きなかった。
「まだ眠い也、何かあった也?」
「何かあったみたいです。リサさん起きてください」
ドンが痺れを切らして床にいたスライムをリサの顔に押さえつけると、苦しいのかすぐに目を覚ます。
「ぷはぁー、お姉さん死ぬかと思ったよ」
息を荒くしながら顔からスライムを引き剥がす。
「それで、何かあったのかしら?」
「港側で煙が上がっているらしいです」
「大変也」
ドンは事の重大差に気づいたのか、急いで着替えをして部屋から出てみんなのところに向かう。
「わかったわ、お姉さんも急いで行くから待ってて」
欠伸をしながら準備をするみたいで、俺は部屋を離れた。どうやらアラン・メイも眠いながらも起きてきたみたいだった。その数分後にやっとリサも着てみんなが酒場前に集まる。
「じゃあ、様子を見に行きましょう」
「わかった也」
ティファが走るとドンが後ろを着いていくと、みんなも一緒に走り出す。どうやら煙は3方向から上がっているみたいだった。音と地響きで気づいたのか他に何組かPTが向かっていた。
走り出してから1時間は立ち、ようやく港に到着する頃には、NPCの兵士が集まって人だかりが出来ていた。
「あの、どいて下さい何かあったんですか?」
俺は掻き分けながらNPC人の男に尋ねる、
「大きな黒い槍が降ってきたらしい」
男の人は指差すと、そこには大きな太い槍が地面に深く刺さっていた。
「怪我人とか大丈夫だったんか?」
「どうやら怪我人は、いないみたいだね」
赤髪の小学生は心配そうに尋ねると、男は首を横に振る。あまりにも人が多い為に後ろに下がってから話し合う事にした。
「あの槍は何なんでしょう?」
アランは不思議そうな顔をして言葉を発していた。メイは眼鏡をハンカチで拭きながら喋る。
「サハギン族の新しい武器かもしれないぜ」
「でもそうなると何処から飛んで来たのかしら?」
眼鏡を掛けたエルフ女は首を傾げていた。白い変態が急に右手を上げる。
「皆さん、あの槍を見てください。HPバーがありませんか?」
ホワイトが指摘していたので、目を凝らしながらよくよく見ると槍にHPバーがあった。
「何かのギミックかもしれないわね、早くここからNPC人を離した方がいいかもしれないわ」
ティファが心配すると急に、槍のHPバーが0になり塵となって消えた。無くなった事にNPC人からはどよめきが起こっているみたいだった。
「何が起こったんでしょうか?」
「HPバーが無くなったみたい也、あまり怖い物ではないのかもしれない也」
目の前の消えた槍に驚いて、みんなに尋ねてみると、インディアンの子が話し出す。
「とりあえずは、もう船が着そうなのかもしれないわ、みんなはここで待っててくれる?メアリーに連絡しておくわ」
ティファはみんなから離れると、急いでメアリーにTellをしているみたいだった。すぐにメアリーとリトが到着する。
「それで状況はどんな感じなんだい?」
「まだ着てないけど、ここまで槍が飛んで来たんなら範囲内にはもういるって事よね」
メアリーはまだ眠いのか機嫌が悪いみたいだった。それを無視しながらティファは状況を説明をすると紫髪のロンゲはウンウンと頷きながら提案をしてくる。
「象怒そろそろ陣を引いておいた方がよくねえかな?」
「たしかにな、お前等俺に着いて来い」
メアリーは後ろにいる冒険者に号令を出すと歓声が上がり、港の浜辺側に走り出す。柵を作ったり救護テントを作ったりするのは大変だったが、なぜかやりがいを感じていた。
兵士2万とリトはどうやら木で展望台の用な物を作っていて、そこから支援をするみたいだった。さっきの槍用に地下も掘っているみたいで準備はだいたい整っていた。それで待つこと1時間一向に船は見えて来なかった。
「本当に来るんだろぅな?」
「町の人の情報だからね、予定としてはそろそろよ」
メアリーは待てないのか武器を振り回しながら暇を持て余していた。そんな彼女を見て金髪の美女は呆れている。
だが待っても船は見えてくる気配も無く、霧が深くなるだけだった。
「ダークさん霧深くなってきましたね」
「うむ何か怖いな、みんな離れないようにしとこか」
そこまで霧は深くなっていた。さっきまで前を見れば綺麗な海だったのに、アランもどうやら離れると不味いと思ったんだろう俺の前に来る。リサも怖いのかスライムを抱きしめている。
「本当嫌になっちゃう天気ね、お姉さん何か嫌な気分よ」
「そうですな、何も見えないとなると――――」
ホワイトも何かを喋ろうとした時に何かが起こった。最後まで喋ろうとするところで言葉が途切れたのだ。
「おいおい、何ふざけてるんや」
ふざけている白い変態にダークは憤慨をしていたのだが、急にアランが目の前に現れる。
「ダークさんユキ――逃げ――――さい」
その言葉を言うと目の前で黒髪の青年は前のめりに倒れていく。俺はどうしたんだろうと急いでアランの近くに行くとアランの背中には大きな槍が刺さっており血を大量に流していたのだ。
「そんな、嘘でしょう」
俺は信じられなく腰を抜かすと、すぐに赤髪の小学生に叩き起こされる。
「ゆっきー、守護の呪文掛けたって、もう戦闘は始まっているみたいや」
ダークに叱咤をされてようやく周りの状況を確認をすると、ひどい状況になっていた。大きな槍が刺さってみんなが苦しんでいたり、サハギン族に何度も攻撃をされて消えかかっている物もいた。
血だらけの惨状に、初めてわかる事がある。これが戦争なんだと、だがそれがわかった瞬間震えが止まらなかった。急いで残っているメンバーを確認をするが、なんと俺・ティファ・ダーク以外は全滅に近かった。
「どうしよう、何を最初にすれば……」
急な出来事によりあたふたをしてしまう。すぐに守護の呪文を残ったメンバーに掛ける。
「おい、ティファ状況が不味い一回下がらへんと駄目かもしれん」
「そうね、メアリー撤退命令を出して」
「あぁん?こんな楽しい状況は久しぶりなんだ、俺がここを食い止めている間に逃げやがれ」
状況が不味いのでダークは金髪の美女に提案をすると頷きながらメアリーに話すが時間稼ぎをするみたいな事を言う。
「ダーク、ユキちゃんをお願い私はメアリーと時間を稼ぐわ」
「おう、わかった。すぐ戻るから待っとれよ」
ティファはメアリーの背中越しに行き一緒に戦っていたが、あの数では持ちそうにはなかった。
「ゆっきー行くで」
俺は赤髪の小学生に手を引っ張られて戦場を離れていくも、急にお腹に痛みが走ると、横に転んでしまっていた。
どうやら背中越しにお腹に突き抜けて槍が刺さっているみたいだった。あまりの痛さに叫びたくなるが声が出ない、涙がポロポロ流れていく。
「おい、ゆっきー大丈夫か?ちくしょう魚野郎、俺が焼き尽くしてやるで」
一生懸命ダークは呪文を唱えて応戦しているのだが、サハギンはどんどん集まり数で小さい小学生を切り刻んでいくとHPが無くなり消えかかる事になった。サハギンはどうやら俺に気づいたみたいだったが虫の息だったのかすぐに違う敵のところに向かう、そうこうしているうちに俺のHPもどんどん減っていき目の前が真っ暗になっていた。
気を失って何分か過ぎた頃、聞きなれた声が聞こえてくる。目を覚ますと見慣れたみんなが目の前にいた。
「あれ、俺夢でも見ていたんですか?」
「いや、俺達一回死んだみたいやね」
頭を起こすと周りにはたくさんの人がいた。ここはたしか見覚えがある、最初に登録をした西側の教会の場所だった。
「ユキさん大丈夫ですか?」
目の前にアランが現れると嬉しくなり頷きながら尋ねる。
「大丈夫です、みんなもうこっちに来ているんですか?」
「うむ、リサ・メイ・ホワイト・ドンは今外で待ってるよ、もう少し休むか?」
俺は首を横に振り立ち上がるとフラフラになりアランが支えてくれる。すぐに教会を出ると無事なみんなの顔を見て一安心をする。
「皆さんよかった無事だったんですね」
「いやー、無事ではなかったですぞ、ハリネズミになって神殿送りでしたからな」
「たしかにあの痛みはもう御免ね、お姉さんトラウマになっちゃったわよ」
「眼鏡は壊れなくてよかったぜ」
「怖かった也」
一人一人の元気な声を聞けて少し落ち着くと、ティファの事が心配になり守護の呪文を掛けて港側に走る様に向かう。だが霧が深くて中々前には進めなかった。
「あかんなあ、霧で中々前が見えないやん」
「何かのギミックかもしれないぜ」
ダークが文句を言っていると、茶髪の男がそんな事を喋る。たしかにあんなに晴れていたのにいきなり霧が出てきたみたいだった。だがギミックを探そうにも広すぎる町と深い霧が合わさって何にも出来なかった。八方塞の時にスライムを持ったお姉さんが提案をしてくる。
「メイくん暗視スキル持ってたわよね?」
「リサさんあるにはあるんだが、俺何も出来なくなってしまうんだぜ」
「おいおい、そんな便利な物あるなら、さっさと出せよ」
三つ編みの男は嫌そうな顔をしていると、ダークは憤慨をしていた。
「何も出来なくなるとは、どういう事なんですかな?」
「そのままの意味で、その技を使っている間、俺攻撃が出来なくなるんだぜ」
霧と白い体も相まって景色に溶け込んでいる、ホワイトが不思議そうに尋ねると、メイはその答えを説明し出す。
「わかったぜ、ただ俺の事は守って欲しいんだぜ」
「わかりました、私とホワイトさんで注意するので安心をして下さい」
渋々使う事が決まり、アランがメイを勇気づける。呪文を唱え終えると、メイの眼鏡が光ると同時に分身をして皆の手元に来る。
「みんなは普通に着けていいんだぜ、リサさんは眼鏡あるから、そこに2重に重ねればいいんだぜ」
「うん、わかったわ」
エルフ女は光る眼鏡を目元に押し当てると、元のあった眼鏡に合わさって淡い光を出す。俺達も光る眼鏡を装着する事になった。
「うわー、すごい也、みんな緑色也」
「うむ、でもさっきよりは見えるようになったよな」
ドン・ダークが驚いて周りをキョロキョロと見ている。俺も景色を見ているが凄い、あんなに霧で何も見えなかったのに透き通るように見える。7人は頷き合ってティファの戦場に急いで向かう。
中央広場から少し行った先で兵士5人がサハギン8体と交戦していて、不利な状況だったので参戦する事にする。ホワイト・アランが飛び出して行き8体を受け持つと、味方の登場により活気を取り戻した兵士5人が近距離で攻撃をし、ダーク・ドンが遠距離で攻撃をしていた。
やはり数がこちらが多かったのか、すぐに3体は塵になり3体は逃亡をした。残り2体になる頃には俺も攻撃に参加をして、すぐにその戦いを終わらせた。
「冒険者の皆さん有難うございます」
「状況はどんな感じなんやろ?」
兵士5人は安堵の表情になり俺達にお礼を言う、ダークは状況が知りたいので尋ねてみる事にした。
「あの槍攻撃により、冒険者の皆さんは総崩れになり、私達は上で戦っていたんですが、数に押し切られてしまい被害は甚大です」
「総崩れなんですね……」
兵士の話に俺は青ざめる。兵士のもう一人が、
「それでも冒険者の皆さんが頑張って食い止めてくれているみたいなんです、最悪な状況を考えておいて城にいる姫様を避難させようと向かっていたら敵に襲われたんです」
「あー、それなら俺が助けに行こうか?」
霧の中でいきなり紫髪のロンゲが現れると少し臨戦態勢を取ってしまう。すぐにダークが尋ねる。
「お前リト・ストロングスト何でお前がここにいるんや?」
「だって、もう負け戦でしょ諦めるのが肝心だよ」
ヘラヘラ笑っておりあまり緊張感が無かったダークはそんな男を見て殴ろうとするがホワイトに止められていた。
「お前ふざけんなよ、たしかお前2万の指揮取ってたはずだよな?」
「こんな状況だし、しょうがないっしょ置いてきたよ」
軽く言うロンゲの男に呆れるしかなかった。仕方が無いので姫様救出をお願いする事にする。
「リトさん姫様救出お願いします」
「ゆっきーこいつ信じるんか?」
俺がお願いするとダークは猛反対をした。だがティファの心配をしていた俺はすぐにでもあの戦場に戻りたかった。
「仕方ないなあ、お願いされたしね兵士君はこの人達に着いていきな」
そういうとヘラヘラした男は急いで城方面に走り出す。
「あかん、俺この戦い終わったら殴るかもしれん」
「それは私も同感ですぞ」
「蜂の巣にする也」
ダーク・ホワイトは握り拳を作りながらリトが行った後ろ姿を睨みつけていた。一人怖い事を言ったが聞き流す事にした。兵士と共に戦場に戻ってくると、大乱戦になっていたが少しずつだがこちらが優勢になっているみたいだった。遠くを見ていたリサが指差しながら叫ぶ。
「あそこに、ティファちゃんがいるわ」
指差したところを見るとサハギン族の死体の山あたりに金髪の美女と大きな女が息を切らしながら戦っていた。すぐにダークとドンの援護がサハギンに当たるとこちらを睨み付けてくると同時にホワイト・アランが体当たりをする。
「ティファさん大丈夫ですか?」
「ええ、少し危なかったけどね」
すぐに俺はクレセントヒールをティファに掛けてヒールを大きな女に合わせる。回復をすると少し元気になった二人はすぐに戦場で戦う。
「おい、ちっこいの回復ありがとよ」
メアリーにお礼を言われる。すぐに切れている守護呪文を掛けなおし調子が戻ってきたように敵を殲滅するが、敵が中々減らなかった。エルフ女はメアリーに尋ねる。
「不味いわね、消耗戦になったら、こっちが危ないんじゃないの?」
「大丈夫だ、そろそろエヴィルの野郎が援軍に駆けつけてくれるらしいからな」
そういうと町側から大きな掛け声が聞こえる、どうやら来たみたいだった。
「遅くなって、すまないね、みんなあと少しだ頑張ろう」
エヴィルの60万が流れ込んでくると早かった。次々と敵を殲滅して行く。30分立った頃にはサハギンは逃げ出し残党狩にまでなっていた。
エヴィルの戦いを間近で見るのは初めてだったがすごかった。10体のサハギンがいても片方のトンファーで受け止め、もう片方で大きく振りかぶりながら攻撃をすると一瞬でサハギン族が塵になっていた。
「ふぅ、終わったメアりー君お疲れ様」
「たくよぉ、マジでこいつは化け物だわ」
汗一つ掻いていないエヴィルがサハギンの死体から降りるとメアリーが冷や汗を流しながら呟いていた。
「とりあえず、残ったメンバーは傷の手当と防御柵を作っていてくれ」
側近だろうか、すぐに了解しましたと言いみんなを纏めながら指示を出していく。するとエヴィルがこちらに近づいてくる。
「お久しぶりだな、ダーク元気にしてたかい?」
「ダークさんの知り合い也?」
赤髪の小学生は逃げるように後ろに忍び足で下がろうとするが気づいたエヴィルに話しかけられる。それを見てドンは赤髪の小学生を捕まえながら事情を聞くと、溜息を付きながら前を向くとダークは喋りだす。
「お久しぶりです、兄さん……」
兄さんと言った言葉でみんなが驚く、
「え!?マスター、兄さんってどういう事ですか?」
「本当の家族なんですか?でもそうすると小人族じゃないですよね?」
俺とアランは驚く様に尋ねると、エヴィルはその答えを喋りだす。
「俺もこのゲームはやっていたんだよ、だから種族が違うわけ俺のは【ドラゴエンス族】だ」
「【竜人族】ですか?」
竜人族普通の人間の大差はないが、寿命が一番長い種族で戦闘特化に優れている。それにレア種族である為に中々取れる物ではなかった。
「まあレイドをクリアする事により人間から進化したのがこの種族だ」
エヴィルは淡々と説明をするとダーク以外はへえと頷いていた。
「それにメアリー君も竜人族だったはずだよ」
「は?あんた巨人族じゃなかったの……」
エヴィルに指摘をされてメアリーは頷くと、俺とティファは信じられないという顔になる。
「せっかく会えたんだ愚弟よ、俺のギルドに来る気はないか?」
「すみません、俺はまったりしていたいんです」
エヴィルの勧誘にすぐにダークは断る。
「お父さんとお母さんも心配をしているんだ、俺の右腕になればいいんだ簡単な話だろう?それにうちの会社を立て直そうとしている、お前の力が必要なんだよ」
「ダークさんお金持ちだった也か?」
断ってもエヴィルは連れて帰ろうとしていた時にドンが話題を変えてくれる。
「うちの会社は日本でも3本の指に入るくらいの会社なんだ」
そこまでの大きな会社にダーク以外の7人は目が点なる程驚いているみたいだった。
「新たな事業としては装備の売買、調理品の売買をやろうとしている、お前も協力すれば日本1の会社だってなれるんだ」
「兄さんすみません、それでも俺はこいつ等と一緒にいたんです」
ダークの熱い眼差しを見てから溜息を付いて諦めるが、
「気が変わったら連絡をしてくれ」
そう言うと戦場に戻っていき指揮を取っていた。まさかダークの兄がエヴィルとは思わなかった、何かしら揉めたのか避けているのかと思ったのだが、それは違ったみたいだった。
俺もヒーラーだった事もあり怪我人の治療に駆り出されると、瓦礫の撤去と槍の片付けをするみんなと少し離れた。
後片付けをする頃には夕方になっており、ここで野営する事になった。町の中なのでテントは開けなく土にシートを被せるだけだったが疲れですぐに眠る事になった。