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現実世界+オンラインゲームの世界=????  作者: 雪猫
第一章 新たな世界が少し落ち着くまで
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1日目 世界の崩壊と冒険の始まり

 銀髪をなびかせながら甲高い声で、美少女には似合わない言葉で叫んだ。

 「親父そこは避けろ」


 同時に少女は全速力で走り出し慣れていない体で、銀色の槍を強く持ち、黒い案山子の様な敵に痛快な一撃を与えるとその生物は塵となって消えていった。

 そうここは元のいた世界とは違うんだ。


 心の中では、いつオンラインゲームの世界に行けるんだろうと思っていたが、それは大きな地震によって急変した現実世界とオンラインゲームの世界が――――しまった。


 大きな地震がくる前、俺は今世界で大人気のパソコンネットゲーム《ディファレント・トライバルオンライン》に夢中になっていた。


 このゲームのすごいところは、ゲームの父といわれてる人が、自動言語変換機能じどうげんごへんかんきのうという世界観が変わる物を発明した事である。

 機能は、どんな言葉や文字でさえ機械が認識して自動で変換してくれる。それをオンラインゲームの世界に導入する事に成功をした。

 言葉の壁がなくなり世界の人とも、気軽に遊べるようになった。


 俺はゲーム中毒と言ってもいいほどにやりこんでいて、仕事から帰ってきても、手洗いうがいをする前に汚れた手でパソコンの電源を入れてから、簡単にシャワーを浴びご飯をかきこむように食べてからネトゲをやり始めるのが日常になっていた。


 今日もいつものようにゲームをやっていると、隣の部屋が騒がしい、次の日が東京オリンピック開催という事で、世界や家族は大盛り上がりだった。


 だが俺は、オリンピック自体には興味は全くなく、ゲームをやり始め気がつくと0時になりそうだったので休憩をしようとした。丁度喉も渇いた事だし飲み物を取りに台所に行こうと立ち上がろうとした瞬間に、大きな揺れと音と共にそれは起こった。


 2020年7月23日23時59分頃突然地鳴りのように大きな音で「グラゴゴグラグラ」地鳴りのような大きな音が足元を伝わってきた。

 数秒後に大きな揺れが来たと思ったら、突然目の前の空間が一瞬だけだが捻じ曲がった様に見えた。


 怖くて心臓がはち切れそうな程にバクバクする。灯りも消え目の前が真っ暗になると走馬灯のように何かが、脳を駆け巡ったが一瞬で気を失った時間はだいぶ立った頃に、目元が暑くなり鳥の鳴き音が聞こえて来るような気がする。



 朝の暑い日差しと大きな鳥の鳴き声で意識が戻った。気がつくとなぜ自分は助かったんだろうと、周りをキョロキョロし始める。


 あれ程、身の毛がよだつすごい揺れ方だったのに建物は崩れてはいなかったが、物はあちらこちらに落ちていた。時間を確認しようと足場を確認しながらカーテンを開け光を入れる、部屋の物を確認しようとしたら重要な事に気づいてしまった。

 「そういえば...俺の部屋に時計なかったじゃん」


 心の中でそう思うとため息をつくしかなかった。仕方なくスマートフォンを、まさぐるように探していると、いつも枕の横に置いているものがない、枕の横には黒いプラスッチクの様なものしか無くスマートフォンは消えていた、黒いプラスチックを触ってみるとスライムの様に柔らかい、ここにはないみたいだ。


 時間がわからないとやっぱり不安に陥るもので、仕方がないので茶の間に行こうとするとさっきまで痛みがなかったのに、頭とお尻にズキリと痛みが走った。


 もしかすると何かぶつかったのかもしれないなぁと、思いながら足場を一歩一歩確かめながら移動しようとしたら右下の方に、6時30分という時間が見えるような気がした。

 眼鏡を掛けないと移動すらできない視力だったのに、いつもより景色が鮮明に見える事が不思議だった。


 外は今どんな状況になっているんだろう。家族のみんなは頼むから生きていてくれ。世界はどんな風になっているんだろうと様々な事を頭に浮かべながら、部屋を出たのだが前と何も変わってはいなかった。

 何処も崩れていなかった事に少し安堵感を覚えたが、突然『うわー』という叫び声が茶の間の方向から響いてくる。心配になって小走りで茶の間に向かうが、俺の知らない物が目に飛び込んできた。あきらかに人間じゃない生き物が肩を震わせながらお互いを見つめ合って呆然と立ち尽くしていた。

 「お前達誰だ」


 俺は最初怖かった。疑うような目をしながら泥棒に叫ぶように、震えるような声で言い放つ。カーテンが少ししか開いてなく暗くてよく見えなかったが、よくよく目を凝らして見ると二人の顔には見覚えがあった。

 髪の色や尻尾が生えているもの意外は、いつも見る父と母だったのだ。あまりの変わりようにもう俺は、呆然とするしかなかった。


 髪の色は銀髪になり、頭の上に耳があり、お尻には尻尾があった、まるで犬そのもので、その光景をただ見る事しか出来なかった。俺は少し深呼吸をして落ち着かせながら喋った。

 「お父さんとお母さんなんだよね?」


 疑うような小声で確認をするしかなかった。父はこくりと頷き聞いてきた。

 「お、お前広幸で合ってるよな?」


 父も俺の事を疑う様に聞いてくる。俺はうんと頷くが信じてもらえてないみたいだった。何でそんな事を尋ねてきたのか、わからなかったがさっき父と母が、お互いの顔を見て驚いているように俺を見てきている。


 急いで洗面台にある鏡を見たが壊れていた。慌ててお風呂に貯めていた水に俺の姿を映して見ると、顔はいつもと変わらないが、銀髪になっており犬と同じ様な位置に犬耳があり、お尻を確認してみると尻尾があった。

 「うそだろう?」


 驚きながらも呟く、もしかすると放射能の影響で体に変化があったのだろうかと思うしかなかった。

 俺が住んでる福島県は田舎の町なのだが、2011年3月11日に東北地方太平洋沖地震の被害に合い原発が爆発したのである。


 そんな事を考えているとテレビを見ないといけないことに気づいたのだが、黒いスライム状になっており使えない物になっていた。

 混乱していて気づかなかったがよく回りをキョロキョロと見渡すと、テレビだけではない時計・電話・電子レンジ・冷蔵庫・電化製品は全て黒いスライム状になっていた。


 冷蔵庫に入っていたものは全て全滅だと思った、よく見ると黒いスライム状の中に野菜やパックだけが残っていた。

 調味料とお米は残っており少し安心をしたが、他の物も使えなくなっているんじゃないかと気づいた。人間にとって一番大事な衣食住の確認をすることにした。


 父と母に俺の事を信じてもらうと3人で確認をする事にした、食物は今確認をした、建物も殆ど崩れていない。これはもしかすると大丈夫なんだろうかとタンスを確認してみると入っていたのは糸屑の山だった。唯一残っていた物はいつもの普段着と今来ている寝巻きしかなかった。


 服は洗わなくても夏でも2~3日は大丈夫だろうと思いながら、玄関に行き靴を確認しに下駄箱を見に行くと、いつも履いている靴はあったが、他は全部駄目になっていた。


 朝が弱い弟も、仕事に行くために起きてきた。半分寝ているのかそのまま風呂場に直行したがすぐに弟の叫び声があがった。

 自分の姿を確認したんだろうか、弟も戸惑いながらすぐに茶の間に来て、父と母と確認作業をしている。急遽(きゅうきょ)家族でこれからどうするかを茶の間で話し合いをする事になった。


 話は何もわかっていない状況なので難航したが、最初に話が出た母の提案を弟と一緒に賛成をする。

 「外に出て一度確認してみよう」


 母はポジティブに言ったつもりだったが焦ってる自分の姿に恥ずかしそうにしている父に猛反発をされた。

 「恥ずかしいしなぜこの姿になったのか?もし外に出て化け物扱いされたら捕まって殺されるんだぞ」


 そんな父の台詞に弟は溜息をついた、父が言っている事はよく見るSF映画による話だったからだ。

 話は言い争いになりながらも最後は多数決を取る事により母と弟と俺が賛成で、外に出るという案に決まった。


 案を出した年長者の母が、外に出る事になった。恐る恐る玄関のドアを開き外に出た瞬間すぐに、手でこっちに来て見ろとジェスチャーをしてくる。

 「早くみんなこっちに来てみて」


 興奮しているような声で3人を呼んだ。急いで靴を履き外に出てみるといつもと同じ風景にあっけらかんとなった。駐車場にあった車は消えておりそこは落胆するしかなかった。


 周りを見ると近所の人も外に出ているみたいだった。お隣さん、近所の人達は顔は変わってないのだが、俺達と同じ現象になっていた。驚く事に鱗があったり背が小さくなったりしていた。

 みんなはうちと同じように驚き混乱していた。崩れてないか家の周りを確認したら家に戻り少し安心をする、途端にお腹の虫が鳴った。


 とりあえず朝ご飯を食べようとしたのだが問題が発生した、台所の蛇口をひねっても全く水が出ない、顔を洗おうとして洗面所にいったがこちらも水は出なかった。

 家全体の水が出なくなっていた、仕方がないのでお風呂に貯めていた水で洗う事にしたのだが、水が変な匂いがする。最後父が入ったのを思い出し、俺・母・弟は鼻をつまみ涙目になりながらも顔を洗った。


 台所は電気が使えないので、ものすごく暗かった。見えないので窓を全開にして残っている食材を見ながら何か作れないか探した。火が使えれば楽だったのだが家の一部だったガスコンロはなぜか無事だったが、電池が駄目になっているのでマッチを探すしかなかった。


 残った素材で何かを作ることになったのだが、あるのは野菜・パックのお肉・調味料・お米・地震用に貯めて置いたミネラルウォーター2リットル1箱だけだった。


 鍋や食器は比較的に使えるものが多く残っていたのだが、何かを作ろうとした瞬間に頭に痛みが走った道具を持とうとすると、目の前の包丁やガスの使い方がどうやって使う物かわからなくなっていた。


 頭の中では分かっているのだが体がなぜかその様に動かない不思議な感覚に陥っていた。わかった事と言えば、何も作れなくなっているという事実だけだった。


 ふと思ったが時間が結構過ぎたと思ったのに、まだ全然日が昇っていない事に気づく朝から昼にかけて日が昇るスピードが遅く感じるような気がする、気のせいなのかもしれないと思い朝ごはんを食べる事にした。


 包丁すら持てなくなっているので、野菜を丸かじりするしかなかった、でももし調味料がなかった事を考えるとぞっとする。

 それほどに生野菜は俺に取って苦手だったしスライム状の物に入ってたせいか油臭いような気がする。

 

 工夫をして調味料を降りかけて食べる事にしたが、美味しくはない俺は心の中で悲鳴をあげる、ああ早く肉が無償に食べたい。

 まあ食べれるだけましなんだろうかと、考えながら朝ごはんを真剣に食べた、食後にまた家族で話し合いをする事になった。


 これからどうするかを色々話し合いをしたのだが、強引に父が結論を出した。税金払っているんだから政府がなんとか動いてくれるだろう、ここはひとまず動かずに家にいようという結論になった。

 待っている間何もする事がないので、家で使える物の確認や散らかった物の後片付けをすることに決まった。


 太陽が中心に来てお昼だという事に気づくお昼ご飯も朝と同じ野菜丸かじりをしてから作業をスタートした。


 朝から昼はそんなに暑さを気にはしていなかったのだが、やはり夏なので日差しは強く頭が熱い、肌がジリジリと焼けていた。へたれな太っている俺はすぐに音をあげてしまう。

 「アイスが食べたい」


 渇いている口で言葉を発すると更に喉が渇く、せめてクーラーがあればとリモコンを探すがあるはずもなくぶーぶー文句を言いながら作業をする事になったのだが、母がお父さんが叱りそうな事を察し、俺に大きな声で言葉を発した。

 「騒いでいる暇あったら手を動かせ」


 怒られてしまった。暗くまで作業は続き、家の中が綺麗になった頃には夜になっていた。簡単な野菜ご飯を食べたのだが、もう野菜はうんざりだった。何か別な物を口に入れたい、今日は仕方がないので寝る事にした。無事だった蝋燭ろうそくを部屋に持っていき布団に入ってうつ伏せで寝ようとしたら、今度は全身に痛みが走りまた眠るように気を失った。


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