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祝杯
「作戦の成功を祝して」
「乾杯」
カチンとグラスが鳴る。
「いい戦いっぷりだったな」
「ジェイルは何もしていない」
「冷たいこと言うなよ」
ジェイルはグラスのワインを一気に飲み干した。
「はい、どうぞ」
「ありがとう、カフス」
グラスにワインが注がれる。真っ赤な酒がジェイルの喉を通る。
「本当に、上は無茶なことがお好きのようだ。俺達だけで壊滅させてみろなんて」
「少し違う。牽き付けておけ、というのが正しい」
「同じようなもんだろ」
カフスもワインを飲みほした。ジェイルがグラスにワインを注ぐ。
「俺達の部隊だからできたんだ」
「そうだね」
カフスは目の前のクラッカーに手を伸ばした。
「アレは、すごい威力だったな」
「ええ」
カフスはクラッカーを噛み砕いた。
「アレさえあれば、俺達は勝ち続けられる」
「勝利の日は近い」
二人のグラスはとうに空になっている。
「祖国に栄光あれ」
夜は深まっていく。部屋の灯りはいつしか消えていた。