約束
「ああ、本当に約束を守ってもらえるとは思わなかった」
ジェイルは男に連れられて少し離れた部屋に向かう。
「ここだ」
男は扉を叩く。中から悲痛な声が漏れている。
「誰ですか?」
「スケイルだ。開けろ」
重い扉が開く。
「上官、なぜその男を?」
「軽い取引だ」
スケイルと呼ばれた男はジェイルを蹴り飛ばした。拷問部屋の床にジェイルは転がった。
「さあ、感動のご対面だ」
ジェイルは顔を見上げた。そこには裸に剥かれ、血を流すカフスがいた。
「ジェイル……」
カフスは壁に繋がれた手足を動かし少しでも前に出ようとした。しかし、それがかなうことはなかった。
「さて、感動の再開は終わりだ」
スケイルは懐から拳銃を取り出した。その銃口はジェイルの後頭部に当たっている。
「私もパーティーに参加したいんでね。約束は約束だ」
「は。非道はどちらだか」
瞬間、銃声が轟いた。血はカフスの元まで飛んで行った。
「さて、部下を殺された恨みがありますからね。容赦はしませんよ」
「ジェイル……。一人で死んだりしないって。死ぬときは一緒だって、約束した――」
カフスはそう呟き、俯いた。
「女は感情的でいい。だからこそ痛めつける甲斐がある」
スケイルは不敵な笑みを浮かべた。そして、俯いたカフスの首を上げた。
カフスは涙をこぼしていた。しかし、その表情はどことなく嬉しそうだった。
「気味が悪い。あなたはマゾヒストなんでしょうかね。それともこの男が死んだことが嬉しいんですかね」
「ふふふ。そうかもしれないね。だって、ジェイルは約束を守ってくれた」
カフスは笑いながらこう言った。
「天啓は私達を導いてくれた。ジェイルは私と一緒に死んでくれる」
カフスは目を閉じた。
「神の御加護があらんことを」




