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戦場の天啓  作者: 伊和春賀
11/12

約束

「ああ、本当に約束を守ってもらえるとは思わなかった」

 ジェイルは男に連れられて少し離れた部屋に向かう。

「ここだ」

 男は扉を叩く。中から悲痛な声が漏れている。

「誰ですか?」

「スケイルだ。開けろ」

 重い扉が開く。

「上官、なぜその男を?」

「軽い取引だ」

 スケイルと呼ばれた男はジェイルを蹴り飛ばした。拷問部屋の床にジェイルは転がった。

「さあ、感動のご対面だ」

 ジェイルは顔を見上げた。そこには裸に剥かれ、血を流すカフスがいた。

「ジェイル……」

 カフスは壁に繋がれた手足を動かし少しでも前に出ようとした。しかし、それがかなうことはなかった。

「さて、感動の再開は終わりだ」

 スケイルは懐から拳銃を取り出した。その銃口はジェイルの後頭部に当たっている。

「私もパーティーに参加したいんでね。約束は約束だ」

「は。非道はどちらだか」

 瞬間、銃声が轟いた。血はカフスの元まで飛んで行った。

「さて、部下を殺された恨みがありますからね。容赦はしませんよ」

「ジェイル……。一人で死んだりしないって。死ぬときは一緒だって、約束した――」

 カフスはそう呟き、俯いた。

「女は感情的でいい。だからこそ痛めつける甲斐がある」

 スケイルは不敵な笑みを浮かべた。そして、俯いたカフスの首を上げた。

 カフスは涙をこぼしていた。しかし、その表情はどことなく嬉しそうだった。

「気味が悪い。あなたはマゾヒストなんでしょうかね。それともこの男が死んだことが嬉しいんですかね」

「ふふふ。そうかもしれないね。だって、ジェイルは約束を守ってくれた」

 カフスは笑いながらこう言った。

「天啓は私達を導いてくれた。ジェイルは私と一緒に死んでくれる」

 カフスは目を閉じた。

「神の御加護があらんことを」


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