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「……こうして儂は、月に定住することになった。最初はぎこちなかったが、だんだん打ち解けて……。『家族』に、なれたよ。

 そうなって分かったことだが、あかりさんに世話になり、妻をもらい、子を儲け、孫が生まれ育っても、儂の家族、地球に残してきてしまった家族は、ちゃあんと心の中にいるんだよ。もちろん、会えないのは寂しい。でも、どうしたって、儂の人生は、儂のものだ。それをあかりさんは教えてくれた。結月が、妹が、幸せになる機会を作って、あかりさんが、幸せになることを選ばせてくれた。二人がいなかったら、儂はどうなっていたことか……」


 言いかけて、老人は首を振った。


「考えたところで、詮無いことだ。ただ、幸せになれたという事実がある。それだけで良いんだ」


「あかりさんって人も、明彦おじいちゃんも、きっと幸せになれたよ。だって、明彦おじいちゃん、おじいちゃんに会うと楽しそうだもん。あかりさんも同じだったと思うよ」


「そうだと良いなぁ。なぁ、坊よ。坊は今、幸せかい?」


「うん!」


 くしゃっと笑ってうなずく孫の顔には、一分の噓もなかった。


「それは、本当に良いことだ。……さ、そろそろ時間だ。家にお帰り」


「分かった。また明日!」


 手を振って駆けていく少年の姿は、みるみるうちに小さくなっていく。


「幸せなのは良いことだ。……そうだろう? 結月」


 手の中にあるカメラの画面に写る少女は、ただ笑っていた。

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