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2食堂にて、ひとり。

今日のお題は「どうあがいても食堂」でした。


いつものように腰掛ける。

オートで出てくる白い食器。

僕は左の指を1本ちぎってのっける。

皿は静かに左へ流れてゆく。


右を見ると白い食器がこちらへ流れてくるのが見える。

多分、これが今日の食事だ。

豪華にも右手がのっかっている。骨つきのものが僕は好きだ。

気づけばちぎったはずの左指は再生されていた。


この方法がどう効率的なのか僕の頭では到底理解できない。

どうも親の親のそのまた親のずーっと前に、これが最良って結論になったらしいんだ。


この世界では何が起こるかわからない。白く閉ざされた球の中で、いつ着くともしれない目的地まで種を保存するために、僕らの細胞再生力は脅威的なまでに強化されてしまった。

自らを食しても平気なのだ。痛いけど。痛いけどね。


ただ、自分で自分をを食らうというのは抵抗があったみたいで

個人に割り当てられた白い部屋で

それぞれ適当に部位をちぎって


ランダムに他人に与え合うという方法がとられた。



それってどうなんだろうね。

消化器官はもはや同じ種のものしか吸収できなくなっているんじゃないかな。

新天地について、もしそこに本来僕らが摂取すべき食料があふれていたとして


それを食えるのかって話。


また何代にもわたって新しい星の食物連鎖に合った肉体に改造していくのかな。


そこまでして残さなければならない種ってなんなんだろね。

執念としか思えないや。


でも生きたいって本能はしっかりちゃっかり残っていて

今日も僕らは閉じ込められた世界の閉じ込められた食堂で

自分たちを食らうんだ。



まあでも僕らで自己完結してるからいいんじゃないかな。なんて。思ったり思わなかったり。



ところで


新天地って本当にあるのかな。

僕らの発生した星はとうに壊滅状態にあったらしいし

移住しなきゃどうしようもなかったってのはわかるんだけど。


本当はあてどもなく空虚な空間をさまよってるだけじゃないのかなあ。


とか言ったら怒られちゃうだろうな。



処分されるのはいやだからみんな黙ってるだけなんだろう。


さて、誰のかわからないこの右手



いただきます。


次もどうぞ、お楽しみに。

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