誰だ!?只の異国人です
床に横たわっている死体・・・ではなく、意識を失って倒れているお婆ちゃんに近づき脈を確認した私
案外私って肝っ玉は太いんだな。
「脈はある。呼吸も弱いけど、まだある!しっかりしてねお婆ちゃん」
近くのベットに運んであげ、水がめの水を汲み、ハンカチに水を含ませて飲ませてあげる。
自分もいい加減疲れがピークだったんだろうな。ベッドにもたれていつの間にか寝入ってしまった。
***
翌朝、鳥の声と朝日のまぶしさに起こされた。
ベッドに横にさせたお婆ちゃんの様子を見たが、目覚める気配が無い。
「・・・どうしよう」
まず、状況を整理して落ち着こう!
帰宅途中の公園の先で、何故か森で迷子になり、瀕死のおばあちゃんの家に居る(今ここ)
「とりあえず、お婆ちゃんをこのままにしておけないし電話探して救助を呼ばなきゃ」
人間、出来ることから始めよう。うん。
って、決意するも数分で挫折する事態。
人間、出来ることしか出来ない。うん。
「何で電話が無いの!!!」
富士山の山小屋でさえ電話が通じるって言うのに!
携帯は圏外だし、固定電話も無い
「・・・詰んだ。お婆ちゃん、目、覚めないとここがどこかも判らないよ」
マジ泣きそう。
とりあえず室内を物色しつつ、勝手に食べ物を拝借する。
お婆ちゃんにお水を飲ませて体を拭いてあげる。
拭いてあげて気付いたが、お婆ちゃんの足が腫れていたので濡れた布を湿布代わりにあててみる。
「気休めにしかならないだろうな・・・」
家の裏にあった畑から、よく判らないがたぶん野菜だと思しき植物を勝手に拝借して塩のみで味付けたスープを勝手に作り
上澄みをすくって意識のないお婆ちゃんに無理やり飲ませたりして
2日目にしてようやくお婆ちゃんが目を覚ました
***
「あの・・その・・勝手に入ってすみません。私、阿南里奈です。森で・・・森の中で迷ってしまって、勝手に入ってしまい、その・・・」
背中を冷たい汗が流れる・・・
目を覚ましたお婆ちゃん。
白髪で皺があり気づかなかったが、どう見ても日本人じゃない・・・
だって、碧眼なんだもん!
ここに来て言語の心配なんて、いやいやいや、日本生まれの日本育ちの日本ナイズな外国人かもしれない!希望は捨てるな私!
「***、・・・****** ***?」
「・・・オー・・ノォー」
帰宅途中の公園の先で、何故か森で迷子になり、瀕死のお婆ちゃんの意識が戻ったが、自分がどこに居るのかやっぱり不明(今ここ)