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王子?だから断る!

 これからも領主様にお世話になるのだ。

 欠席等して足を引っ張りたくもないので出席の方向で対策をたてた。


 不貞の輩に遭わない様に、決して一人にはならないことを約束させられ、念のためにある程度の挨拶をすませたら、宿泊する王城の客間でリュシー様とお会いする予定がある事にした。




 リュシー様には客間を用意して頂いてる事以外にも、口裏を合わせて頂けるように先触れを出してくれた。




 そして、私の後ろ楯を、アデルハイド様以外にも、シュバルツ様にもお願い出来るように、会議でお会いしたさいにスヴァリアさんから願い出て見ることにもした。





 私がこの世界に暮らすために用意された出自が、思いの外大きすぎて自立への道が本当に遠い。







「・・・ご迷惑をお掛けします。」






「―――あの夜、一人にしないと約束した。気にするな。」





「ふふ。家族になったのですから、気にすることは何もないわ。」




(アデルハイド様)の為さることを補佐するのが私の役目です。リーナが気に病む必要性はございません。」







 皆の気持ちが嬉しい。

 ―――私も、皆の役にたちたい。





「ずっと、傍に居て笑っていてくれるなら、それだけで良い。」




 ・・・出来れば自立したいので、ずっとはちょっと。




「では、今夜のドレスは私の用意したものを着ていただきたいわ!」





 ・・・あの、派手な刺繍のドレスか?!





「・・・馬車で向かいますので、食べ過ぎないで頂きましょうか。」





 ・・・う、うん。私にも出来ることをだな、あ・・・いえ、何でもないです。








 ***










 建前として、貴族位同士は平等だが、領地の差違による力関係が少なからず関わってくる。




 ネシック領は国境を守備する役目や、金鉱も抱える巨大な領地だ。

 当然、アデルハイド様の力関係も上位だ。





 若いと侮られる事は減ったが、それでも足を引っ張る輩も多い。

 足元を掬われない為にも、小者相手にも油断はしてはいけない。








「そこの女!今夜の相手に指名してやる、ありがたく思え!」







 ―――そして、今、目の前にいる、耳を疑う発言をかました国王の息子とやらは、明らかに小者だろう。





 あまり認めたくはないが、私の見た目年齢だけは未成年だ・・・。

 夜会に出席出来るのは成人からと言うことで、辛うじて、辛うじて!成人なりたてと思われているであろうが、それでも初対面の女にこれは無い。本当にまさかの残念発言!!








「―――――何こいつ、ロリコン?」







 先に習った通り、国王は選挙だ。

 息子とは言え、この残念具合だ。当然後継者争いにも入っていない。


 余りに残念な発言に、怒るより呆れたのだが、隣の領主様からは凄まじい冷気を漂わせ、トラウマを覚えさせる壮絶な笑顔で呟いた。








「――――――この下種、なぜ殺ってはいけないのだ?」







 そ、そ、そそ、そんな不穏なこと聞くな!






「何をしておる!栄誉を与えるのだ、さっさと差し出さぬか!」







 あ、スヴァリアさんも固まった。






 隣の領主様が暴走する前にアンナさんが再起動した。





「この後、リーナにはリュシー様とのお約束がございます。」





「我が所望したのだ。断れば良い!」





「・・・。」





 ああ、こいつ、言語能力も低いのか。






『―――なぁ、こう言うの、残念王子って言うんだよね?しかもどー見ても幼児愛性者(ロリコン)だよね?

 私の国ではyesロリータ!noタッチ!と言う合言葉があるが、この世界でも共通?』



 隣の領主様に向かい、領主様にだけ通じます様にと願って、笑顔で日本語で語りかける。



 目を丸くし驚いて私を見やるが、瞬時に察して領主様が笑顔で返答した。



『正解ですよ。残念具合だけ(・ ・)が最上級の王子です。

 リーナの仰る合言葉は存じませんが、リーナに触れるなど、私が許す筈が御座いません。』




 うん。何語か不明だが、日本語に変換されて頭に響く。



 さすが領主様。語学力抜群ですな!

 くそぅ、欠点無いのか!このイケメン、頭まで良いのかよ!


 あ、欠点、あった!ありましたね!


 乙女心を知らない戦闘狂・・・

 そうじゃなけりゃ、モテただろうに・・・。




『あら・・・成る程、アガリヤ皇国出身地としましたからね。そちらの言語を話せる人など、そう、居りませんものね。』



 アンナさんがニッコリ笑顔で返してきた。


 ふむ。どうやら、この国にはそう居ない、アガリヤ皇国の言語を二人は話しているらしい。



 アガリヤ皇国の言語を理解する人は、この国には少数しか居ないと言っていたが、この二人、その少数派なのか。









「おい!貴様ら、何を話している!」







『黙れ変態。』







 スヴァリアさんが笑顔で返答したが、残念王子には通じないのだろう。

 と言うか、少数派と言われる御仁がまだ居たのかよ!


 くそぅ、何て規格外なのだ!!




「あ~、リーナは面会をお断りできる身分は持ち合わせて居ないが、貴方がリュシー様にお断りをいれるのか?と聞いております。」



『え!?私、こんな奴の為にパジャマパーティーを断りたくない!』




 この後に女神様とアンナさんでパジャマパーティーすることになったのに!!





「ふん!あんな得体の知れぬ高慢ちきな女など、我にかかれば造作もない!」




 な!?


 『ちょっと、領主様!!この残念王子、思考も残念何だぞ!』




「『大丈夫です。落ち着いて。』―――リーナが、リュシー様のお誘いをお断りできる程の身分をお持ちな貴公は、神なのか聞いております。」





「なっ!」





「その様な高貴な身分をお持ちの方が、一介の留学生を所望する筈が無いが、どう言った事なのか?と、説明を求めて居るのですが・・・。

 ―――――さて、何と訳せば良いか。」




 うん。

 自分の身分を『神様』等とは言えないよね。


 たとえ言えたとしても、そんな『神様(笑)』が女をお持ち帰りしたいです!何て言うわけ無いよね?と、言外に聞いているのだ。




 そして、そんな身分も無いなら、言うことを聞くわけ無いじゃん?との三段跳びでお断りした。







『・・・議題に出るほどに残念何ですよ、この王子って。』





 顔を真っ赤にして憤慨し、何やら口汚く罵って去っていく残念王子。




 あ、名前も知らないや。




「あの様な輩の名前等、リーナの知識には生涯不要なものだから構わん。」







「まぁ、先ほどのリュシー様に対する発言で、国王の擁護も受けられないだろうな。」









 この夜会の後に女神様とアンナさんとで開くパジャマパーティーと私の貞操はどうやら守れたようだ。




 初めての女子会なのだ!邪魔などされてなるものか!




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