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兄弟喧嘩の規模

 帰宅の馬車の中では、魔王と化したスヴァリアさんからの叱責に肩を落とし沈んだ領主様。




「―――何を考えているのでしょうか?保護者にしては度が越した嫉妬など、嘆かわしい。

 百歩譲って・・・領主様が妙齢の女性を相手に出来ない為に?幼児性愛者に走った?その様な噂がついても?私は一向に構いませんが?」



「―――― 面目無い。」



 お母さん(スヴァリアさん)・・・怖いです。



「アデルハイド様は、よもや失恋の為に、当初の方針を忘れ、リーナに不要な醜聞を付けたいと?」


「っ!!そんな事は無い!」




「では、今夜の嫉妬まみれの牽制は何ですか?リーナが囲われ者等と囁かれて、周りに勘繰られて傷つくのは考えなかったのですか?」



「いや、その・・・」



 静かにお怒りのスヴァリア(お母さん)さんの絶対零度の視線に領主様が押し黙る。



「申し訳なかった・・・」



「スヴァリア、その辺りで止めなさい。アデルが立ち直れない程叩きのめしてどうするの。

―――――会議が終わってからにしなさい。」



―――――会議、大事だものね。



 てか、領主様の悲壮感が、失恋では無い別の何かから発生したと言われたほうがしっくりくるよ。


 主に、魔王と化したスヴァリア(お母さん)さんの逆鱗が原因だろう。


 スヴァリア(お母さん)さんと言う生き物は、子どもの危機には容赦無く過保護なので。




「リーナ、すまなかった。」





 がっくりと項垂れた領主様を見ていればこれ以上は責められない。

 それに、子どもが周りに群がっているだけとは言え鬱陶しかったのは事実だ。

 壁となってくれた領主様には本当にとても感謝している。


 ただ壁になってくれていた事を


「シュバルツ様が男前過ぎて忘れてた・・・」





「――――リーナ、止めを刺してあげなくても。」







 アデルハイド様のタウンハウスに戻ったのが深夜と言うこともあり

 今夜はそのまま身支度を整え寝ることに。



 翌日は昼から会議だ。

 早々に寝ないと翌日が辛い。





 ***



 遅いブランチとも言える時間に食堂に集まり今後の方針について話された。



「正直、本当に女神様の血筋があったとして、六代目ともなるリーナに婚姻を結びたがるのがこれ程とは思いませんでしたわ。」



 実際には一滴も流れていないのだから詐欺だろうが。

 まさか異世界から来ました等と宣言するわけにも行かない。




 女神様の血筋も、人と交わり六代目ともなると、殆ど人と変わらない寿命の恩恵にしか与かれないらしい。

 アンナさんと出会った時、飲まず食わずで餓死寸前だったが、助かったのは女神様の血筋の恩恵に他ならないのだ。

 当時、四代目のアンナさんでも危うかったらしい。

 そうだね。人間、水分を取らないと3日で死ぬ可能性があるのだ。


 恩恵がなければ私は第一死体発見者になっていた所だ。






「正直、アデルの痴態を心配するより、無理やりリーナをさらわれる方が心配よ。」




 今夜は、会議の後に王城で夜会が行われる。



「・・・今夜の夜会は欠席させた方がよろしいでしょうね。」



「領主様のパートナーを勤めるのです。急な欠席などは、余計な詮索を受けるのでは?」




 要人が集まるので、事前に身元チェックも受けて招待されている為、安易に急な欠席など失礼なことはしない方がいい。

 政敵も来るのだ。領主様の為にはきちんと出席をし、私が弱みになってはいけないのも判る。




「リュシー様に客間を用意して貰っています。早々に退席するさいは、この後にリュシー様との面会があると印象付けましょうか。」



 成る程。

 リュシー様との面会が控えてる輩に何かしらあっては、その後にリュシー様が動く。

 こりゃあ、立派な出汁だな。





「女神様の子孫と言うのは、これ程迄に危険な目にあわなきゃいけないのですか?」




「そうね。強い後ろ楯があればまた違ったのでしょうが。」




 アンナさんも、幼い頃から浚われたりとかあったと言うし・・・。



 理不尽な扱いだと思う。

 産まれてくるところを選べない上に、子どもが同じような目に遭うのかと思うと結婚も躊躇しただろう。




 アンナさんの息子さんが一所に居ないのも、そういった考えがあるのかな。

 けど、今のアンナさんの生活を見ても、そんな悲壮感は無いから、きっと今はもう割り切ったのだと思いたい。

 私には考えが及ばない気持ちがあるんだろうけど。

 それはとっても寂しい事の様だが、割り切らなきゃやっていけなかったのかもしれないし。



 そして、そんなそもそもの要因となっている女神様もきっと心を痛めている。



 と、ふと思った。




「・・・女神様は、助けてくれないのですか?」



 加護があるのだ。

 腐っても女神様なのだ。

 子孫に危害を加えた場合には天罰が下ると言われたならば、それこそ聖女の様に守れそうだ。




「―――――遥か昔、女神様の加護により、孫を守ろうとしたのだが・・・」






「加護によって、一度、人類が滅んだ。」





 な!なんと言うことでしょう!




「少女の意の沿わない力を加えた場合に、一族郎党滅ぼすといった加護をその娘にかけていたらしく、時の国王の権力に抗えず・・・。

 その血筋、正に、一族郎党滅び、滅亡した。」









 国王の癖に、なに手籠めにしてんだYO!!





 しかし何とも恐ろしい加護だ。

 これじゃ、加護と言うより呪いだ。




「元々人類は、女神様とスウォン様のお子が起源なのですから、一族をとなると滅亡する事態になる。女神様も随分嘆かれたそうです。」




 人類皆兄弟っすからね。

 兄弟喧嘩の代償は滅亡ですか。

 女神様にとっても、子ども達に及ぶ影響は直接的でも少ない方が良いと反省して、その出来事以降は加護を控えてるそう。



 人類は、その出来事を戒めに、直系への干渉を考えるようになったそう。






 ・・・人に歴史あり過ぎて思考が迷子です。


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