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若いつばめの扱いは、鵜飼いの如く

 

 食後のお茶を終えて、男性陣と合流することになると、成る程。



 囲まれた。




 先程隣の席だったヤン・ヴランジェット様がご両親も伴い


 ハウル・ケニー様は、上官と共に、更には他の招待客までもが数人・・・



 ただ、薦める相手や、誘ってくる方々が、一様に若い・・・


 明らかに若い!

 君、まだ10代だよね?


 今年成人?あらおめでとう!

 あっちの世界でもこっちの世界でも成人過ぎまくった私に大人ぶってんじゃねー

 シバくぞこら!



 ・・・これは



 ・・・これは、考えるまでもない。






 私の容姿を誤解している!








 気付けば何とも残念なモテ具合だ。


 これは、成る程、領主様がお相手では誤解が生じるのも分かる。


 見た目年齢のギャップ差で、領主様は今のところ保護者枠で収まっているが、私ももう25歳だ。人の機微も分かる。



 そして今、いつの間にか隣に立ち、周りを威嚇しまくる領主様の機嫌が段々と駄々下がりになり、保護者枠をはみ出さんばかりに嫉妬し相手を威嚇する手を緩めない。


 ・・・子どもの戯言だと軽くスルーしてあげなよ。




 にこやかな笑顔で隣国との国境線紛争の回避方法論を若造に吹っ掛けるな!



 金鉱の採掘権を守るために、紛争回避の為に行った交易条件の改編案の素案についての意見交換を16歳の少年に聞くな!



 貿易の停滞原因の関税定率法の利率について楽しそうに問いかけるな!






 ・・・ちょっとは、大人な対応してくれ。

 くそ、私でも答えに窮する難しい政治背景を笑顔で聞き牽制に使うな。大人気ないぞ!




 限界か?と言うときに、一人の壮年の男性が声をかけてきた。



「アデルハイド卿の秘蔵っ子を私にも紹介頂けるかな?」


 人垣が自然と開き、何ともデカイ、偉丈夫な男性が現れると、若いつばめ候補達が黙った。




 あ、いや、つばめにする気はありませんが?





 その男性は、シュバルツ・アンダーソン・ダナンと名乗った。



 ダナン領の領主、シュバルツ・アンダーソン様と言うことだ。


 ん?・・・アンダーソン?




「息子が世話になってる。意地悪されたら私に言いなさい。」




「スヴァリアのお父上だ。」




 なんと!



「今夜は初めての中央と聞く。女神リュシー様とも初めてお会いしたそうだが、どうであった?」




「はい。まだまだ知らない事がたくさんで、勉強不足を痛感するばかりです。リュシー様とは本の印象がありますが中々に興味深いお話等を直接伺えて、大変たのしいです。」







「では、まだまだ女神リュシー様と話足りないことでしょう?リュシー様でしたらあちらです。ご案内致しますよ?」




おお!これは、このつばめの輪から出るチャンス!



「ありがとうございます!」




さすがスヴァリアさんの父上だわ!

サラッとスマートに私をアンナさん達の所に導いてくれた。


着いてきた兵も、アンナさんとリュシー様の前に呆気なく蹴散らされた。



さすが、お見事である。





鵜飼いの如く男を操る女神リュシー様にとっては、つばめ何ぞ、可愛らしいものなのかもね。








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