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返事が無い、ただの・・・の状況に初めて遭遇

新年度恒例の、同期の集まりが終わって

いい塩梅に出来上がってたのは認めるけどさ

こんな森の中で迷子になるような程の酩酊なんてしてなかった。


今日も、帰りが遅くなると煩い母親の小言を聞くのが嫌で毎回1次会で帰っていたからそんなに酩酊していないと言い切れる自信がある。


良い歳をした娘の帰宅時間位大目に見てくれないと良い虫すら付いてくれないぞ!

とは思うけど、いやあ、あの小言聞く位なら大人しく家に帰りますって。


開始時間が遅かった為に帰宅時間も当然遅れてしまっていた。

だからって公園を突っ切って近道なんてしたのがいけなかったんだろうか。

痴漢や変質者の心配はしても、『近所の公園の先で森で迷子』なんて事態に陥る心配なんてしたこと無いよ。



「・・・まだ変質者のイチモツを笑ってやるほうが良かった」



いや、笑うの前提かよ

立派なのだったらどうする!褒めるか?

って、褒めんわ!!!



スーツもドロドロ。

ヒールが歩きにくい

足が痛い。

既に酔いなんて醒めきってる。




「・・・泣きそう」




いい歳して泣けてきた。

ここ、どこだろう。

もう、深夜も回ってる。

どっからどう見ても森の中だ。動き回るのは危険かもしれないけど

立ち止まるともう、一歩も動ける気がしない。

さっきから聞こえてくる獣の声が遠ざかることも無い。


所々に剪定された木々があるんだから、きっと人の出入りがある森なのだろうけど

民家の明かりも見えない。

頼りの明かりはカギについた小さなキーホルダー型のペンライトのみ


「この時間だもの・・民家があっても明かりなんて無いか」


自分のつぶやきでさえ大きく聞こえる。

この暗闇の中、木の根に躓くこと3回。

ひたすら方角も判らず進んで、やっと開けた場所にたどり着き、小さな小屋を見つけた。


「でかした!私の強運!」


自画自賛した後に思ったが、強運なら『近所の公園の先で森で迷子』なんて事態には陥らないって。

自分で言ってて悲しくなってきた。



炭焼き小屋の様な、本当に小さな小屋を見つけて喜んだけど

こんな深夜に、森歩きの恰好では無い、スーツ姿の女が尋ねてきたら・・・

不審がられて警察に通報・・・ってそしたら保護してもらえば良いのか。


「・・・夜分すみません」


控えめにノックをしても静かなまま


「どなたかいらっしゃいませんか?遭難にあってまして、電話があれば貸して下さい!」


返事の無いドアを見つめて考えること数秒・・・意を決してドアノブに手をかけるとドアが簡単に開いた。


シンと静まり返った暗い室内を見渡し耳を澄ましてみても人の気配がしない。



「・・・怖いけど、外よりはマシなはず。勇気を出せ私!」



自分に言い聞かせて室内に踏み込むと

窓からの月明かりのみに照らされた暗い室内は確かに人の生活のにおいがする。

いや、人が生活していたにおいって言う方が正しいかもしれない。


なんせ、何もない。

いや、有るにはある。

テーブルは有る。

が、その上には何も無い。

照明器具が無い違和感・・・土間の方にかまどの様なものも有る。

その上には空のなべが一つ

横には大きな水がめが並んでいる。

その中の小さい方の水がめにはコップが1つ入っていた。


(・・・土間?水がめ??)




奥の部屋に続くであろう扉の前で

強盗じゃありませんよー、か弱い女性ですよーって風を装いもう一度ノックをして声をかける


「すみません。鍵が開いてたので勝手に入りましたが、どなたかいらっしゃいませんか?」



それでも静かなので誰も居ないと判断して部屋を開けて息を呑んだ




「だ、大丈夫ですか!?しっかりして下さい!」



床に倒れたお婆ちゃん!

第一村人発見と思いきや死体?!

もしかして山村殺人事件か?!




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