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アデルハイド・ローラン・ネシック様と言う隠れ鬼畜

考えてみたら、流されるままに来過ぎな自分。

日本に居た時からそうだった。

塾の先生に進められて受けた高校

友達も行くからと進んだ大学

内定が取れたからと入った会社



アンナさんは黙って私を家に置いてくれてたけど

きっとそれって私が成人前の女の子だと思ってたからなんだろうな。


そう思えば、すでに25歳・・・曲がり角でひょっこり顔をのぞかせてる場合じゃないお年頃なのだ。


あのまま日本に居たとしても自立してなきゃおかしい年齢だ。



特にこの世界の成人は16歳だ・・・。




気付けば私、超絶ヤバい立場なんじゃ・・・



いつまでもアンナさんに甘えてちゃいけないともっと早く気付くべきだろう!


そりゃ、言動が未成年と言われるわけだ。



しかもリカルドさん曰く、二十五歳は行き遅れ・・・嫁に行ける可能性も低い。

いや、成人前に見えるらしいし?合法ロリで攻めるか?!




却下だな・・・私の精神が初夜まで持たないな。

なんでロリの相手をせねばならん。




じゃあ仕事をして自立したキャリアウーマン!


ダメだ・・・前職のスキルを活かせる場面がこの世界にあるとは思えない・・・。

エクセルもワードも無いんだ。


そもそもこの世界、女性の仕事が少ない。

村の女性たちも、畑を手伝ったり、家業の売り子をしたりお手伝いをする程度

とても自分一人を養っていける給金は望めない。


かと言って、アンナさんみたいに教師になれるほどこの世界に詳しい訳でもない。



そう思うと、アンナさんって本当にすごいキャリアウーマンなんだな。

森の中とは言え自分の家を持ち畑も持ってる。

私に服を買ってくれる余裕まであったんだから。





アンナさんの本をぼんやりと眺めていたら

スヴァリアさんが声をかけてきた。




「大丈夫ですよ。アデルハイト様は恩人として扱うと仰ったのですから

リーナさんを悪いようにはしないはずです。」





気分が沈んでいった私を

心配して慰めてくれてるらしい。

何て良い人なんだろう。

さすが世界のオカン。






「・・・アデルハイド様って誰?」






「・・・・自分の居る領地の領主様のお名前位覚えなさい。二年もここに居たのでしょう?」







はっはっはっ!

なんせ生活に関係無かったもんだからな!

会った事も無い領主様よりたまに来る行商人の名前の方が覚えは目出度いってもんだ!







まぁ、私の今の命運を握ってるのはそのアデルハイド? 領主様なのだが





「アデルハイド様ってどんな方なの?」




「見たまんまだ」




端的過ぎて分からん!




見たまんまって・・・


金髪碧眼の優男風

こんな厳つい砦より宮殿が似合いそう。

絶対に若い頃は王子様の様だったんだろうな。

質問も直接的で回りくどくなくて、貴族様だから腹の探り合いの様な会話になるんじゃないかと危惧したがそんなことも無くて素敵だった。

・・・貴族としてはどうなんだろう。

腹芸とか出来そうにないんだが・・・。



「正解だ。見た目に反して筋肉バカの鬼畜なので腹芸には不向きだ」



筋肉バカって・・・

主人に向かって今、さらっと鬼畜って言っちゃったよ・・・



「あんなに優しそうなのに、鬼畜なの?」



私の命運を握る男が鬼畜・・・

どうしよう・・・。

私、売られるのかな。

私の写真見て姫君とか言ってたし・・・


はっ!? ロ、ロリコンが身近に?!




「あー・・・リーナの想像は当たらないから心配するな。 あれで立派な領主様で人望もある。」





今、鬼畜って言ったじゃん!

スヴァリアさん、領主様に立派な鬼畜って言った!!




「立派な領主様とは言ったが立派な鬼畜とは言ってない!」








***



翌朝

私が連行されようがされまいが行われる予定だった模擬演習





今、目の前に居るのはアデルハイド・ローラン・ネシック領主様

 改め、 『 鬼畜 』が居ます。





怖い怖い怖い!!




笑顔で人をなぎ倒していく様が恐ろしい!

どこのサイコパスだよ!






「・・・剣を持つと人が変わるんだ」






これ、変わり過ぎだろう!


人じゃなくなってるよ!


あの笑顔、トラウマになるって!!



人の生き死になんて、老衰で死んだお爺ちゃん位しか知らない私には厳しい!


潰した刃を使っているとは言え、本気の模擬演習戦らしく、怪我もする。


血に塗られた笑顔の領主様とか恐ろしすぎて夢に魘される自信があるよ!


つか、領主とか指揮をとれ!指揮を!!


なんで前線らしき場所で笑顔で人を潰していってるんだ!!!




「あぁ・・・筋肉バカ鬼畜なんだ」



そこで納得しちゃダメだよスヴァリアさん!

お母さんならちゃんと躾けなきゃ!











鬼畜(アデルハイド様)は、確かに王子様の様な容貌で、若い頃は社交界の話題の人だったらしい。


が、令嬢に良い所を見せたくて模擬戦に呼んだ後、尽く振られる残念イケメンだった。


未だ独身らしい。


あー・・・筋肉バカって筋肉見せたがるよね。


ただの筋肉バカならまだしも、あの笑顔で何人の令嬢にトラウマを植え付けたんだろう・・・



うん。鬼畜だ。


残念な鬼畜だ。




「残念な筋肉バカ鬼畜?」




呟けばその声を拾った隣のスヴァリアさんが口元に手を当てて囁く





「・・・ネシック戦闘卿と陰で恐れられております」





いや、陰でじゃないよね!

隠れてないよね!

味方のはずなのにまわりの騎士様方にも震えてる人いますよね?!






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