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アンナ・ルグ・リーディング女史

惑いの森にどのルートで入ったのか?

と問われても



『飲んだ帰りに公園を横切って森の中をさ迷いアンナさんの家にたどり着いただけ』


と言うのを繰り返す事しか出来ない。



実際、隣国はおろか、自分の今居る国の名前すら知らなくて、何度かアンナさんから教わったが舌を噛みそうな名前としか認識していない。





「リーディング女史の命を救った恩人としては感謝するが、こと、素性がはっきりしない。」







「・・・アンナさん、リーディング女史ってもしかして有名人?」






「王立高等研究室の元室長で、私の恩師でもある。主に歴史や異民族の文化遺産の研究の第一人者で、五年前からあの場所で隠居生活を始めている。」





何か凄そうなのは分かった。






「リーディング女史でも判らなかった国を私ではどうにもならんぞ」




無い国を証明出来ないもんねー。





「・・・私は、いつアンナさんの所に戻れますか?」





領主様とスヴァリアさんが難しい顔をして思案しはじめた。





「・・・私は、・・・私は、諜報員ではありません。」






自分の弱々しい声が部屋に落ちた。







「・・・続きは明日にしよう。

身元は不明だが、リーディング女史の恩人として扱う。

この砦は周辺の森を抜けるのに馬車でも半刻はかかる。勝手をするな?」




長いものには巻かれろな日本人なので大丈夫です!





***




領主様と、全く実りのない事情聴取が終わり部屋に戻る



「と言うか、此処ってやっぱり砦なんですね。領主館に連れていくって言ってたのにね?」



「・・・リーナの体調に合わせて工程が遅れて居たからな。

元々、昨日までは領主館の方にいらっしゃって、明日から始まる演習の為に今日から砦に詰める予定だったのでな。砦に変更させていただいた。」






忙しい中をお手数をお掛けして申し訳ございません。




全て馬車の揺れが激しいせいです。









先ほどの部屋に戻ると

夕食まで大人しくする様に念を押されてスヴァリアさんが出て行った。



・・・鍵、かけていかないのかな?

と、ドアを開けたら目の前には仁王立ちのスヴァリアさん





「大人しく、の意味は分かりますか?」





オカンから魔王にクラスチェンジしたかと思ったよ。




「ここは砦内なので闇雲に歩くと遭難しますよ」



そうね。私、迷子のプロみたいなもんだし。

はい。ごめんなさい。

部屋から出ません。








***




とは言え、一人することも無く早々に飽きた。

なんせ、窓も無いのだ。


天井のシミを数える趣味も無いし、何よりあのシミは気付かない方が良いパターンのシミだ。



「鍵をかけないのは、信用してるって意味ではないんだろうな・・・」



領主様が言ったように、逃げようが無い場所だもんな。


かと言ってこれ以上の退屈どーしろと。




すると扉がノックされると同時に開いてスヴァリアさんが戻ってきた


「夕食まで時間を潰すための本を持ってきました」


おぉ!気遣いのオカン!ありがとう!けどなぜ返事を待たないんだ!




・・・何って、分厚いんだ。



「リーディング女史が執筆した本です。初等科の教材に使われたりするので読みやすいでしょう」



マジか・・・初等科でこの分厚さか。

大学で買わされた教授の本より分厚い。






本は確かに読みやすかった。

この国の歴史書と神話を組み合わせた様な物語で

無理なくこの国の成り立ちが分かると好評らしい。


確かに面白い。


面白いが・・・この本の女神様が実に残念なのだ。



この国の女神、2800年程前に3年ほど迷子になったらしい。

何でも空を飛ぼうと切り立った崖から飛び立って、けがで動けず3年間行方不明・・・


厨二病発症女神様だ


女神が『I can fly』を『奇跡を起こす』って意味合い以外で実践してどうするよ。


てか、神話なのにもうちょっと神々しく書けないのか?





「本人のお言葉通り書かず、嘘を書いてどうする」







そこは神話だ。どうとでもごまかそうよ!

こんな残念な女神とか大丈夫なの?!





「本人も見るんだ。ごまかした所ですぐにバレる」






ん・・・?

何かさっきからスヴァリアさんの言葉に違和感が・・・





「・・・本人?」





何と、この国の女神

首都の王城に居るんだと!



御年、3218歳だと!!




そしてその女神様の子孫にあたるのがアンナさんなんだと!!






あー・・・凄そう、じゃなくて、凄い人なんだね、アンナさん。




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