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東方小説  作者: リンダ
導入
8/9

行間二

遅くなってしまい申し訳ありません。

しばらくは早くなるかと…。


「-----っ」


母の泣くような声がする。

兄に気づかれないように寝具から抜け出す。


すすり泣く声であったが、静かすぎるこの屋敷では近くの音が筒抜けなのでこうして寝ていてもわかってしまう。

夏などは虫の音がうるさく、寝られないのが難点だが母のこのような事態に気づけるのはひとえにこの屋敷のおかげだ。


廊下に出て母の寝室に向かう。

一歩一歩近づくごとに音が大きくなる。


最近の母は泣いてばかりだ。

それでもこうして母が泣いていることに気づいているのは僕だけだ。

僕たちにばれないように夜に一人で泣いているのだ。


今日で七日目。

いつも父が七日に一度は来てくれていたのに今日は来てくれない。

そういえばこの前父が来た後から母は今のようにになった。

父が来てくれたら泣き止んでくれると思っていたのだが…。


簾をあげて母の寝室に入る。


「母上。どうされました、泣いていらっしゃるのですか…?」


母が驚き顔を上げる。

自分の泣き顔を見られたのを何か思うのか急いで顔を拭う。

無理に笑顔を作って僕に笑いかける。


「…あら、--。泣いてなんかいないわ。それよりもどうしたの?」


平然と嘘をつく母に少しむっとして返す。


「嘘をおっしゃらないでください。もう七日になります。はじめは母上を思って気付かぬふりをしておりましたがもう限界です。父上がこの前いらっしゃった時から何があったのですか?」


先に母に言い訳をさせないために踏み込んでものを言う。

七日前聞いた言葉を思い出す。

嘘であってほしいから、認めたくなかったから、直接母から聞きたかった。


「何を言ってるの?それより早く寝なさい」


優しく微笑むが嘘なのは分かってる。

しかし、それ以上母に聞くことはできなかった。

聞くことで母は傷ついてしまうとおもったからだ。


「…分かりました。それでは母上おやすみなさい」


「ええ、おやすみ。また明日ね、--。」







部屋に戻るが、寝る気がしない。

何かを隠そうとする母から意味を悟ってしまった。

父の言葉は本当だと悟ってしまった。


母は悲しくて泣いている。

僕らを捨てなければ一緒にはいられないと最愛の父に捨てられたから。


つまり、僕らは捨てられたんだ。



悲しかった。

母が泣いているのが。

怖かった。

父に捨てられることで泣いているのか、それともーーーーー




怖さに耐えられず、眼から涙があふれる。

嗚咽をこぼして、泣きじゃくる。

でも大きな声は出せなかった。

母と兄に気づかれるから。


いつか、知ってしまうとわかっていても、悟られるわけにはいかなかった。

母には幸せになってほしかった。

捨てられても自分が兄を護ろう。



そう誓ったある冬の日だった。

一から前の話。

二人はまだ西行寺亭にはいません。

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