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東方小説  作者: リンダ
導入
5/9

行間一

「今からあいつのところにいってくるけど、ついてくんなよ」


桜咲く屋敷で二人の子供の声がする。

年の頃は九、十歳

話しかけられた方がもう一人に返す。


「うん。兄さんはあの子が本当に好きなんだね」


「まあな。いつか俺に靡かせてやる。それで、悪いけどーー、今日は一人で遊んでくれるか?」


「大丈夫だよ。もう兄さんについていてもらわなくても平気」


「そうか…、それはそれで寂しいんだけど」


二人の顔立ちは瓜二つで、違うところといえば、兄さんと呼ばれた方が少し強気な顔をしていて、もう一人は穏やかな顔だっった。


「嘘だよ。そんなことより、ほら、早くしないとあの子が出掛けちゃうよ」


「あ、と。そうだった。でも何で同じ屋敷に住んでんのに、俺達は外に出たらいけないんだよ」


「僕たちが双子だからでしょ。双子は疎まれるものだから…。殺されないだけましだよ」


「父さんも、そう思ってんのかな…」


落ち込む兄を弟がすかさず励ます。


「そんなことないって。だってこの前、父さん、兄さんの事誉めてたよ、器量がよくて自慢の子だって」


「本当に?」


「うん。落ち込む必要はないよ。兄さんは早くあの子のところにい行ってきなよ」


「っ、うん!!」


満面の笑顔をして兄が屋敷を駆けていく。

それを微笑ましく弟が見送った。


「ふぅ。やっぱり兄さんと話すと疲れるよ…」


たまらず息をはく。

彼は知っていた。

今のがうわべだけの会話だということ。

自分が本当は兄から疎まれていることを。

それでも原因が自分にもあるので強くは出れなかった。


そしてその原因がーー



「だーれだ?」



急に視界が閉じられる。

目にはひんやりとした手の感触。

背中には何かが被さっている。


なれた手つきで目もとの手をつかむ。

そして振り返り、


「幽々子…。何をしてるんだい?」


後ろの少女を見る。


年は同じくらい。

桃色でふわりとした質の髪。

水色の着物からまだ未発達だがそれなりの身体が浮き出ている。

そして、間から見えるのは今にも溶けてそうな雪のように白い肌。

これだけでも彼女は魅力的な女の子だといえる。


そう、彼女こそが兄の意中の相手である。

そして、彼女は彼が兄から疎まれている理由に繋がる。


「何って、ーーを驚かそうと思って」


「はぁ…。女の子が男の人をベタベタ触るものじゃないよ…。それこそ、好きな人とかとだけーーー」


「あら、だって私、ーーが大好きだもの。それならいいでしょ?」


「 」


話を遮られとんでもないことを言われる。


つまりこういう事だ。

彼は望まれずして兄の恋敵になった。

そして


「兄さんに会わなかった?」


「会いそうになったから逃げてきたのよ。兄さんは自慢ばかりして、あなたの事を馬鹿にするから嫌い」


まいったな。

そこまで嫌われてたなんて。

明日から顔を直視でにるだろうか…。


「そっか。まあせっかく来たんだ、ゆっくりしていきなさい」


「本当!? だからーーって好き!!」


「あはは…」


しかし、こうやって彼女に弱いから僕も悪いのだ。

兄さんばかり悪いわけではない。


気持ちを切り替え考える。



ーーーさて、今日はなにして遊ぼうか…



誰かの昔の話。


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