イメージ小説。
私の特技はおしりをかじることだ。
人それぞれおしりの味が違うので、飽きない。
町を歩いていたら、髭が濃く、しかもまったく手入れされていないと思われる男がいた。4、50代に見える男は、眼鏡を掛けていて、頭もぼさぼさ、頭を掻きむしったら、ふけの吹雪が舞いそうで清潔感の欠片も見えなかった。
服は年齢にふさわしい恰好ではあるが、やはりどこか汚らしく見える。
あの男のお尻はどんな、味がするのだろう。
ものすっごい、興味が湧いた私は男に交渉してみた。
「あの、突然で申し訳ないのですが、お尻をかじらせて頂けないでしょうか」
男は私の突然の無茶なお願いにも関わらず、威風堂々とした様子で、快く受け入れてくれた。
お尻をかじると、ほのかな酸味と甘みが絶妙にマッチしていた。
男は「俺は毎日、お尻の手入れを欠かしたことがないんだ。手入れの後は仕上げにヨーグルトとメープルシロップを風呂上りにお尻に塗っている」と言った。
私は人は見かけによらないものなんだなと思い、心が弾み、クラッカーが弾けた時の様に喜びが溢れ出した。
私は歌を歌いながら踊り続けた。
/おしりかじり虫の曲をイメージして書きました。
外を儚げな様子で歩いていた、薔薇実はふと視界を横切った物に目をやる。
「シャボン玉?」
シャボン玉は大小様々な形をしていて、秋の乾燥した風を受けて、方々に飛んで行く。
薔薇実の目から自然と涙がぽたりぽたりと、零れだしていた。
「伊賀栗の奴、馬鹿にしやがって」
薔薇実は先日、伊賀栗に告白し振られたのだ。
薔薇実はシャボン玉の行方を目で追う。
シャボン玉は屋根まで飛ぶ物もあるが、すぐに地面に落ちるのもある。子供が飛んでいるシャボン玉を叩き、途中で割れるのもある。
薔薇実の沈んでいた気持ちに変化が起き始めた。
「シャボン玉って、何だか人生みたい。長く飛んでいるのもあれば、すぐに割れるのもある。順調に飛んでいても、誰かに邪魔されて割られるのもある」
薔薇実はどこか吹っ切れたような気持になった。
「そうだ。振られたぐらいでいちいち気にしてなんかいられない。私の人生はまだまだこれからだ。まだ私のシャボン玉は割れてはいない。私はもっと高く、そして大きく、そして美しいシャボン玉になろう」
薔薇実は自分のこれからの未来に向かって言うように、遥か遠くの空を見上げて言った。
/シャボン玉の曲をイメージして書きました。