第6書 ハッピーバースデイ
モーセは雪の降る林の中で魔法の練習をしていた。
「パラストウォーア!」
魔法を唱えると魔法陣が1つ、2つ、3つと出てくる。
「ぐっ…」
4つ目の魔法陣が少しずつ完成していく。が、完成する前に全ての魔法陣が壊れる。
「うわっ!」
モーセは尻もちをつく。
くぅー…。魔法陣4個はまだ無理だな…。ミスると魔力こっちにぶつかってくるのクソ痛いし…。
「ヒュルゥルゥルゥルゥ〜!」
空にいた大きな鷲のような生物が、置いておいたカバンを取っていった。
「ああ!僕のカバン!」
最悪だ…。まぁ特に何も入ってないんだけど…。
空から強風が吹く。鷲のような生物は風に押し負け落下してくる。鷲のような生物はカバンを落とし、モーセがそれをキャッチする。
「おーい」
声がする方を見るとシュエイドさんがいた。
「シュエイドさん!」
モーセはシュエイドさんの元へ走っていった。
「今日仕事はどうしたんですか?」
「モーセが一番わかってるだろ?」
シュエイドさんはニコニコしている。
「僕が?」
「今日は何の日?」
今日…何の日…。え?何の日だ?
モーセが困った顔をしていると、シュエイドが心配そうに言った。
「分からないのか?今日はモーセの誕生日だろ。」
夢のことを思い出した。そうだった。今日は3月8日だ。
「だから早く帰ってきたんだよ。今日は誕生日パーティーをしようと思ってさ。」
「本当ですか!嬉しい!」
初めての誕生日。それが9歳になるとかちょっと違和感。
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机にケーキ、チキンなどなど、豪華な料理が並んでいた。前世とあんま変わらないんだな。
ドンッ!
扉が思いっきり開いた。
「来たわよモーセ!」
「モア!」
急いで玄関に行くと、腰に手をあてながらぶるぶる震えるモアがいた。よく見たら冬なのにいつもと同じ格好だ。
「大丈夫?」
「だ、だ、だ、大丈夫よ!」
モアは声が震えていた。
「厚着をしろといったのですがね。王女様が頑固なもので。」
後ろにいたジーンが喋った。
「ジーン!」
「呼び捨てにするな!」
ジーンは怒鳴った。
シュエイドさんも玄関に来た。
「私が呼んだの。いい誕生日になりそうじゃない?」
「うん!」
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「こう歌うの。Happy birthday to you, Happy birthday to you, Happy birthday, dear ■■■■ , Happy birthday to you.」
モーセの声をした人が言った。喋り方が女性っぽい。
「えーっと、はっぴーばすでー とぅーゆー。はっぴーばすでー とぅーゆー。はっぴーばすでー でぃあ ■■■■、はっぴーばすでー とぅーゆー。」
ガラガラ声の誰かが歌った。
「上手い上手い!ありがとうね。」
モーセの声をした人は優しく言った。
「ああ。これからもよろしくな。」
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「ん?」
あれ、朝だ。変な夢を見たな。前と同じように、この体の前の記憶だろうか。視界は真っ黒で何も分からなかった。名前も聞こえなかったし。あとなんで前世の歌を知っている?ただの夢…。だったらいいけど。
横を見るとモアが口を空けてぐっすり眠っている。
「ま、いっか。」




