第2書 理想のために
あれから何日が経っただろう。シュエイドさんと暮らし始めてから毎日が楽しい。
今日の朝食はコーヒーにクロワッサン。シュエイドさんがコーヒーを飲めないことのあり、毎朝僕が普通にコーヒーを飲んでいるのを見て、不思議そうにしている。僕がこうして普通に飲めるのは、前世の僕はコーヒーが好きだったんだろうか…。
昨日、不思議な夢を見た。僕が8歳の誕生日を祝われている夢だ。誰からは分からない。ただ、暗闇の中から祝う声と、美味しそうなステーキがあっただけだ。あと、汚い字で丸太の表面に、1876,3,8 という数列が書いてあったことも覚えている。
「そういえば、モーセって何歳かは覚えているのかい?」
考え事をしていたから急に言われてビックリした。
「8歳です!」
咄嗟に言ってしまった。夢のことだから、確証はないんだけど。まあ、カレンダーに1876年とかいてあったし,実年齢であるだろう。
「8歳…てことは…。誕生日は?」
「多分…3月8日?」
「うわー、今4月だし、ちょうど来年から学校だね。」
「学校?」
異世界にも学校があるのか。魔法を学ぶのか、それとも前世のような学校なのか。
「10歳になる年から5年、魔法とかの勉強をする場所さ。別に行かなくてもいいんだけどね。」
「行きたいです!僕、魔法とか全然わかんないし!」
ちょうどいい。魔法について詳しく学ぶチャンスだ。行っておかないと。
「じゃあ決まりだね。ああ、言い忘れてた。ちなみに学校は寮生活だよ。」
「寮生活か…」
少し寂しい。もう1年もすればシュエイドさんと別れてしまうなんて。
「でも大丈夫。ここから山の奥にあるフワイエイド魔法学校なら、私の職場だから一緒だよ。」
「じゃあそこがいいです!」
素晴らしい話だ!やはり神はいるのだな…
「でも全世界で一番入学が難しい学校なんだよね…」
シュエイドさんは気まずそうに小さな声で言った。ああ…やはり神とは遠い者だ…。
待て。それはシュエイドさんは滅茶苦茶凄い人だということなのでは?だって一番入学が難しい魔法学校で働いているんだから…。
「シュエイドさんって…もしかしてめっちゃすごい人?」
「そんなんでは無いかな〜。私が教えてるのは剣術だし。一応、魔法も一般人よりは結構使える方だと思うけどね…。」
「教えてください!魔法!」
「へ?」
驚いた顔でこっちをみてくる。口がポッカーンと空いている。
「そしたら入学できると思いますよ!その…フワイエイド魔法学校ってところ!」
思い切って言った。正直、こんなところでシュエイドさんと離れたくないだけだが。
「ふふっ、面白いな。いいぞ。暇なときは教えてやるよ。」
「ありがとうございます!」
やった!小さいガッツポーズをしたが、想像ではこれの30倍ぐらいの勢いでガッツポーズをしている。
「今日はヒマだし、さっそく始めよう。まぁ、まずは魔法そのものについて学ぼうか。」
そういえば、勝手に受け入れているけど魔法の原理とかなんでできるとか全然知らない。
「まず、魔法は3パターン存在する。まずその1、属性魔法だ。自然現象を元にした魔法の総称だ。例えば…」
シュエイドは人差し指を立てる。
「フレイアム」
人差し指の先には赤い魔法陣が現れる。そして、シュエイドの人差し指から1センチほど離れた宙に火が浮く。
「すごい!火が出てきた!」
「属性魔法は消費する魔力によってサイズと威力が変わる。そして魔法陣を多く構成するほど威力は跳ね上がる。そして、魔法陣の数によって魔法の名前が変わる。」
「シュエイドさんは最高何個の魔法陣を構成できるんですか?」
「私は…最高9個だ。ちなみに、一般的には魔法陣は最高10個までしか組めない。」
「そうなんですか。じゃあ結構すごい方なんでしょうか?」
「まあ、すごい方かもな。じゃあ、その2、平素魔法。魔法によって消費魔力が決まっているものや、魔力を増やせば、効果を強くすることができるものもある。例えば私が移動に使うテレフォーン。これは自分をテレポートさせる魔法だ。消費魔力を増やすことでテレポートする距離を伸ばすことができる。そして魔法陣を無くして発動することも可能だ。そしてその3、それぞれが別の能力を持つ、固有魔法だ。固有魔法に関しては人によって効果や消費魔力が違いすぎるため、これ以上の説明は無理だな。」
「固有魔法…。僕の固有魔法とかってわかるんですか?」
「固有魔法は習得までが難しい。固有魔法は始めて発動する時だけ膨大な魔力を要することが多いからね…」
固有魔法。夢のあるものだな。ものすんごいチート能力だったりして…。ああ、ワクワクする。
「それじゃあ、さっそく魔法の練習と行くかい?」
----------------------------------------------------------------
テレフォーンで草原まで移動してきた。
「さぁ。まずは属性魔法からだ。魔力の感覚を掴むのにピッタリだからな。どんな属性がいい?何となくでいいから想像してみなよ。」
うーん…。難しい。…そういえば僕のモーセという名前は水の魔法を作った人とか、前、シュエイドさんが言っていたな。
「水!水の魔法がいいです!」
「水ねぇ…。水は生成するのは一番簡単さ。アクリマル。」
シュエイドは水を出した。球体の状態で浮いている。
「やってみます!アクリマル!」
手を前に出し、唱えた。掌から青い魔法陣が出てきた。少し小さいが、球体で浮く水を生成できた。
「できた!」
「すごいよ!初めてなのに…。どうやってやった?普通は魔力の放出とかを教えないとできないのに…。」
シュエイドさんはとても驚いていた。ショックを受けたような感じもあった。
「そんなにすごいことなんですか?」
「あ…ああ。じゃあ、次は…この水を…ポンッ!って。」
シュエイドさんは手で銃の形を作って、その小さい銃の銃口にある水を真っすぐ飛ばした。
「えーっと…。こう?」
なんとなくやってみると、水は前に飛んだ。真っすぐではあるが、勢いが足りない気がした。
「すごい…。もしかして魔法使えること黙ってた?」
「いや…そんなことは…」
「なんか、モーセなら、フワイエイド魔法学校入学も余裕そうだね。それくらいすごいことだよ。今の。」
「そんなに…」
自分の手を見る。そうか。僕はすごいんだな。でもシュエイドさんがいなかったら気付けなかっただろう。
「じゃあ次は何をしますか!」
「次は普段の生活でも役立つ、平素魔法だな。」
「はい!」
こんな素晴らしい人に出会ったんだ。絶対にフワイエイド魔法学校に入学して、シュエイドさんと一緒に生活するんだ!




