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異世界転生夢書  作者: 鶏冠こけ
1.異世界転生編

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1/6

第1書 転生、そして記憶喪失

初投稿です!最後まで読んでくれると嬉しいです。週2程度で更新していきたいです。

 苦しい。息が苦しい。軸椎じくついが伸びて喉を突き破ったようだ。手の指には洗濯バサミが付いているようで、足に感覚なんてもう無い。生ぬるい雨が当たる…もうそろそろ、その感覚は亡くなってきた。

 立てない。土が腹に当たる感覚は感じる。なんでだろう。私がなぜこうなったのか、そんな事は記憶にない。死ぬのが怖い。今はその感情しかない。でも、苦しみから解放されるなら、

「死後は無だ」

 それは何時か誰か分からない人が私に言った言葉。嘘だった。目の前が真っ暗。でも考えることはできる。不思議だ。これなら退屈はしない。

 頭に冷たい水が落ちた。瞼を上げると、そこは洞窟だった。そばには現実に本当にあるのか怪しいランタンがあり、幸い視界は良好だ。

「あれ、ある!」

 急いで前まで何も無かったところを触る。確かにある。急いで近くにあった水溜りで自分の姿を見る。低い身長、海のような青い瞳。そして、黒い髪。映ったのは10歳になったばかりほどの少年。そうか。私は死んだ。そして転生したんだ。不思議な感覚に謎の高揚感。だが、性別が変わったことは気に食わない。贅沢だ、まったく。そういえば、転生前の自分が何者なのか分かってはいないが、一般知識は脳から跳んではいないよいだ。記憶喪失…というやつだな。きっと。

ガラン ガラン。

 なんだ。この音。聞いたことがない。下駄に近い音だろうか?だがもう少し音は低い。

「.~kcαb μ'Η !αδαΝ !iεΗ」

 謎の言葉だ。怖い。きっと人間じゃない。そう確信した。そばに剣が落ちている。落ちている理由なんて知らない。でも感じた。これだ。剣を持ち、声が聞こえる道の入り口の角にに待ち伏せる。

ガラン ガラン。

 音は近くなってくる

ガラン ガラン。

 灯りが見えた。今だ!私は剣を振るった。当たった感覚があった。肉の付いた物を斬っている感覚では無かった。

「...αδαΝ ...iηW !ηαwΓ」

 そいつは骨だった。骨はこっちを見るなりそう言ってバラバラになって死んだ。最後まで手こちらに伸ばしながら。罪悪感。でも安心感と達成感が強かった。この骨を何と言ったか…。そう、スケルトンだ。弓矢や剣などの武器を使うイメージだった。だが、ランタンしか持っていなかった。ここが家だったのだろう。そう考えた。

 だがこれで分かった。これはただの転生じゃない。異世界転生なんだって。だけど、どうしよう。何も分からない。異世界のことなんて。とりあえず、この世界を理解しよう。

 …さっきスケルトンが通ってきた道を通れば地上に出れるかも知れない。そう思いランタンと共にその道を真っすぐ進んだ。

 20分もすれば出口に付いた。外に出てみれば、そこには緑が広がっている。左右には崖、遠くには大きな街が見える。少し違うがヨーロッパの歴史的建造物ようだ。まずはあそこに行こう。それが第一の目標だ。少し側に整備された道があった。前の世界比べれば酷い物だが、あるだけマシだ。

 道は長い。もう1時間は歩いているのに、遠くの街の大きさは変わらない。足はもう棒だが、歩けるのは前の世界での苦しみからだろう。

「大丈夫?」

 うわっ。情けない声が出る。急に声をかけてくるのでビックリした。話しかけてきたのは前から来た黒髪で髪の長い、緑色の瞳のお姉さんだ。

「大丈夫です」

「いやいや、でも服ボロボロ…」

 本当だ。ただの汚れた布を2枚、上半身下半身と巻いてあるだけだ。

「いや…その…」

「良かったらウチ来ないか?」

「いいんですか?」

「もちろんだよ。困ってる人は助けるもんだろ?」

 初めに逢う人が良い人で良かった。正直、異世界だから何に出遭うか分からなくて怖かった。

 お姉さんは手を差し出してくる

「さぁ。手を」

「は…はい」

 手を差し出すとグッと、そのクールな見た目からは想像できないほど情熱的な掴み方をしてくる。

「テレフォーン。」

 お姉さんがそう言うと目の前が街の通路になった。

「なんですか!?これ」

「魔法だよ。知らなかったの?」

「はい。僕、昔の記憶がなくって。」

「そうなのか…記憶喪失かな?」

 手を繋いだまま家に入った。家も手も、記憶なんてないのの久しぶりだ、と感じる暖かさだ。

「そういえば名前を言っていなかったね。私はシュエイド。シュエイド・ロードベントだよ。キミはなんて言うんだい?…もしかして名前も覚えていないのか?」

「はい。そうなんです。全く分からなくって」

「そうなのか…。可愛そうだな。」

 側に本が2冊あったわけでも無いし、名前なんてパッと浮かばなかった。というか不思議だ。今私が話している言葉は日本語ではない。だが、理解できるし、聞き取れる。そして喋れる。"異世界転生あるある"として捉えて良いのだろうか。

「じゃあ私が名前をつけてあげるよ。」

「え?」

 急に言われて驚いた。

「嫌なら良いんだが…」

「いえ…、嬉しいです!」

 嬉しかった。名前をつけてもらう、という永遠に味わえない体験に対する喜びなのか。それとも、それ以外なのか。なんて分からないが、素晴らしい高揚感だ。

「じゃあどうしようか…。」

 シュエイドはそう言ってこちらを見つめた。手に顎を乗せて困る彼女の姿は、とても可愛らしい。性別が変わったからか捉え方が少し違う気がした。

「綺麗な目だな。海のようだな…。そうだ、モー

セ。モーセなんてどうだ?」

 モーセ…。聞いたことがある。たしか、海を割ったとかなんとかだったような…。でもそれは前の世界の話なのに…。

「何なんですか?そのモーセって。」

「モーセは昔居た魔法使いさ。水を操る魔法を作ったんだ。」

「そうなんですか!いいですね。そのモーセっていう名前。それがいいです!」

「よかった。心配だし、この家で一緒に過ごそう。…それなら、苗字は私と同じにしよう。モーセ・ロードベント。これで家族だな。」

「かぞく…」

「よろしくな。モーセ。」

「はい!」

「家族なんだから、うん。でいいよ」

「…うん」

 初めに遭った人が本当にこの人で良かった。そして決めた。私…いや僕は。新しい人生を歩むことを。

最後まで読んでくださありがとうございます!次回もぜひ読んでください!

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