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第0話 北欧神話散文異説、エッダ・スニャーリ

―――遥か昔、数多の勢力が旗を掲げ世界の覇権を争いシノギを削りあう群雄割拠の時代があった。そんな時代の終わりを告げる様に、ひときわ大きな争いが起きた。

 隻眼の大神オーディンを主神に仰ぎ世界の支配者を標榜するアース神族と、地上の支配者として君臨していた巨人族との諍いに端を発した終末の世界大戦、神々の黄昏(ラグナロク)が勃発したのだ。

 しかしオーディンとその盟友かつ戦争の仕掛け人でもある遊興の神ロキは、終末の予言によって双方が死ぬ運命を事前に知ったため、結託して予言の回避を決意し既に対策を講じていた。そして細かいことは省くがなんやかんや頑張ったので、全生物種の99%が死滅する様な破局的な終末はどうにか回避されて、ラグナロクは被害を最小限に抑えて上手い事終息を迎えたのだった。


 世界がラグナロクの影響でいろいろ大変だったその頃、一方で地上においても小さな争いが発生していた。

 それは猫の神ニャース神族を首魁に置くモフモフ鳥獣連合と、毛無し猿(ニンゲン)族との間に勃発した争いであり、後の世に猫々の黄昏(ラグニャロク)と語られる、一部地域を巻き込んで土日で決着した週末戦争である。

 ラグニャロクは簡潔に言えば、ニンゲン族が開墾と称して自然環境を破壊し、鳥獣の生息域を侵略したことに端を発する異種族間抗争である。ニンゲン族による一方的な侵略行為は、当時ニンゲン族とは中立関係にあった耳長毛無し猿(エルフ)族や髭もじゃ毛無し小猿(ドワーフ)族等の多くの少数民族から批難を受けることとなる。そして彼らの連名で提起した自然環境保護条約並びに、鳥獣過干渉防止条約をニンゲン族が数に押されて否応なく批准させられた事により、二日間にわたる餌場問題は終結したのだった。


 ラグナロク並びにラグニャロクの終結から時は流れて現代。

 アース神族が治める世界では長く太平の時代が続いていた。

 しかし一見安穏とした時代の陰で、円熟した地上世界のヒト社会は緩やかに腐敗しており、長きにわたり蓄積した小さな綻びが積み重なって、大きな(ゆがみ)として表出しつつあるのだった。

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