第7話
勇者――ジュルから魔王との戦いの顛末が語られた。
「魔王デュンケルハイトに戦いを挑んだが……あれは互角だった。互いに深手を負い、勝敗が決まる前に――別の“何か”が現れたんだ」
ジュルは重い声で続ける。
「さっきのやつよりも、もっと巨大で、もっと凶悪な魔物だ。俺と魔王は……同時にそいつへ向かっていった。戦うしかなかったんだ。」
共闘して倒したあと、魔王たちは何も言わず、霧のように姿を消したという。
「剣を交わして思ったんだ。あいつが悪いやつとは思えなかった。」
(魔王さん……!)
ポナの胸は、期待と不安でぎゅっと締めつけられた。
――
勇者ジュルが仲間に加わってから、数週間が過ぎた。
その間、ポナたちはいくつもの魔物の被害を軽減しながら旅を続け、やがて大きな街へとたどり着いた。
しかし――街の様子はどこか妙だった。
門番たちは緊張した面持ちだが、人々はどこか落ち着いていて、
まるで何か“強いもの”に守られているようにも見える。
街の中心へ進むと、ひとりの魔族が堂々と立っていた。
「久しいな、人間ども。」
ジュルが剣に手をかけ、低く言い放つ。
「その紺色の髪に鋭い瞳……魔王軍幹部、ナット。俺たちを魔王のもとへ連れていてくれないか?」
しかしナットは鼻を鳴らすだけだった。
「この街は私が支配している。さっさと出ていけ。」
その言葉に、リヒトたちは警戒を強める。
「街の人たちが出てきている……危ないぞ!」
だが、街の人々はナットを恐れながらも、どこか守るような視線を向けていた。
(この人……悪いひとじゃないのかも)
ポナは小さな鼻をひくひくさせながら、そう感じた。
そのとき、突然、魔物の群れが街を襲い始めた。
ナットは咆哮し、ポナたちへ飛びかかる――
だが、その動きはどこか不自然だった。
彼は戦いながら、街から魔物たちを遠ざけるように立ち回っていた。
「……おい。あれ、攻撃してるように見えるか?」
ジュルがぼそりとつぶやく。
「むしろ……守ってます、よね……」
リヒトも同じく困惑する。
ポナは、意を決して前へ飛び出した。
「クゥゥッ!!」
その鳴き声に――ナットの動きが止まった。
ポナは浄化の力を放ち、周囲の魔物たちを鎮めていく。
ナットは深いため息をつき、肩の力を抜いた。
「……どうやら、誤解していたのは私の方だったらしいな。」
そして静かに告げた。
「魔王様に会いたいのだろう?ならば――案内してやる。私の故郷――魔王城へ」
ポナ、リヒト、ジュルは顔を見合わせ、うなずき合う。
ついに、魔王さんの居場所へ近づいていく――。
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