第15話
轟音とともに、闇の渦が三人とポナを飲み込もうと迫る。
空気は重く淀み、地面はひび割れ、あたり一面が悪魔の“領域”へと変貌していく。
「ここで終わらせるぞ……!」
デュンケルハイトが黒炎をまとって前に出た。
その背中を追うように、ジュルが剣を構え直し、リヒトが強化魔法を展開する。
悪魔は嗤った。
「無駄だ……怨念は尽きぬ。世界が憎しみに満ちている限り、私は蘇る!」
「それでも――今は、おまえを倒す!!」
ジュルが踏み込み、魔王と並んで悪魔へ斬りかかる。
黒と白の刃が闇を裂き、
ジュルの浄化魔法が三人の身体を包んで後押しする。
だが、悪魔の力はあまりにも大きかった。
「クク……甘いな!!」
巨大な腕のような闇が三人を弾き飛ばす。
魔王でさえ押し込まれ、膝をついた。
その瞬間、ポナが小さく震えながら前に出た。
「クゥ……ッ!」
ポナの体から、ほの白い光がふわりと浮かび出す。
怨念が蝕んだ空気を押し返すように、温かく優しい光だった。
悪魔の目が見開かれた。
「な……まだ浄化の力が残っているだと……!?」
ポナの光は、自身が闇に飲み込まれながらも手放さなかった“想い”。
みんなといた日々。
守られた記憶。
名前を呼ばれた嬉しさ。
それらが強い力となって放たれていた。
デュンケルハイトが立ち上がる。
「行くぞ……ポナの光に続け!!」
ジュルも剣を握りしめた。
「これが俺たちの、最後の一撃だ!」
リヒトが魔力を集中させる。
「ポナ……ありがとう。今度は僕たちが助ける番!」
三人の力がひとつに重なり、巨大な光の刃となって悪魔へと放たれた。
悪魔は抵抗し、咆哮を上げる。
「やめろォォォ!!まだ私は……まだ――!!」
しかし、ポナが最後にひときわ強い光を放ちながら鳴いた。
「――クゥン!!」
その瞬間、悪魔の闇は完全に砕け散り、
怨念の渦が浄化され、黒煙のように空へ消えていった。
静寂が訪れる。
闇が消えた空間に、柔らかな風が吹き抜けた。
リヒトが静かに杖を下ろした。
ジュルは大きく息を吐き、剣を収める。
デュンケルハイトはポナをそっと抱き上げ、目を細めた。
「ポナ――よく……戻ってきてくれたな。」
ポナは安心したように魔王の胸で丸くなり、小さく鳴いた。
「クゥ……!」
こうして、悪魔との戦いに、決着がついたのだった。
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