第13話
デュンケルハイト、リヒト、ジュルの三人は、悪魔の残した瘴気の道を辿りながら、ポナの気配を追っていた。
ポナを必ず取り戻す――その思いは、全員を強く繋いでいた。
やがて、荒れ果てた祭壇跡地に辿り着く。
中心には、黒い結界で囲まれた台座。そしてその上に――
「……ポナ!」
リヒトが息を呑む。
ポナは虚ろな目で立ち尽くし、その身体には闇の紋が刻まれていた。
悪魔がその傍らに立ち、蛇のような笑みを浮かべる。
「よく来たな。だがもう遅い。この子は“浄化の力”を持つ。怨念を力にする私にとって、これほど都合のいい器はない。」
デュンケルハイトが怒りを押し殺した声で言う。
「やはり……その力を利用するために連れ去ったのか。」
「そうとも。浄化とは、怨念を“ゼロ”に戻す力……だが、使い方次第では“怨念の増幅源”にもなる。」
悪魔が指を鳴らすと、ポナの瞳から光が消え、黒い光が全身を包んだ。
「ポナ……?」
リヒトが震える声で呼びかけると――
「……クゥ……」
いつもの可愛らしい鳴き声のはずが、低く濁った響きに変わっていた。
ジュルは剣を抜かず、ただ必死に呼びかけた。
「ポナ!聞こえるか?僕たちだ!戻ってこい!」
デュンケルハイトも続く。
「お前はそんな目をする子ではないだろう!思い出せ……私たちと過ごした日々を!」
リヒトは涙を浮かべながら、ポナの両手を掴んだ。
「ポナ、一緒にご飯食べたり騒いだり沢山楽しいことをしたでしょ……!一緒に帰ろう……!」
微かな震えが、ポナの指先に宿る。
「……ク……ゥ……?」
その声には、確かに“ポナ”が戻りつつあった。
だが――
「邪魔だと言っているだろう。」
悪魔が手をかざすと、巨大な闇の鎖が三人に襲いかかる。
「うわっ……!」
「くっ……!」
「離れろ!!」
三人が弾き飛ばされ、ポナの身体から再び光が奪われる。
悪魔の声が響く。
「あと一息だ……おまえを怨念の核として完成させてやろう。」
ポナの目が完全に闇に呑まれようとする瞬間――
それでも、三人は諦めなかった。
「ポナ!!!」
「戻れ!!」
「君は――闇なんかに負ける子じゃない!!」
その叫びに、微かにポナの瞳が揺れた。
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