例え、忘れ去っても
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛です。冒頭少し生々しいので、R15です。
苦手な方はご注意下さい。
私の中での神様の思考はこんな感じなんですよ。
大人になる遊びをした事がある。誰も居ない部屋で、一人閉じこもって遊んだ事を覚えている。誰にも知らない私だけの秘密。でもある日の休日、社を訪れたら御前はこう仰った。
「一人遊び、したでしょう」
その時の瞳が忘れられない。鋭利で、冷たくて、咎める様な目だった。禁忌を犯した私を蔑む様に、その後は何も仰ら無かった事を覚えている。
無垢なままで、いて欲しいんだと思う。何も知らず、何も分からず、子供のままで。神様にとって、氏子というのは我が子も当然なのだから。
そんな時に、綺麗な人と出会った。、
可愛がっている子がいる。子供の様にまっさらで、穢れを知らない無垢な子だった。私の事を慕ってくれている様で、此処を訪れる度に愛らしい話を聞かせてくれた。けれども何時しか、真っ白な雰囲気に、赤い色が付き始めた。その色は段々と彼女を侵食し、白さを失わせていった。
大人になったのだと気が付いた。何時しか私の元を離れ、触れ合った日々までも忘れ去ってしまうのだろう。そう思ったら、どうしようもない程の焦燥が胸を焼いた。
「最近は裏で糸を引いている様だが、子離れの時期だよ、君。人間というのは、何時の日か私達の元を離れ、忘れ去るんだ」
片割れが諦めた様にそう言った。彼も可愛がっていた子を、他の人間に取られた側だった。何度も何度も奪われて行くうちに、人に対する執着心も失ってしまった様だった。
「嫌だ」
そんなの許さない。この場を去ることも、忘れることも、絶対に許さない。あの子はずっと子供のまま、誰にも拐かされる事もなく死んでいくんだ。
「あの子は死ぬまで私のものだよ」
人間になんか渡さない。絶対に。もし余所見しようものならば、全ての縁を切り落として、私に向かう様に仕向けるまで。
「……自分の嫁にでもするつもりかい?」
「自分の子供を何処の馬の骨とも分からない奴に、誰が渡すの?」
そう言って、人への擬態を始める。誰にも目を向けさせないよ。例えその対象が自分であっても。
私の中での神様観ってこんな感じなんですよ。
決して人と分かり合えず、極めて我を通す。誰の事も考えず、我が道を行く。
元々人間だった梅香の君はもう少しマイルドです。
人だった事があるので、人の思考が分かるタイプ。
『潮時かぁ……。人間だものね』と仰って手を離しそうな気がします。
でも生まれもお育ちの神様の場合って、そうじゃないと思うんですよ。
言い方悪いですが、人間ならば『毒親』と呼ばれるほどに過干渉で、全てを支配し、欲しがる感じ。
自分が納得すれば、相手がどれだけ駄目になっても、壊れても満足する感じ。
『何で離れるの? 忘れるの? 私よりも人間を選ぶんだ。だったらその縁、全て切り落とそう』
『どれだけ駄目になっても、甘えてくれるならそれでいい』
※人外だからこそ、これぐらいのぶっ飛びが好きです。
人外が好きなんです。
絶対に人と分かり合えないところが好きなんです。
恐怖心と共に、どうしようもない興奮を覚えます。