表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/15

pipkにあげたあれを収納したこれ(義親)

pipkとにあげたあれを収納したこれ

※劉夫妻と春蕾の話

 三人が仕事で家を空け、ベアトリーチェたちに預ける日でない場合は、この街唯一の中華料理店を経営する夫妻の元に預けられる。飛龍の養父母、劉夫妻が経営しているその店は、この街の掃除屋も兼ねていた。

 昼と夜は腹を空かせた労働者が食事を取るためにやってくる。夜中は依頼されたものを掃除して、顧客の要望を叶えるために見せしめを作り出す。

 店仕舞いして、訪れた僅かな休憩時間。二人が休日を得ているところは、ここへきてから一度も見たことがなかった。

「蕾、今年は愛に満ち溢れているそうよ。少し積極的になる年ね」

 チュンレイだからレイ。カードを見て、飛龍の養母の劉水晶が言った。

 恋愛運が気になる、と強請った。趣味で占いを嗜む水晶、だがそれはよく当たる。そのため、食事を取らずに占いだけを求めて店へとやってくる客も多い。

「蕾蕾、どうだ? 好きな女の子の一人でもできたか?」

 チュンレイだからレイレイ、愛称で呼ぶのは飛龍の養父である劉紫晶だ。出来上がったばかりの胡麻団子を差し出して、適当に椅子を引っ張ってきてそばに腰掛ける。

「やめなさいよ、紫。この子は龍と相思相愛なのよ。あなたも、ちゃんと分かってるはずよ?」

 嗜める水晶の言葉に、反感を示す紫晶。

「男同士で恋愛なんて、そんなの変だ。結婚もできない、子供も作れないんだぞ。それに男同士なんて……異常だ」

 親族やらに向ける感情以外を同性に向けることは、紫晶にとっては異常そのもの。この感情は兄弟間のものの延長線だと、若気の至りだと何度も言われた。

「なら女同士ならいいの? それに子供って言ったけど、私もあなたも子供は作れない体なのよ? 忘れたの……あの激しい夜のこと」

「……けれど、恋愛は男女でやるべきだろう」

「あらどうして? 人を好きになるのに、どうして性別が必要なの? それに、親としては、息子たちの幸せを願うべきじゃないかしら?」

 飛龍が落ち着きを見せ始めたのは、自分を攫い共にいるようになってからだと、昔は酷く攻撃的で情緒不安定だったと、自分を粗末にしていたと、二人が教えてくれた。

「荒れ果てていた龍の心が救われたのは蕾のおかげよ。とやかく言う権利、私たちにはないわ」

 妻には逆らえない紫晶。口を噤んで、持ってきた胡麻団子を口の中に放り込む。だが熱かったのか、咳き込み水を求めてその場を離れていった。

 飛龍になにがあったのか、一度だけ聞いたことがある。けれど、二人とも答えをくれたことはない。聞いちゃダメなことだと、それしか答えが得られないのだ。

「さて蕾、他に何か占いたいことはあるかしら?」

「リチャードと、ルチアーノのこと」

「わかったわ。あの二人も、お互い素直になるべきよね」

 カードを切り、机の上に並べる。

「……揉め事に諍い……背徳的な行為……恐怖心と過去からの脱却……最後に運命は切り開かれる、ね」

 全ての柄を眺めて意味を汲み取る水晶。

「苦悩と困難が二人を直撃するけれど、大丈夫。ちゃんと素直になれるわ」

「ほんと?」

 嬉しい、と笑って見せれば、水晶も笑い返してくれる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ