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pipkにあげたあれを収納したこれ(尻軽)

pipkにあげたあれを収納したこれ

※リチャード(不在)とルチアーノの話

※R18はpixivに収納

 男を抱くのも女を抱くのも、条件は後腐れがないことだけで、顔やら体は特に気にはしない。だが、男に抱かれる際にはこだわりがある。黒人で、自分よりも体格がよく、情事の最中は喋らない。顔やらは二の次だ。

 モーテルの一室、隣からは喘ぎ声やベッドの軋む音が聞こえる。ルチアーノは煙草を咥えた。箱の中身が減らなくなったのは、あの子供がいるから。外で吸えばいいと言われればそれまでだが、どうも吸う気にもなれなかった。今もそうだ。咥えて、すぐに箱に戻している。

 寝ている男を起こさないようにベッドから抜け出し、シャワーを浴びる。体液やらが排水溝に流れ落ち、冷水の冷たさが現実を呼び起こす。

 床に落ちた服を着て、宿泊費を取り出し枕元へ置こうとすれば、もう一度、と起きていた男が強請ってくる。性感を呼び起こす手の動き。男の体は正直で、ベッドにもつれ込むとすぐに反応を示すが、今度は口説くような言葉を耳元で囁いてくる。急速に萎えたそれに、苦笑いを浮かべてルチアーノは男の胸板を押した。

「悪いな、今日はもう帰らねえといけねえんだ」

 乱れた服を直して、サングラスをかける。

「じゃあな、クールガイ」

 朝一番に、弟とその友達のサッカーを見る約束がある。それまでには、あの家に帰らなければならない。

「ねえ、ルチアーノ」

 ボールが顔に当たり、鼻血が垂れた弟。サッカーをしている最中は気にも留めていなかったが、帰り道では気になって仕方がないらしく、何度も鼻を拭っている。突っ込んどけ、と塵紙を鼻に差し込めば、機嫌悪そうに眉を顰めた。

「ん? なんだ?」

「どうしてリチャードに好きって言わないの?」

 足を止める。

「……なんでわかった?」

「なんとなく」

 不思議そうに、見上げながら首を傾げる弟。

「どうして好きって言わないの?」

 ろくな死に方なんてしない、きっと死体だって綺麗に残っていない。そんな生き方をしている人間が、他人に好きと言えるわけがない。

「……まあ、あれだ。俺は自由に生きてえんだ」

 目線を合わせて、頭を撫でる。

「……キャロル、お前は素直でいろよ? フェイロンのやつに好きって、胸張って言えるような生き方しろよ」

 忘れられない人と、珍しく酔っ払ったリチャードが教えてくれた、ただ一途に慕っている人間。その人に勝てるわけがない。

「……ところでだ、キャロル、取引しようぜ。今の話、黙っててくれりゃコーラ奢ってやるけど、どうだ?」

 この話はリチャードの耳に入って欲しくない。フェイロンは感情に気付いてはいるが、気を遣い黙ってくれていた。だが弟と付き合うようになってから初めて言及された、押さえ込むの辛くないか、と。

「いいよ」

 喜ぶだろうと、飲ませたコーラが好物になってしまった弟。こんな体に悪いもの飲ませるな、と弟の恋人に怒られたのは記憶に新しい。

「よっしゃ、男同士の約束だ」

 男に抱かれるのは、感情を処理して溜め込むためだ。擬似的ではあるが、リチャードに抱かれているような、そんな感覚を手に入れられる。女ですら、こんな尻軽はいないはずだ。

「どうせなら菓子も買って帰ろうぜ? 寝る前に飲んで食って騒ぐんだ」

「でも、歯磨きした後は食べちゃいけないんだよ?」

「いいんだよ。黙ってやりゃ、な」

 あの人がこの様見たら頭撃ち抜くだろうな。情けない男に育てた覚えはない、と。

 ルチアーノはそんなことを考えた。

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