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生体機甲 スワロー  作者: 兎川ゆきの&相澤沁
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最後の禁忌

黒崎は、地下研究所で冷凍保存した一般人の遺体を使い、蘇生合成ウィルスの実験を繰り返していた。

遺体が底を尽きると活動可能なスズメ怪人を使って人を拉致しては次の実験台としていた。

そうやって実験を繰り返したが、元より人間ベースの蘇生合成は成功率が低い。

人間の抗体は強く、その強い抗体がウィルスの活動を阻害する為、7割以上の実験体はウィルスに対する拒絶反応で全身が異常な形に歪んでしまい、活動不能になってしまう。

そうなった者は失敗作であり、彼にとってはゴミでしかなかった。


黒崎は、青山とつばめの行動を知り、彼らを排除しなくてはならないと考えた。

地下研究所には、戦死した兵士の遺体も冷凍保存してあり、それを怪人化すれば今までとは比べ物にならない強力な怪人になる。

怪人の個体能力は、生前のベース生物の個体能力がそのまま反映される。

つまり、戦闘に関して何の訓練も無いつばめよりも、遥かに強大な戦闘力を持った怪人を生み出せるという事になる。

黒崎は兵士の遺体を取り出し、蘇生合成ウィルスを注入し、ウィルスの活動を安定させる調製槽に漬けて呟いた。


「青山君、まさか君が私に歯向かってくるとは思わなかった。」

「優秀な教え子だったし、パートナーとして信頼しておったのだがな。」

「まぁ、よい。 君もあの青い小娘も改造して我がしもべとしてやろう。」

「このスズメのような量産品でなく、鴉のようなカスタム品にしてやろう。」

「軍を買収して集めさせたゴミ同然の実験体も少しは役に立ったという事か。」

「青山君、君達にはこの黒崎耕三の最後の情けをくれてやろう。」

「共に世界を平定しようじゃないか。」


数日後、大部分の実験体は活動不能となっていたが、黒崎は意に介さなかった。

かくして、兵士をベースとしたスズメ怪人は8体が活動可能な個体として完成した。

彼は8体の怪人に地下研究所の警備を命じ、最下層へと降りて行った。

そこでV・C・M最後の禁忌に手を染めようとしていた。

それは、彼が人ではなくなることを意味していた。

地下研究所の最下層には、多数の猛獣と猛禽類、そして、戦争で命を落とした各地の指導者達が冷凍保存されていた。

先ず、指導者達の脳を摘出し、その脳にウィルスを植え付け、DNAをコピーさせる。

次に、それぞれの猛獣にウィルスを植え付け、DNAをコピーさせる。

その何種類ものDNAをコピーさせたウィルスを抽出し、採血した血液の中で培養する。

最後に、その血液を輸血し、調製槽で安定させ、全てのDNAの結合を待つ。

こうする事により、姿はまさしくキメラとなるが、身体能力と知能を爆発的に上げる事が出来る。

それがV・C・M最後の禁忌と呼ぶものだった。

これを行うために彼は自分から採血し、その中で長い時間をかけてウィルスを培養していた。

血液の提供者には拒絶反応が出ない事は実験から分かっていた。

その血液を輸血し、彼は調製槽に入り、眠りに就いた。


その頃、つばめはアーチェリーの訓練を続け、青山はワクチンの開発に集中し、調査班は発見したハッチ内部への侵入経路を模索していた。

現状では敵の戦力は不明であり、ハッチ内部の構造も分かっていない。

なので、一刻も早くワクチンを完成させ、つばめと共に隠密行動をして奇襲をかけるつもりでいた。

この時、青山はまだ黒崎に会えれば全てを解決できると考えていた。

だが、彼はV・C・M最後の禁忌の存在を知らなかった。

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