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生体機甲 スワロー  作者: 兎川ゆきの&相澤沁
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次の訓練

怪人のDNA分析を終えた青山は、曇った表情でため息まじりに呟いた。


「これは間違いなくV・C・Mの技術で生み出した生物だ。」

「という事は・・・怪人を生み出したのはやはり黒崎博士だと思って間違いない。」

「人間をベースにスズメと合成したのか・・・道理で鳥の羽を持ってるワケだ。」

「まさかキメラ生物の量産に着手していたとは・・・」

「それにしても黒崎博士・・・ベースに一般の人を使ってしまっているのか。」

「だから、ヤツらは犠牲者を連れ帰ろうとしていたのか。」

「黒崎博士、何ということを・・・」

「これは、あの黒い方もいずれ分析しなくてはならないか・・・」


青山は黒い怪人のベースに1つの仮説を立てていた。

もし、怪人が人間だった頃の記憶を一部でも持っているとしたら、無意識にその記憶に基づく行動をしても不思議ではない。

しかし、彼はそれを打ち消すように首を横に振って言った。


「いや、これは憶測に過ぎないし、いくら何でもそこまでの偶然はあり得ない!」


その夜、青山は珍しく少し酒を飲んで床に就いた。

しかし、悪夢にうなされて目覚めてしまった。

彼は思い悩み、眠れぬ夜を過ごした。

だが、黒崎博士の怪人はいつまた現れるか分からないと自分に言い聞かせ、ある事を決意した。

翌朝、彼はつばめにゴムボールの訓練を命じ、地下研究所へと向かった。

地下研究所へと続く暗い通路を歩きながら彼は考えていた。

出入り口の無いシェルターと化しているハズの地下研究所から怪人達はどうやって出てくるのか。

どうやって怪人のベースにされた人達を元に戻すか。

何よりも、どうやって黒崎博士の暴走を止めるか。

そんな事を考えながら、青山は地下研究所の隔壁に着いた。


「やはりここが開いている気配は無い。」

「なら、あの怪人達はどこから出てくるんだ。」

「それより、監視だけでは後手に回ってばかりだ。」

「何とかして先手を打たなくては犠牲者が増えるばかりだ。」


青山は研究室に戻り、集めた怪人の羽の分析を始めた。

V・C・Mで作られた生物は独特の生体エネルギーを発している事までは判っている。

その波長の分析を急ぎ、怪人に特化したレーダーの開発を急ぐために。

黒い怪人の生体エネルギーは強く、通常のレーダーでも航空機のように感知できた。

しかし、スズメのような生体エネルギーの弱い者だとそうはいかない。

青山は不眠不休で怪人レーダーの開発に取り組み、一週間後には怪人レーダーの開発に成功した。

これが彼の決意だった。

その後、彼は三日三晩、泥のように眠った。

そして、彼が目覚めた時、つばめはゴムボールを破裂させずに拾い上げ、壁に投げ、跳ね返って来るボールをキャッチ出来るようにまでなっていた。

眠りから覚めた青山は、つばめの成長を褒め称え、次の訓練の開始を告げた。


「よくそこまでパワーを制御したね!」

「やっぱり君はすごいよ!」

「次の訓練は、イメージをより強くする必要がある。」

「かなり大変な訓練になるけど、これを習得してくれれば犠牲者を限りなくゼロに出来るんだ。」

「何をする訓練だと思う?」


青山の問いかけに、つばめは冗談のつもりで答えた。


「はい博士! 空を飛ぶ訓練です!」


この答えに青山は驚いた。


「よく分かったね! そう! 次はイメージする力で翼を広げて鳥のように空を飛ぶ訓練だ。」

「君の纏う生体機甲は燕の遺伝子をベースに出来ている。」

「つまり、君のイメージの力次第で燕の翼を広げて空を飛べるんだ。」

「習得してくれるね?」


つばめは唖然としたが、すぐに気を取り直して大きな声で答えた。


「あんまりイメージ湧かないんですけど、博士がやれというなら私やってみせます!」

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