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管理社会の非管理区域  作者: ラズライト
3/3

過去回想_メモリ:小学生3年生。18年前。

今回少し短いです。ご了承ください。

「ただいま!…あれ?おとうさん、おかあさん。どこにいくの?」


自宅。

おれは小学校からかえったばっかり。でも、おとうさんとおかあさんは出かける服を着ていた。

ふたりはハカセ。えらい人だって先生もほめてくれていた。

ぼくに「二人の子供だから、きっと賢いよ!」なんて言ってくれたこともある。


ふたりとも、ぼくの大事な大事な家族。

でもなんだか、今日は様子がおかしかった。


ふたりは、ぼくをだきしめた。

「…ああ、ハジメ。良い子に、していてね。」

「父さんと母さんを、…恨んでくれて構わない。お前が、大人になって、全てを知る事が出来たら…そうだな、少しは、話せるようにする。……すまない。」


ふたりのうでの中はあたたかい。

でも…

言ってることは、すこしも、分からない。

いい子にはしなきゃいけない。だってそうしないと、怒られるから。

でも、どうして、【うらむ】だなんてはなしに…?

人をうらんではいけない、はずなのに。

ふたりはぼくを離して、どうしてかぽろぽろと泣きながら、ぼくのあたまをなでてくれた。


「…大丈夫。また会えるわハジメ。それまで、まわりの人と一緒に守られていて。おかあさんとの約束よ?」


なんだか、ふたりにつられてぼくもないてしまう。

…おかあさんとのやくそく。

守られる。傷つかないように。なにからも。

「…うん。」


何となくわかってしまった。この人たちはかえってこない。

でも、どうしても、少しだけ、またあしたには帰ってこないかなって思ってしまうんだ。


「…おとうさん、おかあさん。」


「なあに?ハジメ」

「なんだい。」


「またね。」


少しのあいだの、ばいばいのあいさつを。


ぼくが…おれが、強くなるために。


「……ああ、またな、ハジメ。」

「ええ……またね。」


くるしそうなふたりは、おれの家族だったひと。

これからさきは、ふたりはきっと家族みたいに頼れない。


かなしかった。さびしかった。いかないでっておおきな声でいいたかった。

でも、おれには分かる。

この二人は止められない。


かたん。

ドアが閉じる。

静かな部屋にひとりになった。


そのためのさっきのお別れのあいさつ。

これからさき、家族はおれのまわりにいる人になる。

きっとみんな優しいから大丈夫。おれは、大丈夫。


大丈夫_


そう呟いた声と共に、小さな体は糸を切ったように倒れた。


音の記憶、その全てを消して。


その後は近所の人達に支えられていた。しっかりと回復するまで、心が健全に発達するまで。


だからこそ彼は知らぬ間に、周りから保護されていた。

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