過去回想_メモリ:小学生3年生。18年前。
今回少し短いです。ご了承ください。
「ただいま!…あれ?おとうさん、おかあさん。どこにいくの?」
自宅。
おれは小学校からかえったばっかり。でも、おとうさんとおかあさんは出かける服を着ていた。
ふたりはハカセ。えらい人だって先生もほめてくれていた。
ぼくに「二人の子供だから、きっと賢いよ!」なんて言ってくれたこともある。
ふたりとも、ぼくの大事な大事な家族。
でもなんだか、今日は様子がおかしかった。
ふたりは、ぼくをだきしめた。
「…ああ、ハジメ。良い子に、していてね。」
「父さんと母さんを、…恨んでくれて構わない。お前が、大人になって、全てを知る事が出来たら…そうだな、少しは、話せるようにする。……すまない。」
ふたりのうでの中はあたたかい。
でも…
言ってることは、すこしも、分からない。
いい子にはしなきゃいけない。だってそうしないと、怒られるから。
でも、どうして、【うらむ】だなんてはなしに…?
人をうらんではいけない、はずなのに。
ふたりはぼくを離して、どうしてかぽろぽろと泣きながら、ぼくのあたまをなでてくれた。
「…大丈夫。また会えるわハジメ。それまで、まわりの人と一緒に守られていて。おかあさんとの約束よ?」
なんだか、ふたりにつられてぼくもないてしまう。
…おかあさんとのやくそく。
守られる。傷つかないように。なにからも。
「…うん。」
何となくわかってしまった。この人たちはかえってこない。
でも、どうしても、少しだけ、またあしたには帰ってこないかなって思ってしまうんだ。
「…おとうさん、おかあさん。」
「なあに?ハジメ」
「なんだい。」
「またね。」
少しのあいだの、ばいばいのあいさつを。
ぼくが…おれが、強くなるために。
「……ああ、またな、ハジメ。」
「ええ……またね。」
くるしそうなふたりは、おれの家族だったひと。
これからさきは、ふたりはきっと家族みたいに頼れない。
かなしかった。さびしかった。いかないでっておおきな声でいいたかった。
でも、おれには分かる。
この二人は止められない。
かたん。
ドアが閉じる。
静かな部屋にひとりになった。
そのためのさっきのお別れのあいさつ。
これからさき、家族はおれのまわりにいる人になる。
きっとみんな優しいから大丈夫。おれは、大丈夫。
大丈夫_
そう呟いた声と共に、小さな体は糸を切ったように倒れた。
音の記憶、その全てを消して。
その後は近所の人達に支えられていた。しっかりと回復するまで、心が健全に発達するまで。
だからこそ彼は知らぬ間に、周りから保護されていた。




