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いかれたベイビー  作者: 森山孝明
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奈緒子

奈緒子と言う名前は通称である。男と会うとき、彼女は奈緒子と名乗った。本当の名前は富子だった。

富子には双子の姉が居た。姉は富子よりも派手なファッションが好きだった。着飾るのが好きな姉は、自分を表現するのが上手かった。

富子と姉の性格はとても似ていた。二人共、自分に自信が無く、ただ、他人には認められたい・理解されたいと思っていた。男好きだが、それを他者に認められたくはなかった。富子は誰にでも笑顔を振りまいていた。八方美人と言う人も居るかも知れない。でも、内心心を許せない相手とは絶対に距離を取った。笑顔は絶やさなかった。

姉は智子と言った。智子は思ったことを何でも口にした。誰かを悪く言うこともあったし、敵を作るような偏見も持ったりしていた。けれど、面倒見が良く、アドバイスは的確で人望があった。


富子はしばしば、自分を姉と比較した。

自分はただの良い人止まり。姉のように自信が無い性格でも、言葉や外見のコントロールで周囲を上手く動かせる人が居る。姉に似ている筈の自分。どうして自分には上手く出来ないのか分からなかった。


富子は自分の嫌な部分を決して漏らさないように努力していた。笑顔の仮面を被っていても、気付く人は気付くものだ。


富子はあるとき、別の仮面を作った。

仮面は成功し、成長した。

仮面は成長し、着ぐるみとなった。名前、年齢、職場や趣味など、全てが本当の彼女を包み隠した。


それが富子の作った、富子と同じ顔をした奈緒子という女性だった。


奈緒子は富子の3才〜5才年上で、経験豊富だった。

思ったことをすぐに実行できる行動力があり、打算的で狡猾だった。一つの事柄に執着しがちで、彼女の計画はいつでも上手くいった。友達は居なかったが、何もかもを思い通りに出来る気がした。


富子は奈緒子の友達では無かった。

けれど、奈緒子のいちばんの理解者であった。

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