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エデンを目指して  作者: 夢咲香織
惑星ハザール
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各個撃破

 その日の午後、戻って来た偵察隊の報告を受けて、グリン達は再び作戦会議を開いた。魔界は岩場に巣を作り、およそ千匹位の数が居る事、中でも特別大きな大蛇が居て、そいつが司令塔と思われる事などが分かった。作戦会議が終わると、グリンが宇宙船へ戻ってきた。



「グリン! どうなんだ?」


タラが急かすように訊く。


「うん。奴等の数は思っていたより多いんだ。今のままで巣に突っ込むのはリスクが高い。従って、おびきだし作戦を行って、各個撃破し、数を減らしてから巣を叩く」


「なるほどな。で、そのおびき出しはどうやるんだ?」


「第三小隊がやるそうだ。彼らが巣の近くまで行って奴等を刺激して砂漠へおびき出した所を皆で殺るんだ。早速、明日から開始する」


「分かった」



 翌日、第三小隊が大蛇の群れを引き連れて戻ってきた。手はず通り、銀嶺達は既に待機している。


「よし! 昨日と同じ様にやれば良いんだ! いくぞ!」


グリンが叫ぶと、タラが雷撃ハンマーで大蛇の群れに雷を落とした。


「銀嶺、行くぞ!」


グリンと銀嶺は群れへ突撃した。グリンが大蛇を焼き、洩らしたのを銀嶺が切り裂く。武蔵は大蛇へ飛びかかって首へ噛みつき、頭を大きく振って首を引きちぎった。他の仲間と共に次々と大蛇を片付けてゆく二人と一頭。


「このままなら、順調にいきそうだな」


グリンがそう言って一息付いた時である。大蛇の一匹が、銀嶺に向かって、赤黒い液体を吐きかけた。頭から液体を被る銀嶺。


「熱っ! 熱いわ!」


銀嶺が叫ぶ。


「武蔵、大蛇の足を止めろ!」


グリンがそう叫ぶと、武蔵は吠えながら二人の周りを走って周回した。犬を恐れた大蛇はその輪の中へは入って来ない。


「大丈夫か?」


「何だか分からないけど、焼け付く様だわ!」


「よし、待ってろ」


グリンは火炎放射器で銀嶺を炙った。かかっていた液体がみるみる蒸発して消えてゆく。


「……どうだ?」


「ええ。治ったわ」


「次からはかわすんだ。武蔵もな」


「やってみるわ」


二人は再び体制を立て直した。大蛇達は次々に液体を浴びせてきた。グリンと銀嶺は既にそれを予測していたため、ヒラリとかわす。元より俊敏な武蔵は難なくやり過ごしていた。二時間が過ぎ、一同は群れを殲滅した。



 宇宙船へ戻ったグリンは、銀嶺の身体を注意深く眺めた。


「さっき変な液体かかった所、あれからどうだ?」


「そうね……大丈夫だと思うわよ」


「念のためだ。部屋で服を脱いで確認しろ」


「分かったわ」


銀嶺は部屋へ入ると、戦闘服を脱いだ。姿見に全身を映して良く見てみる。白い肌には傷一つ付いていなかった。銀嶺はほっと溜め息を付くと、服を着てブリーフィングルームに戻った。


「大丈夫だったわ」


「そうか。良かった」


「でも、まさか毒液を吐くとは思っていなかったわ」


「まあ、考えてみれば奴等は蛇型だ。毒液を吐いてくる事は想定しておくべきだったな。悪かった」


「いえ……別にグリンが謝る事ではないわ」


「そうか……有り難う」


銀嶺は内心笑いを堪えていた。グリンときたら、最初はその見た目から想像して、さぞかし怖い隊長かと思っていたのだが、意外と可愛らしい所がある。


「人は見た目によらないのね」


銀嶺は小さく呟いた。


「何だ? どういう意味だ?」


グリンが怪訝そうな顔をして見た。


「いいえ。何でもないわ。今日はもう良いんでしょう? 私、部屋で少し休むわ」


「おう。好きにしてくれ」



 銀嶺は部屋へ戻るとジャケットを脱いで、ベッドへ仰向けになった。しばらく天井を眺めてぼんやりしていると、睡蓮から念話が入った。


「銀嶺さん、調子はどうですか?」


「ええ。何とかやっています。大丈夫よ」


「そうですか……。ミラさんて方から絵を預かりました。是非銀嶺さんに届けて欲しいとの事だったので、そちらへお送りします。美術品の輸送なので、ちょっと時間がかかりますけど」


「有り難うございます。楽しみに待ちます」


「じゃあ、気を付けて」



 銀嶺はミラの顔を思い出した。赤毛のファニーフェイス。きっとあの時描いていた絵が完成したんだわ。エデンの絵が。銀嶺はエデンの園を想像してみた。正直良く分からないが、高級勢力の支配下の空間がとても居心地が良いのは既に知っている。地球で両親と過ごしていた時ですら、あんなに心穏やかで安心しきっていた事はない。魔界と遭遇して、より一層その思いは強まった。ここハザールへ来てからというもの、常に魔界の陰性エネルギーを感じて、頭がスッキリしないのだ。戦っている時は必死に殺るだけだが、こうして休んでいても、頭が重く、心がざわつく。


「早くこの惑星も、元に戻さなけりゃね」


銀嶺は空に向かって呟くと、眠りに落ちていった。

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