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20話 戦いは終わらない

「はあっ!」


 ヤオの蹴りが蒼龍の顎を蹴り上げた。

 蒼龍がその攻撃に一瞬怯んで後退する。


「ドラゴンが怯んだぞ! 今だっ!」


 そのチャンスを見て、冒険者達が次々とドラゴンの体に斬りつけていく。


 ドラゴンと戦士達の激しい戦いは、まだ続いていた。



「さ、これを飲んでくれ」


「あ……ありがとう……」


 兵士は俺の手から回復薬を受け取って飲み干した。


 ヤオや他の冒険者達が戦っているなら、俺の出番は必要ないだろう。


 ただ、戦闘とは別の出番が俺にはある。

 最初に傷ついた連中の回復をさせる事。

 百人分の回復薬を錬成して、彼らに渡して回っていた。


「それにしても、あなたは戦わなくていいのか?」


「ああ、あれだけの冒険者がいれば、蒼龍も時間の問題だろ」


「……そうだな。しかし、あのお団子頭の子は強いな」


「ま、俺の自慢の仲間だからな」


 離れた場所からヤオの戦いぶりを見ていた兵士に、俺は笑ってみせた。


 仲間が褒められるのは自分の事のように嬉しいからな。


「さて、と。これでほぼ全員回復し終えたな。あとは……」


 俺は数十メートル上に視線を向けた。


 断崖上からは、連発花火のような轟音が鳴り響いている。

 激しい閃光も見えるから、あっちの戦いも大変なのが容易に想像できるが……


「ま、あの二人がいれば問題ないだろ」



 ――ぎゅおおおおお!



 ドラゴンの絶叫が聞こえたきた。


「おおおお!」

「みろ、蒼龍が倒れるぞ!」


 蒼龍が巨体をふらつかせると、ズドンとその場に倒れてしまった。


 その瞬間、歓喜の声が上がった。


 蒼龍は白目を向いて、口から泡を吹き出している。

 戦っていた全員が一斉にドラゴンの体に剣を突き立てた。


 そして――


「か、勝ったぞおおお!!」

「「うおおおおおお!」」


 勝どきの雄叫びが渓谷に響いた。


「ヤオ!」

「アクアっ! アタシの活躍を見たネ?」

「ああ、見た見た。あの中じゃヤオが一番活躍してたな」

「えへへ。アクアに褒められると、なんだか嬉しくなってくるネ」


 ヤオはそう言って、満面の笑みを浮かべた。


「おい、あんた!」


 大勢の冒険者と兵士達が俺とヤオの前に立っている。

 その先頭にいたあの髭面の中年冒険者が、最初に頭を下げた。


「あんたやそこの少女が居なかったら、この勝利は無かっただろう。だからな、俺達全員、あんたと少女に礼を言いたい……ありがとう!」


「我々がこうやって生きているのは、あんた達のおかげだ! 感謝する!」


 一斉に頭を下げて、各々が感謝の言葉を述べてくれた。


 ヤオは少しは照れ臭そうに微笑んでいる。

 それは俺も同じだ。


「うん……? リノアとハンズ……?」


 遠巻きに俺を睨んでいるハンズと、顔を下に向けたリノアの姿があった。


 ハンズは腕と胸部に深そうな傷を負っている。

 リノアもハンズほどじゃないが、至るところに傷が負っているように見えた。

 二人はぷいっと顔を背けると、その場から離れていく。


 それから少しの後。

 数十メートル先の断崖上に幾つもの落雷が落ちたのを、大勢の人達が目の当たりにした。


「おお〜ディスティニィ、派手にやってるネ」

「あっちも終わったようだな」


 ディスティニィの魔法が紅龍を倒した事を、俺とヤオは雷を見てそれを悟った。




 ○




 一時間後。

 断崖上にいた討伐隊が渓谷の討伐隊と合流していた。


「アクア様! ヤオ!」

「ディスティニィ! シノン! よくやったな!」


 俺たち四人は、互いの無事を喜んでいた。


「それにしても……シノン、真っ黒じゃないか?」


「ああ。これはドラゴンの炎が思った以上に強力でな。少し煤けてしまったのだよ」


 シノンは照れ笑いをしている。


「ま、なんにせよ。全員が無事ならそれで問題はない。よくやったな、三人共」


 今俺の目の前でたわいなく笑ってる少女たち。

 冒険者レベルSでも苦戦するドラゴンを倒せるまで成長するなんて、誰が想像しただろう。


 戦いが終わって、他の連中達も互いに喜びあっている。


「これで終わったんだな……」

「はい。アクア様のスキルがあったからこそ、今日の勝利があったんです」


「そうだな。もし君が居なかったらと思うと、ゾッとするよ」

「アクアはみんなの英雄ネ。うん、勇者でもいいネ」


 三人にそう言って褒められると、なんだかむず痒くなってくる。


「さ、今日は帰ったら祝賀会だそうだ。思いっきり楽しもうぜ」


「え……!?」

「な、なんですか……あれは!?」


 その場にいた全員の視線が一点に集中している。


 その視線の中心にいるのは、二本足で大地に立ち、ドラゴンの頭と翼を持った異形の存在があった。


 その姿に俺は見覚えがあった。

 数百年前の文献に載っていたその存在。


「【龍人(ドラゴニュート)】……」


「アクア様……ドラゴニュートって!?」


「龍人……知性が高く身体能力もドラゴンとなんら変わらない人型の龍だ」


 数百年前に滅びたって文献に載っていた。

 でも、今俺たちの目の前にいるのも事実だ。


 龍人は断崖上と蒼龍の方に視線をやった。


『――ほう、先兵の双龍を倒したのか。人間もしばらく見ないうちに随分と強くなったようだな。これは興味深い!」


 龍人はニヤリと笑むと腰の剣を抜き、雄叫びを上げた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] は? 所謂打ち切りエンドより酷い終わりかた [一言] 続きが~とか言いながら完結扱いって何?
2020/05/17 11:10 退会済み
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