13.模擬戦開始!!
しばらく庭園でアストルを待っていると、アストルよりも先に俺のグループの面々がしだいに集まってきていた。
「かいくんっ!頑張ってね!なんだったら、私が魅了使ってもいいんだよ?」
とそう言ったのは遥香だった。とても可愛い仕草で頑張ってねと言われれば、どんな人間でも自然とやる気が生まれてくるものだろう。
俺が戦うと言っているのに、魅了を使おうとするのは、いくら好きな人に対してと言っても、度が過ぎていると思うので、
「いや、魅了は使わなくていい。応援してくれさえすれば、それでいいよ」
「わかったよ。それじゃあ、しっかり応援するね」
そう言って、笑顔で手を振りながら、観戦用に準備されたのだろう椅子に向かっていった。
次にやって来たのは、神崎と皇だった。いつの間に二人で行動するほど仲良くなったのだろうか。
「二人で一緒に来ることもあるんだな」
すると、皇は心底嫌そうな顔で、
「昨日、同室に案内されてから、ずっとこの調子で馴れ馴れしいから困ってるんですけど。どうしたらいいんですか?」
「うん、うまく対応して欲しいな、それは」
戦う前に違う問題を持ってくるのは、やめてほしいものだ。そもそも、グループというか仲間なのだから、いい関係を築いて欲しいんだけど……。話しかけてくることがこれかと思わずにはいられないが、ともかく言うべきことは一つしかないだろう。
「とにかく、仲良くしてくれ。俺たち全員でひとグループなんだから。それに、同じチームで喧嘩してるところなんか見られたら、アストルに舐められる」
「それは嫌なので、善処しますよ」
「そもそもどうして、俺のことで困ってるんだ?」
「距離が近いからですよ!」
そう言い切った皇の言葉で神崎はえ、そうなのと不思議そうな顔をしていたので、俺からも、
「そういうことらしいから、少しは気にしてやってくれ、神崎?」
「ああ、わかったよ」
そう言って、二人は椅子の方へ向かっていった。
今も一緒に椅子の方へ行ってるわけだから、別に仲が悪いとかではなさそうなんだよなぁ……。
もう残るはあの三人しかいないだろう。
「なんか今日は楽しそうだな、恵子?」
「うんっ!だって、三人でお泊まりとか初めてで、すごく楽しかったから!」
「確かにー。私も三人は初めてだったよー。私たちがベッド使っちゃったから、彩音さんは椅子で寝る羽目になってたけどねー」
これからずっと、泊まりになるんだろうけどね。それにしても、一つの部屋に三人も一緒だったんだな。
「彩音さんは椅子で寝たそうですけど、しっかり眠れましたか?」
「まぁ、椅子で寝落ちしてることも時々あったからね。慣れてはいるよ」
そんな眠気を大量に含んだような顔で言われても、全く説得力がないのだが。
「体は大事にしてくださいね……?」
「それはわかってますよー」
「頑張ってください!!」
「「頑張ってねー」」
三人も椅子の方へ向かって行き、最後にやって来たのは……
「やあ、カイトくん。調子はどうですか」
余裕そうな態度のアストルだった。
「悪くはない、かな」
「じゃあ、早速始めましょうか。誰か、審判役が出来る方はいますか?」
すると、館の中から声が聞こえてきた。
「それは私が務めさせてもらおう」
そして、その後すぐに地面に魔法陣が描かれて、その中からロランとミーシャが現れた。
「じゃあ、両者距離を取って!」
そんなロランの声と同時に俺の脳内に声が響く。
『じゃあ、私はカイトくんが吹っ飛ばされた時にしっかり風で受け止めるから、安心して』
吹き飛ばされるけど、怪我はしないようにしないとな。
「それじゃあ、勝負開始!!」




