3.ルール説明と幼馴染
それじゃあ、とアルンは俺たちへの説明を始めた。
「これから貴方たちには他の世界の人と戦う前にクラス内マッチ、つまり、クラスの中での代表を決める戦いを行ってもらうわ。それを行う理由は2つあるの」
アルンは胸を張りながらそう言う。
そして、こう続けた。
「1つ目はクラスのリーダーを決めるためよ。これからこのメンバーで何回かバトル、戦ってもらう時にみんなを指揮する人がいた方が要領がいいでしょう?」
周りの反応を見ておこうと思い、周りを見渡すと、おおむねみんなは頷いているので、いい理由と思っているか、妥当だ、と思っているのだろう。かくいう俺も、妥当だと思っているうちの一人であるわけだが。
頷いていない人たちは『なんで俺が選ばれないんだ。俺こそがリーダーになるべきだ』とでも傲慢に思っているんだろうな。
そんな心をアルンは読み取ったのか、
「あまり良く思ってない人たちもいるようだけど、そんな人たちは自分の実力、カリスマ性をみんなに示せばいいのよ。納得してくれた?」
渋々といった表情だが、さっきうなづいていなかった人たちもうなづいていた。
そんな反応を確認してから、アルンは続けた。
「それじゃあ、2つ目の理由にいくわね。2つ目はお互いのことをもっとよく知ってもらうためよ」
まあ尤もな理由ではあるが、それをここで言う必要はなかったように思えるな。
なぜなら、2つ目の理由はあまりにも子どもっぽすぎるからだ。(まぁ、アルンの中身はともかく、見た目はどう考えても子どもなのだから。)
「貴方たちはこれから全てのバトルが終わるまで一緒に過ごすんだから。」
と言ってから、こう付け足した。
「補足としては話し合いでは多分決まらないからよ。理由としてはさっき言ったようなことでね。」
「あと、まだ貴方たちは高校生なんだから勉強も必要なはずよね。だから、机の中に入っているタブレット端末で貴方たちが通っていた学校の授業を映像で見られるようにしてあるわ。8時20分には登校して授業はしっかり受けるように。元の世界に戻してから『人生狂ったーーー』とか言われたら嫌だからね。一般教養くらいは身につけられるようにね。家の代わりは寮を準備してあるわ。今から地図とルールを配るからそれをしっかり見てね。ルールの抜け道を探すのも人間の才能だから」
そう言ってアルンはプリントを配り始めた。
『それにしてもなんだこのクラスは明らかにヤクザっぽいやつから、この前テレビに出ていたイケメンまでいるぞ』
そう言う海斗も部類としては、イケメンと言われているのだが。
そんなことを考えていると、プリントを配り終わっていて、
「今日は解散!明日からに備えて鋭気を養うのもよし。クラスに残って友達作りをして、グループとしてクラス内バトルに臨むもよし。今日一日は自由に使っていいと言うことよ。今日にバトルを仕掛けるのは失格とします。失格が何を表すのかは聡明な貴方たちなら理解してくれるわよね」
そう言い残し、アルンは教室から出て行った。
『仲間を集めよう』
そう決心し、教室に残ることを決めた俺に声がかかった。
「かーいくんっ!奇遇だねー。こんなところで会うなんてっ!」
その声の主は俺の幼馴染であり、大量の生徒会の仕事を俺に押し付けてくる生徒会長の藍川遥香だった。
次は水曜日投稿です。
平日は8時、土日は11時に更新です!
あと、プロローグ1を大幅改稿しました!




