3.屋敷へ
晩餐会がお開きになったのは、もう日も変わって、1時ごろだった。
「「「「「長かった〜!!」」」」」
最後の方は疲れ果てていて、きちんと対応できていたかどうかも怪しいほどだ。
そんな長くて、疲れた、そして、やり切ったという余韻に浸っていた俺たちの耳に届いたのは、ロランの全く疲れていない元気そうな声だった。
「それじゃあー、私たちは失礼しますね。ハンス王。」
その声は王に対しての敬意よりも親近感の方を強く感じさせた。
「二人のときはハンスだといつも言っているだろう、ロラン?」
王からかけた声も長年の友に対するような親愛の気が感じられた。
「学園の時のようにはいきませんので……。それでは、また後日。」
そんなロランを見送るハンス王はどこか寂しそうだった。
明日、いや今日というべきか、に迫ったアストルとの戦いに備えるために俺は帰りの途中ながらロランに話しかけた。
「明日、アストルと戦うことになってしまったので、対策を立てたいと思うので、もう遅くはありますが、少しお時間頂いてもよろしいですか?」
いつもとは違い固い言葉で話しかける。
お願いする立場としては、多少なりとも普段より慇懃にならねばならないものだろう。
すると、ロランは苦笑して、
「や、君にそんな喋り方をされるとなんだかむずがゆいよ、カイトくん。なんか、本当に尊敬されてるわけでもないのに、そんなことされてもね……って感じだね。君に協力すると言った私が返す答えなんて君はもうわかってると思うんだけど。」
そんなつっけんどんな言い方であったが、快諾してくれたことには感謝しかなく、
「ありがとう、ロラン。」
思えば、自然にそんな言葉が出ていた。
「いきなり呼び捨てにするのもどうかと思うよ。でも、準備しておくように伝えておこう。アリア、いるかい?」
すると、闇の中から突然人影が現れた。
「はっ、ここに。」
ロランは労わるように、
「今日はお疲れのところ申し訳ないが、急ぎ邸宅で一室準備するよう伝えてくれるかな。」
こう言ったが、アリアは簡潔にこう返すだけだった。
「了解です、我が主。」
そう言い、彼女は闇に溶け込むように去っていった。
「さて、じゃあ少し急いで帰らないとね。」
そう言ったロランは少し歩調を早めていた。
十分程すると、屋敷に戻ってきた。
正面からはっきりと見るのは、これが初めてだった。
もう真夜中だというのにも関わらず、爛々と灯りが点いているのは、俺がロランに頼んだせいだろうか。そうなら、なんだか少し申し訳ない。
最低でも、野球場ぐらいの広さはあるように感じられた。
「中からでも感じるけど、改めて外から見ると、やっぱりでかいねー。ふぁあ〜、もう眠たいよ。」
そんな眠気を隠しきれない遥香の言葉は、俺の気持ちを代弁していた。
「じゃあ、僕はカイトくんとお話があるから、みんなはゆっくりと休んでね。」
そう言ったロランの後ろを俺はみんなに「おやすみ」とそう一言言ってから、ついて行った。




