32.再来の王城
「ここの額縁を裏返したら王城内だよ。じゃあ、僕の後に続いてきて。」
そう言ってロランは、一度、その額縁を触って、その壁の向こうに行った。
続けと言われたので、同じように行動する。
一度、その額縁を触る。
そして、何も起こらなかったことに困惑していると、突然背中にかなりの衝撃と前に押し出そうという力が加わった。
そしてその力は踏ん張ったところで抑えきれる力ではなくーーーー
「うおっーーーー!」
思いっきり前に突き飛ばされた。
その前にいたロランはヒラリと身を躱して、
「おっと、この展開はなかったな。大丈夫かい?カイトくん。私も聖職者の端くれだから、回復くらいしてあげよう。神聖魔法高位治癒術」
そう言って、ロランはまるで息でもするかのように、俺に魔法を行使した。
初めて神聖魔法を掛けられて、痛みを感じた部分が独特の熱っぽさに襲われた。
が、そんなことよりも俺は「この展開はなかった」というロランの言葉に引っ掛かるものを感じていた。
俺がぶつかる音を聞いてか、その額縁を通ることを不安がる声が聞こえてくる。
あんな激突音を聞いた後に、平然とそこを通れるなら、正気の沙汰ではないと俺は思う。
どうにかして、ぶつからないようにできないかーーーーーーーー
そんな時、一条の光が俺の頭に差し込んだ。
「押し出されるまでに一瞬時間があったから、そのタイムラグを使えば、上手く移動出来るんじゃないか?」
「じゃあ、やってみるね。」
そう呑気に言う遥香に俺は、
「本当に大丈夫?」
そう尋ねるが、遥香は
「かいくんのことなら信じるよ。」
顔が見えなかったから良かったが、急にそんなことを言うのはやめてほしいものだ。
そうして、考察が的中していたのか、遥香がスッと額縁から出てきた。
その後に続いて、みんなも難なくロランの執務室に入ることができた。
「全員来たようだね。じゃあ晩餐会の会場に向かおうか。」
王城の広間に向かうまでには、多少入り組んでいるところはあったが、それほど時間は掛からなかった。
広間の前でロランが
「ロラン・フォン・エルトリアただいま着きましてございます。」
そう呟くと、突然扉が開き、
「今日の主賓のお出ましだ!皆、歓迎の意を表して、拍手で彼らを迎えようではないか!」
その後、俺たちを迎える会場は拍手に包まれた。




