27.貧民街
私、アリアは今回、異世界人の護衛を命じられた。
貧民街に行くようにロラン様から指示を受けたらしいですが、私にとってはあまり気持ちのいいものではありませんね。
私にとっては、王都のこの部分は私の暗黒時代の象徴ですから。
さて、私がいた時よりも今の貧民街はかなり状況は悪化しています。
王都では貧富の極化が顕著ですから。
あの方々は、この光景を見て、どう思うんでしょうか。
あの方々を狙う暗殺者の方々もいることですし、処分すると致しましょうか。
俺たちは今、ロランから指定された場所に向かっていた。
貧民街のある人を訪ねろということだった。
どんなことが起きるのかが少し心配だが、悪いことにはならないはずだ。
そう思い、街を歩いていっていたが、
「うわっ、想像以上にこれは酷いな。」
思わず口から飛び出したのはそんな言葉だった。
初めの方はいたって綺麗な街並みだったのだが、だんだんと奥の方へ進むにつれ、生ゴミが散乱していたり、地面には人が生きているとは思えないほどの血が出たと思われる血痕が残っていたり、酷いところでは死骸が落ちていたりした。
「ちょっと見てられないよね。」
そう恵子が言い、みんなも同意していた。
「早く目的地に向かおうか。」
みんなに早歩きを促した。
〜アリア視点〜
「ふぅ、ちょっと量が多すぎやしませんか。」
私はそうため息をつく。
そう言っている間にも動き続け、愛用の短剣で切りつけていく。
「ハッーー!」
大量の鮮血が辺りに舞い散って、地面で綺麗な花のようになっていたが、そんな些細なことは気にかけず、私は周辺の警戒を続けた。
が、これ以上誰の気配もしなかったので、警戒を緩めたまさにその刹那、
「くっーーーー!」
咄嗟に反応でき、短剣で軌道を逸らせなければ、間違いなく命はなかっただろう。
カラン、そう音をたてて、私を狙った飛来物を見ると、
「これは串ですか?」
そうわかった瞬間、胸の中が言葉にできない憤りで満たされた。
「私も舐められたものですね。」
そう言って、飛んできた方向を見ると、黒い人影がこちらに向かってきていた。
「さて、任務を遂行するためにも、さっさと片付けるとしますか。」
私もその人影に向かって走り出した。
〜海斗視点〜
「さあ、ここらしいけど。」
しばらく歩いた後、俺たちは地図上の場所と思われる場所に着いたが……
「廃墟じゃないか。」
神崎は怒り気味でそう言ったが、彩音がそれを窘める。
「まぁ、人それぞれによって生活は違うからね。そういうところで差別しちゃいけないと思うよ。」
「そうだな。」
全く納得のいっていない様子だったが、この状態では仕方もないだろう。
こんな風に落ちかけの屋根や落書きだらけの壁を見れば誰しもそう思うだろう。
だが、行けと言われたからには何かあるのだろう。
意を決して俺は扉を開けたーーーーーー!!




