20.プレゼント探し①
そこはラルメア王国で一番活気がある市場だということだ。
なので、とりあえず一通りの品物を見に行こうと思い、俺は歩き出した。
防具や武器などの武具を売っている店、食糧を売っている店、普段着用の服を売っている店、骨董品を売っている店などさまざまな店があった。
武具以外の店はほとんどが上流階級と庶民の間でのすみ分けが為されているようだった。
俺はどちらに行けばいいのか迷った。
上流階級用と見られる店ならいい物があるだろうが、『なにかと入用になる』というロランの言葉を信用するのなら、少しは残しておいた方がいいのか。
暫しの逡巡の末、取り敢えず上流階級の店へと向かうことにした。
金貨五枚という枚数がこの世界でどれほどの価値を持っているのかはまだわからなかったし、庶民用だと思われる場所だと銅貨の品物しか売っていなかったから、何かプレゼントするにしても、流石にそこまで安い物なのはよくないだろうと思ったからだ。
『神眼』でも価値を見ることは出来なかった。
真贋の鑑定は出来たから、骨董品屋で偽物を掴まされることはなさそうだ。
その時の表示はとてもシンプルなものだった。
《ラルメア王国金貨》
ラルメア王国で二番目に価値がある硬貨。
何枚で銀貨というのが出てこなかったから、はっきりとした価値はわからなかったのだ。
服屋に向かったのだが、
「なんだこれは?」
思わず口にしてしまうほどの装飾の多さだった。
服屋にかける装飾としては過剰すぎたのである。
そんな所に踏み込むのには一抹の不安はないではなかったが、行動しなければ、なにも変わらないと思ったので、意を決して、中に入った。
踏み入れたそこで最初に受けたのは、突き刺さるような視線、こちらを見定めているような視線だった。
その視線を浴びせてくるのは、沢山の貴族夫人だ。
所々に家紋のような物が象られた豪奢な服を着ていて、貴族然とした立ち振る舞いをしている。
うん、これは入る場所間違えたな。
一瞬にしてそう判断した。
中にドレスのような衣装しかなかったのも、理由のひとつではあったが、あんな視線を集めた中で堂々と買い物をする勇気は俺にはなかった。
さらにそのあと、店の中から、こんな言葉が聞こえてきた。
「ちょっと、なんなのあの子供は?こんな所にあんな子供が来たら品位が下がるから二度とないようにしてくださいまし!」
『ここにはもう来ないようにしよう!』
俺はそう心に決め、遥香へのプレゼントを探すべく違う店に向かった。




