13.謁見②
あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします!
玉座にゆったりと腰掛けている、ハンス・フォン・ラルメアという男はこう続けた。
「すまない。言ってみたかっただけだ。今の挨拶は。」
姿勢を整え直して、厳かに告げる。
「じゃあ、改めて。私が第32代ラルメア王国国王ハンス・フォン・ラルメアだ。よく来てくれたね。異世界からの旅人さん?」
「じきじきにご挨拶いただきありがとうございます。私は一応この中でリーダーをしております、カイト・クルスです。王にお会いできて光栄です。」
俺が、元の世界で目上の人に対する対応をすると、ハンス王は朗らかに笑って、
「ははははははっ!よいよい。そんなとってつけたような世辞を並べなくても。子供はずけずけ物を言ってきた方が可愛げがあるわ。
おお、それはそうと、そなたたちはさっきまで隣にいた者がいなくなっていることに気づかないのかね?」
そんなことを言うものだから、ふと前を見ると、さっきまでそこにいたはずの老執事が居なくなっており、ハンス王の横に立っていたのだった。
「私もロラン伯の言う子供たちに早く会いたかったものですから。」
「アークライト卿にもまだ童心が残っていたのだな。して、様子はどうであったか。本人たちの前で話すのもどうかと思うが、これも物のついでというものよ。」
すると、アークライト卿と呼ばれた人物の雰囲気が突然として変わったような気がした。
そして、玉座の階段の下にゆっくりと移動して、
「はっ!謹んでご報告申し上げます。
この者たちは私が迎えに行く前にしっかりと会議をしていました。これはこの者たちが将来を考える力のある若者であることを示していると思います。それがわかっただけでも、十分ではないでしょうか。」
ハンス王はそれが聴きたかった答えだとばかりにうなづいている。
「うむ。それならばよい。卿の進言もあることであるし、そなたたちをラルメア王国の一代限りの貴族として迎えよう。」
「「「「「!?」」」」」
そんな軽さで貴族に任命しようとしてきたハンス王に俺たちは衝撃を受けた。
貴族というものになるには、必ず何か功績をあげなくてはならず、王がその権力だけで決定できるものではないと思っていたからである。
そんなことを言うものだから、場もざわつきはじめる。
聞こえてくるのは、『そんな一気に貴族を増やして、国庫からお金を支給できるのか。』
という声ばかりである。
次回は1月1日0時更新です




