16.集合と昼ごはん
広場ではもう女子のグループが俺たちのことを待っていた。彼女たちを見たところ、まだ楽しそうにみんなで話しているのが目に見えて分かったので、それほど長い時間は待っていないということは分かったのだったが、
「おまたせー!」
と言っておく。待たされたときにその一言があるかないかでその人物に対するイメージが良くなったりもするし、あるいは、悪化することもあるのだ。
俺も依頼人と会うときは時間より少し前に待ち合わせの場所に着いておくのだが、その時にその一言があれば印象は良くなるだろうし、逆になければ、悪くなる。もちろん、実体験なのでそうであることを否定はできない。
「そんなに待ってないよ。こっちは楽しめたけど、かいくんたちはどうだったの?」
遥香は首を傾げてそう聞いてくる。
「……楽しいというかなんというか……。まあ、なんだろうな。すごかった?っていうのが一番正しいかな」
思いの外、自分が感じたことを言葉で伝えることが出来なかった。凄いという漠然とした言葉では案の定、しっかりと伝わらなかったようで、もう一度遥香は聞き返してきた。
「すごかったってどうすごかったの?」
「武器屋の奥まで連れて行ってもらったんだけど、その奥の部屋も見たことないような所だったし、文也がその店の人にスカウトされたんだよ」
「ええーっ!?」
顔を手に当てて、大仰な仕草で驚いていた。
「流石に驚きすぎじゃないか?」
「いや、驚くよ?!だって、職人さんから見込まれたってことでしょ。すごいね、文也くん」
遥香は文也にそう振った。すると、文也は照れたのか、少しはにかみながら、「あ、ありがとう」と少ししどろもどろになりつつも、答えていた。
「そろそろ、ご飯食べにいくか」
そう言って、俺たちはロランのおすすめガイドブックに載っていたお店へ向かった。
「わぁー、おしゃれだね!」
そう言ったのは、一番年上の彩音だった。 確かに、どこか大人びた感覚を感じる店だった。よくお茶しようとか言って、利用しそうな店だ。屋内と屋外の席が両方あるのも、それを助長しているだろう。そんな店で、パスタとは少し麺が違う、パスタのようなものを食べてから、みんなで最後の目的地に移動する。




